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日菜太はなぜ大晦日出場を直訴したのか? かつてはK-1MAXやシュートボクシングを主戦場とし、現在はREBELSで活躍するキックボクサーの日菜太。大晦日フジテレビで放映されるRIZINのリングでキックボクシングの存在を世間に届かせるため、大会実行委員長の榊原信行氏にツイッターで出場を直接アピール。それに榊原氏が反応して、多くのファンも見守る中、ツイッター上で“公開交渉”が行なわれた。
「MMAイベントでキックボクシングをやるべきではない」などファンの賛否両論が渦巻く中、榊原氏との会談までこぎつけた日菜太。なぜ直訴したのか、キックを取り巻く現状は? 日菜太が所属するクロスポイント代表にしてREBELSプロモーション代表でもある山口元気氏にも同席していただき、その胸の内を聞いてみた。(聞き手/ジャン斉藤)
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――日菜太さん、おひさしぶりです。
日菜太 前に取材したのはけっこう前ですよね?
――7〜8年……くらい経ってる気もしますねぇ。
日菜太 なんだかんだでボクもこうしてキックを続けてますよ(笑)。
――このクロスポイント吉祥寺に移籍してからはどれくらい経ってるんですか?
日菜太 このジムに移ってから4年目ですね。
――いまは昼間ですけど、汗を流す一般会員でジムはいっぱいですね。
日菜太 昼間からたくさん来てますよね。キックのほかにも、柔術、MMA、あとキッズのコースもあって。都内屈指なんじゃないですかね、こんなに会員さんがいる格闘技ジムは。
――キックはMMAより集客しやすいそうですね。
日菜太 みたいですね。キックはフィットネスとしていいコンテンツですから。芸能人がキックをやってるから女性の方もやろう!……という感じで。そのうちブームは終わるかなと思ってたんですけど、まだ終らないですね。
――プロになる人は増えてるんですか?
山口元気 ウチに関して言えば、そうでもないですね。
日菜太 1パーセントくらいじゃないですか。
――1パーセント!
山口 俺が「いけるよ、いけるよ〜!」と褒めて褒めて、それで続けばいいほうかな。ほとんど続かないですけどね。それでもウチはプロが多いほうではあるとは思いますが。
山口氏は榊原×日菜太会談にも同席。1時間近く話し合いが行われたそうだ。
――ここ最近はプロのなり手が少ない流れなんですか?
――ここ最近はプロのなり手が少ない流れなんですか?
山口 それは昔からといえば昔からですけどね。K−1ブームのときは「選手になりたい」という子はいっぱいいました。あのときも結局続かなかった。
――山口さんが現役だった90年代はどうでした?
山口 あの頃のキックのジムは、選手しか通っていないからビジネスにならなかったんじゃないかな。誰も会費を払ってるの見たことなかったし、ウチの会長も家賃を払えてたのかなって疑問でした(笑)。
――ハハハハハハハハ! 当時はジム運営だけ食っていくのは大変だったんですね。チャンピオンになってもそんなには稼げない。
山口 毎回チケット100枚から300枚は売って30万円くらいになったので、それが収入になりましたけど。基本的にファイトマネーという概念がなかったな〜(涙)。
――日菜太選手はK−1MAX以降にキックをやり始めたんですよね。
日菜太 ボクは魔裟斗さん、アンディ・フグ、ピーター・アーツを見て育った世代なんで。キックボクシングを始めてからサムゴー(・ギャットモンテープ)の存在を先輩から教えてもらったくらいなんです。全日本キックのサムゴー特集DVDがあって、それを見たのがきっかけでK−1以外のキックの試合を見るようになって。
――MAX以降はプロになる入り口はどう変わっていったんですか?
山口 いまはそういう入り口がなかなかないんですよねぇ。K−1以前はテレビがなくても雑誌が強かったんですよ。『格闘技通信』より前に『フルコンタクトKARATE』があったし、それから『わしらは格闘技探検隊』というミニコミ誌もあった。
――『わしらは格闘技探検隊』、なつかしい(笑)。いまはジム運営がちゃんと成立しているし、これだけ会員が増えている。キックの環境はよくなってるんですよね。
山口 そうですねぇ。そうなんですけど……。
日菜太 たしかにジム数はメチャクチャ増えてるんですよ。それでジム主催の興行も増えてるから、ベルトも増えている。プロの数は増えてるんですよね。
山口 凄く増えてる。
日菜太 ボクシングを上回ってるんじゃないかって思うくらい。
山口 相当多いですよ。
――先ほど「プロになるのは1パーセント」という話がありましたが、キック全体で言えばプロの数は増えていると。
山口 だから敷居が下がってるところはあります。
日菜太 アマチュアレベルでプロのリングに上がってる選手がいたりするし、プロのハードルがないジムもありますよね。そこのジムの会長が許可を出せばデビューできるのがキック界の暗黙の了解なんで。
山口 プロテストがあるとこもあれば、ないところもあるし、アマチュアのトーナメント優勝者がプロになれたりと基準はバラバラですね。ウチのジムの場合は一応ハードルは設けてます。プロを目指す場合は15時からのプロ練習に出て、アマチュアで実績を積まないといけない。ということは、仕事をやめないといけない。覚悟があるのかを見てるというか。
――それはなかなかのハードルですねぇ。
山口 その時間帯に来られる仕事に就くか、もしくはウチで働くか。そこは覚悟が問われるんです。ジムで働くと24時間キック漬けになるから強くなりますよ。
日菜太 プロがバラバラに来て練習するよりもそこは違いますね。
山口 もちろん普通に仕事にしてて夜しか練習ができない人にも、練習はしっかりとできる環境にしてあるので、夜の部にもプロの選手はいますけどね。
――プロの道を設定しないと会員さんもモチベーションは保てないでしょうね。
日菜太 ジムの会員さんの目標は「痩せたい」から「試合に出たい」になるし、アマチュアでけっこう強くなっていくとプロのリングにも上がってみたくなりますからね。
――日菜太選手も大学卒業後はK−1一本に絞って就職しませんでしたよね。
日菜太 あのときはK−1のために就職を蹴ったんですよね。そのあとK−1がなくなったときは、応援してくれるスポンサーもあったんですけど……ここに移籍するときに、ウチの姉から「有名な選手とも戦ったし。もうキックはいいんじゃない。若いんだから次の新しい道があるんだから」って言われたんです。
――違う人生を思案するような状況だった、と。
日菜太 ボクはまだキックを続けたかったので、ここに移籍したんですけど。移籍するために当時所属していたジムに◯◯◯万円払ったんですよ。
――ええっ、◯◯◯万円!? それは日菜太選手は払ったんですか?
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