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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/07/24
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今回は、ニコ生ゼミ7月15日(#239)から、ハイライトをお届けいたします。

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 失敗=経験値? 実は儲かりそうなホリエモンのロケット


 ホリエモンのロケットの話をします。

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 これはホリエモンのロケットが爆発している所ですね。


 6月30日、北海道で打ち上げた “インターステラテクノロジズ” のロケット “MOMO(モモ)2号機” が、わずか4秒で墜落と。

 原因は不明だが、燃料の燃焼圧力が低下し、出力が低下したと説明されています。


 「何で爆発したのか?」っていう話ですよね。 


 まぁ、ホリエモンのロケットのMOMOシリーズっていうのは、元々 性能は低めだけども必要充分であって、コストがメチャ安っていうのを狙っているんですよ。

 だいたい長さ10mあってですね、2号機って重さが1トンぐらいあるんですよね。


 で、本当は高度100キロ、つまり高度100キロって宇宙の定義なんですけども、いちおう宇宙の一番 “底” の所に行けるような性能だったんですけども、爆発しちゃいました。


 それで、これがホリエモン・ロケットのエンジンの仕組みです。

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 実はこれね、かなり簡単な仕組みで出来てるんですよね。


 ロケットの技術って、実は1960年代のアポロのサターンV型ロケットぐらいで99パーセント完成してるんですよ。

 それで今の、そこから先の40年間~50年間のロケット技術っていうのは、「残り1パーセントをどこまで詰めるか?」っていうのをずーっとやってたんですけども。


 このホリエモンのロケットっていうのは、液体酸素と、エタノール、いわゆる燃料ですね。

 ヘリウム・窒素ガスのボンベから、液体窒素、燃料のそれぞれの水面に圧力をかけて、バーッとエンジンのところまで持ってきて、エンジンのところから噴射して、そこで燃焼させるという。

 ま、凄い単純な仕掛けなんですね。


 どれぐらい単純かっていうと、この「ガスによって燃料を運んで圧力をかけて噴射させる」っていうのは、1926年にアメリカのロバート・ゴダードって人が作った世界最初の液体燃料ロケットと原理的にまったく同じなんですね。

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 だから実は、この後のドイツのV2号とかは、“ターボポンプ”というポンプで燃料を運んで燃焼させるという事で進化してるんですけども。

 ホリエモンのロケットは、あえてこのゴダードの時代にまで歴史を退化させてるんですよ。

 ここら辺が、テレビとかの報道ではやらない。


 まぁ、どうやっても「ロケットってハイテクだろう」というふうに、みんな思い込んでるんですけども、違うんですね。


 ホリエモンたちがやろうとしてるのは、あえてロケット技術を退化させて、枯れた技術を簡単に扱う事によって、すごいコストダウンしようとしてる。

 その代わり、この燃料のインジェクターの形式とかは、衝突型インジェクタっていうんですけども、もう最新のバリバリの形でやっていこうとなってるんですけどね。


 まぁ、「軽い衛星を、格安で打ち上げるため」ということで、コスト削減の為に部品なんかは民製品をガンガン使っていると。


 民製品で充分なんですよね。

 中国とかロシアのミサイルとか、兵器で一番大事な誘導兵器の誘導部品とかは、秋葉原で買った部品をバンバン使ってますんでですね(笑)。

 実は日本の民製品を使っていれば、そこらの国の軍用品よりは、ずっと性能がいいと。


 で、メディアでは「爆発したから、もうダメ」とかって言われているんですけども、実は正直 液体ロケットなんて爆発して当たり前なんですね。

 さっき言ったドイツの最初の液体ロケット “V2号ロケット” なんて、最初の50発ぐらい 全部 爆発したんですよ。

 その爆発でデータが取れたと。

 それで実用化した後もV2号ロケットをロンドンに向かって打ち込んだんですけども、打ち込んだのが1100発ぐらいなんですけども、無事に届いたのが500発ぐらいしかないんですよ。


 半分以上は途中で落ちてるんですね。

 ただ、この失敗があったおかげで、当時のドイツは世界で最先端を行けたわけです。


 ロケット開発では、失敗の回数=経験値みたいなもんだと。

 本当に模擬試験を受けている回数みたいなもんだと思ってくれていいんです。


 それで多分、今回 爆発したのも、「発射4秒で推力が足りなくなって、燃焼圧力が消えた」って言ってますから、もう実に簡単な話。

 この “エタノールマニホールド” か、 “液体酸素マニホールド” っていうエンジンに繋がるパイプ・ジョイント部分、もしくは中のインジェクターあたりぐらいしか原因が考えられないんですね。

 または、このヘリウム・窒素ガスの圧力がどこかから漏れてっていう可能性もあるんですけども、ここのガスが漏れれば内部のセンサーで検知されるはずなんですね。


 なので、「急にエンジンの燃焼圧力が消えてしまった」という事は、もう ここら辺のエンジンのソケット周りぐらいしか考える所がないので。

 正直に言って、あと10回ぐらい連続して失敗できたら、もう絶対に大丈夫になるんですよ。


 それでホリエモンのロケットが強いのは、1回につき、だいたい3000万円ぐらいから4000万円ぐらいしかコストがかからないので。

 最大で見ても、3億円失敗する覚悟があったら、宇宙に対して打ち上げる事が確実になるんですね。


 だから、打ち上げの失敗回数=財産 って発想で見たら、あのロケットの未来っていうのは、実は かなり明るいと僕は思ってるんですよね。

 あんなにコストを安く運用してるから、どれだけ失敗しても繰り返せるわと。

 それで、もう ここまで行っていたら、あとエンジンの燃料のマニホールド系の爆発だったらば、もう本当に最大でも5回か10回は爆発したら大丈夫なハズだから(笑)。


 正直な話、もし このホリエモンのロケットの会社が上場したら、僕は株を買ってもいいなというぐらい「これは儲かるだろうなぁ」というふうに思ってますんで。


 わりとよく世間で「ホリエモンのロケットは、2回続けて爆発したからダメじゃないか」と言われてるんですけども、この爆発なんて、いわゆる“テレメーターロスト”っていわれるヤツなんですよ。


 「ロケットが飛んでる最中、ロケットの中の状態はどうなってるのか?」っていう計器の読み取りデータを “テレメーター” って言うんですよ。 

 このテレメーターのデータが来ないので、「じゃあ危険だから」という事で、緊急停止スイッチを押して落としてるんですよね。

 だから実は これは事故ではなくて、送信系の都合なんです。


 こんなのはロケットの業界では かなり上手く行っていて、最後の最後の詰めの部分なので、わりと楽観視してるんですけどね。

 なので、全然 ダメとは思っていない。


 記者会見のときにホリエモンが あんなに困った顔をしていたのは、おそらく「でも具体的には、どの部分が壊れたのか よく分かってないから、ちょっとパニクってる」んだと思うんですけどね(笑)。


 まぁ、2回続けて失敗したという事で、逆に「これは絶対に儲かりそうだなぁ」と僕は思っています。



 そうですね、メディアの無知さというか、メディアの方々が どの部分を話題にしたいのかかな。

 やっぱりね、今回はロケットがテレビカメラの目の前でキレイに爆発してくれたので、失敗の話を取りたいんでしょうね(笑)。

 でも本当に、失敗してナンボだと思ってるから。


 逆にJAXAとかは可哀想なんですよ。


 一回の打ち上げに何億とか何十億ってなってきてるから、「1回 失敗したら、もう次が無い」とか、「2回連続で失敗したら、もう次が無い」とか思い込んじゃってるから、実験とかが出来ないんですね。

 だからもう安全なロケットを作らなきゃいけない。

 そうすると、どんどんコストが嵩(かさ)んでいくんですよね。

 
 でも、ホリエモンのロケットはナンボ失敗しても大丈夫だから、ひたすらコストを安く抑えられるところが、すごい勝算があるなぁと思っています。

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