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以前より岡田さんが語っていた、一部の優秀なクリエイターのみが稼ぐことができて、それ以外は全て無償化、中間が存在しないような世の中が現実のものとなってきたのだと思います。
炎上騒ぎの渦中には、その中間層の人たちも多くいるのだと思いますが、その人達は今後どのように生きていくべきなのでしょうか?
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(前回の続きから)
たとえば韓国の慰安婦像問題ってあるじゃないですか。
韓国が領事館の前に作ったら、日本政府が怒って領事を引き上げた。
それについて日本のマスコミの大多数が「よくやった、ざまあみろ」という論調になってるんだよね。
僕が土曜日に出演している『正義のミカタ』という、ネトウヨみたいな番組があるんだけども、その番組で「この件について、どう思いますか?」と聞かれた時に「クレバーだけども悪い手だ」と答えたんだよね。
クレバーというのは、確かに効き目がある。
安倍首相は賢いよね。
クレバーだよね。
ただ、手としては下手だよね。
そう言ったんだよ。
それは、どうしてか?
2015年の末に、日韓合意というのがあったよね。
あの時に、実は「日韓合意に賛成する」という韓国の人が50%近くいたんだよ。
ところが今は25%を割ってる。
つまり、いきなり半分くらいになっている。
僕は「相手の国民感情を逆なでするのはどうだろう?」って思うんだよね。
もちろん、「そんなの韓国の政府と市民の問題じゃないか!これまで国民を焚きつけて“従軍慰安婦!”と言って大騒ぎして国内問題をやり過ごしてきた韓国政府のケツを、なんで日本人が拭かなきゃいけないんだ!」という意見は、よくわかる。
ただ僕ら日本人だって、“沖縄基地問題”という微妙な問題を抱えているわけでしょう?
あれも日本政府と沖縄県の人たち、そして一部の人が揉めているだけなんだ。
でも、一部の人たちだけが揉めているのかどうかなんて、外国のマスコミの人が見てもわからないよね。
21世紀は、“国民の敵は国民だ”という時代。
これはもうファクトがなくて、オピニオンだから。
何をどう見ればいいのか?
ファクトで言えば「沖縄県に米軍の基地があります。ずっと前からありました。しょっちゅうレイプ事件とかが起こってます」このへんまでがファクト。
でも「それを、どう見るのか?」というオピニオンは色々ある。
市民が政府の思い通りにならないことなんて、沖縄の件を見たら分かる通り、あたりまえのこと。
なので、人のことはあまり言えないよね。
こういう「みんなが感情的になりやすい問題」に、ファクトチェックは“ほぼ無駄”だと思っているんだよ。
ファクトチェックは、日本からトランプ大統領を見た時には効くと思う。
アメリカの大統領がヒラリーであろうとトランプであろうと、僕らの感情はカッカしないよね。
ところが、従軍慰安婦像の問題になると、いきなりカッカする人がいる。
僕だって韓国からあんなこと言われたら、心中は穏やかでいられないよ。
また“韓国”という日本語の使い方が悪いわけだよね。
その“韓国”が、“韓国政府”なのか、“韓国国民”なのか、分かりにくい。
そのへん日本語ってすごい曖昧にできてるから、混同して考えちゃう。
なので事実上ファクトチェックというものは、みんながカッカきてしまった瞬間に無駄になってしまうわけですね。
(次回に続きます)