なんとも意地悪な質問ですね。
『アオイホノオ』という作品の中でもそういうセリフがありましたね(笑)。
正確に言うと、「『エヴァンゲリオン』の庵野秀明が社長を務めている株式会社カラーが、株式会社ガイナックスを提訴した」ってことだよね。
「岡田斗司夫だったら、語るだろう」と期待されてるんでしょう。
でも正直、言えないし、あまり話したくないんですよね。
当たり前だけど『アオイホノオ』の中のキャラクターは、事実とはちょっと違うんですよ。
みんなが思っている「山賀博之」像と、「庵野秀明」像は、だいぶん違っている。
どれぐらい違うかと言うと、現実の歴史と、お話としての『忠臣蔵』の赤穂浪士ぐらい違うんですよね。
歴史としての赤穂浪士は、浅野内匠頭の敵・吉良上野介のところに攻め入った。
ここまでは事実なんだけども、実際の歴史によると「吉良上野介」と呼ばれる藩主は、割といい殿様だった。
みたい話もあるんだよね。
ところが明治時代の軍国主義になったときに、「主人に忠誠を尽くす」ことを善とするために『忠臣蔵』の話がすごくブローアップされた。
そして美談として語られるために、吉良上野介は悪役にされた。
討ち入りをした赤穂浪士って、言っちゃえばテロリストなんだよね。
そしてテロリストを正義とするような話にされてしまった。
それはみんなに分かりやすいストーリーを与えるため。
「主人の為を思って、切腹を覚悟で討ち入った人たちがいたんだよ。それは良い事なんだよ」
そんなテロリズムの肯定が行われた。
同じように『アオイホノオ』の中で描かれているのも、最終的に漫画家になる「ホノオモユル」という人間を面白くするために、いろんな人間に役が与えられてるんだよね。
なので、現実をデフォルメしてる。
みんなは島本和彦の作品を応援したいから「違う」と思っても言わないわけだよ。
当たり前だけど(笑)。
なので庵野秀明も、山賀博之も、あんな人物ではありません。
なのに作品のキャラと同じように解釈すると、今回の事件が理解しにくくなると思います。
しかし何で未払いが発生するほど貧乏になっちゃったんでしょうね?
お金を借りて、さらにガイナックスが窓口業務をやっていた『エヴァンゲリオン』の権利配分をカラーに払えなかった。
そこで不思議なのが、さらに庵野くんが1億円を貸して、それも返ってきてない。
『この世界の片隅に』のプロデューサー・真木太郎さんいわく「今のガイナックスには現場があまりない」らしいんですよね。
この辺、僕は語りにくい話です。
「誰の得にもならない話はしたくないな」って、大人になっちゃうんだよね。
【まとめ】
正直、この件はあまり話したくありません。
しかし、庵野秀明も山賀博之も『アオイホノオ』のキャラとは別人です。
そこを混同すると、話が理解しにくくなると思います。