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今日はDMMオンラインサロン【岡田斗司夫ゼミ室通信】から、9月2日 特別講義をお届けします。
「手塚治虫にはできなかった実写的演出術『機動戦士ガンダム』より」
ランバ・ラルも死んでしまいます。
それでも、ランバ・ラル隊にはまだ残された者がいて、まだ戦意があったというところで前回が終了、今回の「激闘は憎しみ深く」になります。
今回、“シーン” という言い方をしてみます。
実写映画で撮ったらどういうふうなシーン進行やカット割りになるのかという視点で解説していきます。
夕日をなぜこんなデカく描いているのかというと、これ、砂嵐が起きている時の夕日なんですね。
だから、ギラギラ光っています。
おまけに風が吹いて、太陽がユラユラユラユラしているところから始まります。
これで、ドラマに厚みがでるからです。
漫画って、シーンが変わったら、捨てカットみたいに、太陽を描いたり、夜を描いたりする。
読んでいる人に、時間経過を感じさせたり、新しい一日が始まったというのを意識させるための描写です。
これが、本来あるべきであった手塚アニメと言えます。
手塚治虫さん自身は、コンテを描く時、こういう手法を使うのがすごい下手なんですよ。
手塚治虫は、もう本当に連載中で時間がなかったんですけど、それでも大喜びで行ったんですね。
無い時間を割いて、絵コンテを描いて、東映動画に見せました。
そしたら、東映動画のアニメーターたちが「これではアニメ作れない」と、ボツを出したという話があります。
自分自身は映画的手法を漫画の中に落とし込んだ人なのに、あんなに好きだったアニメをいざ作ろうとしても、そういう映像的なコンテが全然切れない。
ここらへん、なんか皮肉なもんだなと思います。
こういう時、富野由悠季の頭の中には、「本当だったらこういう実写的イメージがほしいんだけど、これをアニメで再現するには、この手法で」というのがあります。
本当だったら、猛烈な砂嵐のおかげで夕日がぐにゃぐにゃ動いている。
これを、波ガラスを手前に一枚置いて、その波ガラスを、右から左へ動かすことによって、なんとなく砂嵐感で太陽がぐにゃぐにゃ揺れて見える感じを出しています。
太陽の絵はセルなんですよ。
全く同じ仕上げ処理をした太陽の絵のセルに、エアブラシで縁取りみたいな部分を描いています。
そうやって用意した2枚のセルを交互に見せるんです。
全く同じと言っても、エアブラシだから、2枚の縁取りは微妙に違います。
それを交互に見せることで、この太陽がギラギラしている印象を作っています。
現実のこの風景をアニメで表現したいから、こういうふうに撮影してみようと、ちゃんと落とし込んで描いているわけです。
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いかがでしたか?
「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。
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