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振り返っても羽音だけ エイバタコラム2021年6月号
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振り返っても羽音だけ エイバタコラム2021年6月号

2021-06-30 03:14
    25731a932ac1459b3a668db0ed6458331f0674b6人間は様々な欲望を持っている。
    食欲、性欲、睡眠欲、他にも細かいのが色々。
    なかでも「山欲」はなかなか厄介である。
    山欲なんて聞いたことが無いという方もいるかも知れない。
    それはまさしく正解である。今、僕が勝手に考えたのだから。
    山欲とは突発的に山に行きたくなる事という事で今回は進めていく。
    (そうすると海水が欲しい時は海水欲。海水浴に行きたい時は海水浴欲になるね。破綻。)



    あるお休みの日、起きてすぐ、山欲に駆り立てられた。

    されど、溜まった家事を片付けなければならない。洗濯などをしていると昼過ぎになってしまった。それでも山欲はおさまっていない。
    時間的に考えると、その時間から出発して楽しめる山は東京近郊にそんなに多くはない。
    ということで今回は都民のオアシスであり「心のふるさと 祈りのおやま」がキャッチフレーズの高尾山に行くことにした。

    高尾山に登るのはかれこれ7年ぶりである。その時は紫の空が山の稜線と溶け合う程薄暗くなった夕方に登山口に着いてしまったので
    100均で購入した懐中電灯をタオルで頭に縛り付け、暗い山道を登った。夜の山はものすごく暗いので、山頂についたのかもよく分からず、なんとか辿りついた薬王院の境内から多摩川の花火大会の煌めきが見えて感動したのを覚えている。
    山の神様ありがとうございます、と清々しい気分で下山しようとしたら、突如、眼前に高尾山ビアマウントと書かれた煌々と光る騒がしい巨大居酒屋が姿を現した。120分飲み放題、食べ放題と書かれた看板。
    先ほどまでの厳かな気持ちがかき消された結果、歩く気力も失せ、なぜか陽気なドイツ人のご一行とケーブルカーに乗って下山した。
    ほろ苦い思い出である。
    ビールだけに。

    ともかく、それ以来の高尾山である。
    しかも今回は明るいうちに帰れるスケジュールだ。
    昼食がまだだったので、高尾山口の駅を降りてまず食べ物を探す事にした。
    山頂でおにぎりを食べたらおいしいだろうなと思い、売店を物色するも、どういうわけかおにぎりやサンドイッチが置いてある棚がすっからかんである。
    あるのは真空パウチされた薫製たまごとチーズちくわだけ。
    「ほほう。番狂わせが面白い。予定通りいかない。」とひとりでほくそ笑み、チーズちくわとポカリスエットを掴みレジへと向かった。あと登山中のちょっとした補給にはチョコレートが良いと知っていたのに、なぜかチップスターを買った。理由は簡単、お菓子としてチョコよりチップスターの方が好きだからである。これぞ1人登山の醍醐味だ。誰も文句は言わない。後々、口の水分が無くなって泣くのは自分である。全て自己責任。
    山頂でチーズちくわとチップスターを食べよう。
     
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