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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/07/26
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今回は、ニコ生ゼミ7月15日(#239)から、ハイライトをお届けいたします。

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 ハリウッド版ガンダムではアムロは中国人になる! 岡田斗司夫の大胆予想 


 ハリウッドで、『ガンダム』の実写映画化が発表されました。

 制作は “レジェンダリーフィルム” という、『パシフィック・リム』とかを手掛けているところです。


 このニュースについて、ネットでは、かつてのプレイステーション版アドベンチャーゲーム『GUNDAM 0079 THE WAR FOR EARTH』の再来になるんじゃないかと騒がれております。

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 これはマニアの間で “ケツアゴ シャア” と呼ばれているものなんですけど。

 外人の俳優さんが、ガンダムキャラのコスプレをするという、実写作品なんですけど、なんか、吹き替えだけは原作と同じ声優の池田秀一さんなんですよね(笑)。

 まあ、過去に、こんな悪夢のようなゲームがあったんですよ。


 このゲーム自体は、元々はバンダイの作った “ピピンアットマーク” 用のゲームとして作られたそうなんですけど。

 バンダイが、わざわざ「コンピューターを開発して売ろう!」とか、トチ狂ったようなことを考えて、そんなハードを出したことがあったんですよ。

 ……いや、本当言えば、僕はこのピピンについて、あんまり悪口を言えないんですけど。


 実は、バンダイのピピンを作った事業部というのは、『オネアミスの翼』に金を出してくれた事業部と全く同じだから、僕が何を言っても「左手が右手を笑う」みたいになっちゃうんですけども。

 でも正直、僕ら自身からしたら、「俺らの映画に4億しかくれなかったのに、何十億も掛けてあんなの作りやがった!」って思ってたんですよね(笑)。


 まあ、実写版のガンダムとしては、バンダイがピピン用に作り、後にプレイステーション用ソフトになったゲームがありました。

 で、これの再来になるんじゃないかということで、ネット業界では、ちょっとザワザワとしています。

・・・

 ハリウッドが『ガンダム』を作るとなると、やっぱりみんな「どこまで “ガンダム” をやるのか?」っていうのが気になるみたいなんですよね。

 「コロニーの独立戦争というものを本当に描けるのか?」と。

 僕も、この辺は疑問なんです。

 というのも、ハリウッドのSF映画って、基本的に “人間対人間の戦争” を描けないんですよね。


 ハリウッドメジャーの作品で、人間同士の戦いを描いた映画って『エリジウム』くらいのものなんですよ。

 基本的には「宇宙人とかロボットが攻めてきて、人間が戦う」という形にしないと、正直、戦争というものは描けない所があるんです。


 僕の予想なんですけども、レジェンダリーが『ガンダム』を作るとなると、予算として100億以上を掛けることになるんですよ。

 そして、「100億以上かけてハリウッド映画を作る」ということは「世界中で公開しても大丈夫なものにしなければいけない」という意味なんです。


 人間同士が戦う映画を描くとなると「敵役になった人種に対して、偏見があるんじゃないか?」とか言われることになるんです。

 今、ハリウッドは、そういうツッコミが怖くて怖くてしょうがないんですよね。

 なので、僕は「このハリウッド版ガンダムは、下手したら『ブレードランナー』になるんじゃないか?」と思ってるんですよ。


 たとえば、「宇宙への移民が可能となった時代、人類は、宇宙コロニーに “レプリカント” を住ませた。しかし、レプリカントは人類に独立戦争を挑んで、コロニーを落としてきたのであった!」みたいな話にするんじゃないかって。


 これ、いかにもハリウッドがやりそうなことなんですよ。

 まあ、それをやっちゃうと『新造人間キャシャーン』になっちゃうわけですけど(笑)。


 ところが、こんな『新造人間キャシャーン』みたいにしたとしても、「宇宙にいるレプリカントが人類に対して戦いを挑んできた」という構成にするだけで、一番最初の『機動戦士ガンダム』にあった複雑な人間関係が、あっという間に整理できるということに、僕は気がついちゃったんですよね。

・・・

 今から、俺、ちょっと、自分で勝手に妄想した「ハリウッド版ガンダムはこんな話になるんじゃないかな?」という話をしようと思うんですけども。


 まずレプリカントたちしかいない宇宙コロニーで、「レプリカントだって人間と同じだ!」というふうに人権獲得を求め、暗殺されたのがジオン・ダイクン。

 もちろん、彼を殺したのはザビ家なんですけども。


 このダイクンには2人の子供がいました。

 お兄さんのシャアは、身分を隠してザビ家のモビルスーツのパイロットになりました。

 そして、妹のセイラは “人類連邦軍” のモビルスーツ “ガンダム” のパイロットになります。

 こういうふうに、兄と妹の対立ということにしておけば、ハリウッドが大好きな “家族の話” に出来るんです。


 「じゃあ、アムロはどうするんだ? そんな話にするならばアムロが要らなくなるじゃないか!」って思うでしょ?

 いやいや、ちょっと待って。

 制作を行うレジェンダリーフィルムは、今や “中国系の企業” になってるんですよ。


 なので、「アムロ・レイは中国人」という設定にする。

 そんなアムロのお父さんは、ガンダムを作った張本人で、おまけに、宇宙戦艦ホワイトベースの艦長にしちゃえばいい。


 こんなふうに考えれば、「ホワイトベースのキャプテンであり、ガンダムの開発者でもある父親が近くにいる息子の話」と、「父親が死んでしまって、その敵討ちをしようとして、別れ別れになった兄妹が戦わざるを得なくなる」という、2つの家族像を描ける。

 これまた、ハリウッドがいかにも好きそうな話になってくるわけですよ。


 というわけで、中国系のアムロの父がブライト艦長と同じ役割をすることになるんだから、話全体の舞台の流れは「ホワイトベースは大連あたりの基地からロンドンを経由してニューヨークに向かう」みたいになるんですよ。

 ついでに、セイラの故郷も、ニューヨークのブルックリン辺りにしておく。

 で、いざそこに着いてみると、故郷のブルックリンは廃墟になってるんですよ。


 セイラは、幼い頃、自分が育った家というのを探して、ボロボロになった家を見つけます。

 しかし、そこに置いてあったアルバムを見ても、お兄さんの写っている写真が1枚もない。

 「え? 私のお兄さんの子供の頃の写真がなんで一枚もないの?」と。

 この辺が伏線になってくるんです。


 「アムロ・リー」(コメント)


 いいですね、その名前。

 採用しましょう(笑)。


 物語の終盤で、中国系の “アムロ・リー” は、お父さんへのコンプレックスから、セイラを連れて2人でホワイトベースから脱走するわけですよ。

 しかし、そこに、セイラの幼き頃のカンフー指南役のランバ・ラルというヤツが襲ってくるんです。


 ランバ・ラルは「姫様、私がマスターですぞ!」とか言って、ガッチャンガッチャン戦うんですけども、その中で “ニュータイプ” に目覚めたセイラは、「私は今やニュータイプで、あなたを超えた! Now I am a master!」とか言いながら対抗する。

 しかし、実は生前のお父さんと会ったことがなかったセイラは、戦いの中で、ランバ・ラルにお父さんの面影を見て、ジオンに拐われてしまう。

 それを助けだすために、アムロがランバ・ラルを倒す、というのが映画のクライマックスになります。


 さらに、セイラも、最終盤で、お父さんの敵であるザビ家のガルマ・ザビを倒そうとする。

 しかし、その瞬間、ガルマ・ザビの乗ったモビルスーツを後ろから撃ったのはシャアだった。

 そして、ここで明かされる驚愕の事実。

 この、お兄さんだと思っていたシャアという男は、実はお父さんジオン・ダイクンとレプリカントの女の人の間に出来た子供だったんですよ!(笑)


 そんな、「果たして、シャアは敵か、味方か?」というところで、カリフォルニア決戦は人類連邦側の勝利に終わる。

 しかし、「宇宙を取り返すために、我々はもう一度、宇宙に上がらなければならない」ということで、ホワイトベースがガーンと軌道に上がっていくところで、第1部が終わるわけです。

 ……まあ、レジェンダリー・フィルムズのいつもの映画の感じなら、ここまでで2時間の尺に収まります。

・・・

 こういう構成は何のためにやるのかというと、まず、「いろんな人種が出せる」から。

 そして、「戦争と個人と家族というテーマに出来る」上に、「家族の再生というテーマを話の中に入れ込める」。

 なにより「敵役になるのが問答無用の悪いヤツに出来るから、ラストでスカッと勝利できる」んです。


 100億以上掛けて作る映画には、こういった “やらなきゃいけないお約束” というのがいくつかあるんですけど。

 それを守った上で『ガンダム』を作るとなると、こんな感じになるんじゃないかと思います。


 ハリウッドのこのクラスの映画になると、家族問題と、男女問題と、人種問題というのを必ず入れるんです。

 それに対して「なぜ戦争をするのか?」みたいな政治的な問題というのは絶対に入れないんですね。

 なので、こういう構成だったら、大丈夫じゃないかなと思うんですけども。

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