今回は『HUNTER×HUNTER』連載再開を祝して、『HUNTER×HUNTER』の第一巻について語ります。
今回の記事はニコ生ゼミ5/14(#178)より一部抜粋しました。
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「祝『HUNTER×HUNTER』連載再開! 第1巻の見どころを語るよ!」
6月に『HUNTER×HUNTER』34巻が出るよね。
新刊が発表されるということは連載が始まるということなんだよね。
たぶん三ヶ月ぐらいしたら、また冨樫先生は休んじゃうんだろうけども(笑)。
とりあえず今回は、第1巻の凄さを話してみるね。
第1巻でキャラクターが全員ぽんと出てくるシーンがあるんだ。
レオリオとクラピカとゴンが3人出てきて、ワンフレームで紹介されるんだけども。
上手いと思うのは、冨樫さんの絵だよね。
背の高いレオリオがしゃがんでいる。
本来、ワンフレームでやるなら、もっとキャラクターが引いた画になっちゃうはずなんだ。
でもレオリオを屈ませることによって、彼の背の高さというのを表現している。
3人の身長バランスがわかるようになっている。
おまけに、それぞれの表情を少し大きくしてバックに描いている。
ここでゴンの顔の位置を一番高くしているんだけど、これって本当は嘘なんだよね。
本来はレオリオの顔が一番高いところにくるはず。
でも、こういう見せ方をすることで、「3人が一度に出てくるシーン」というのを画として飽きにくくしているんだ。
さらに言えば、このシーン、レオリオは横目で見ていて、ゴンは真正面から読者を見ている。
ところがクラピカだけ読者を見ていない。
この目線の外し方っていうのは、最初から「こういう風なキャラクターだ」と決めて描いているんだよね。
普通の人がこれを描いたら、やっぱりクラピカもこちら側に顔を向けるんだよ。
ところがクラピカというキャラクターはこちらを見ない。
目線を外すという使い方をしている。
この後、それぞれの自己紹介のシーンがある。
3人を乗せた船の船長さんに、「お前たちはなんでハンターになりたいんだ。言え!」と言われる。
それに対して「自分が納得しなかったら、決闘してでも言わない」というレオリオに対し、クラピカはいろいろと喋るんだよね。
クラピカは、この“セリフの過剰さ”で、キャラクターを作っているんだよ。
ゴンはそんなに喋るキャラクターじゃない。
でも、初期のレオリオとクラピカがいっぱい喋ってくれるおかげでドラマが持っている。
その意味では、すごく誠意があるキャラクターなんだよ。
誠意があって、「なんで自分ができないのか」という事を、とことん正直に話そうとする。
ところが彼の正直さ・誠意によって、どんどん人間関係の摩擦が起きていく。
レオリオがどんどん追い詰められていく。
この辺のシーンが、すごく上手いんだよ。
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