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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「神にも悪魔にもなれる “ロケット”についての話」
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「神にも悪魔にもなれる “ロケット”についての話」

2018-10-08 06:00
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    岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/10/08
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    今回は、ニコ生ゼミ9月30日(#250)から、ハイライトをお届けいたします。

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     神にも悪魔にもなれる “ロケット” についての話


     今回は白い悪魔 “フォン・ブラウン” と赤い彗星 “セルゲイ・コロリョフ” という事で、ロケットの話をしようと思います。

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     僕はロケットが好きで、いろんな種類のオモチャを集めているんですよ。

     たとえば、これはベルギーのマンガ、バンド・デシネ『タンタンの冒険』に出てくるロケットですね。

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     あとはライターのロケットとか。

     中にアルコールは入って無いんですけども、まだ石があるので、火花が出たり煙が出たりはします。

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     こんなふうに、ロケットのオモチャをいろいろと集めています。


     大きいのになると、パカッと開けると中に宇宙飛行士が二人乗っていて、他の場所を開けると宇宙犬が座っていてという。

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     これも可愛くて好きなんですよね。

     他にもパカッと開けると、中から月面車みたいなのがコロコロコロと出てくるというふうになっています。

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     スペースシャトルとかは 全然 集めて無いんですけどね。

     あくまでロケットなんですよ(笑)。


     ロケットが好きで、ロケットを集めるんですけども、不思議とみんな同じような太い水滴型をしてるんですよね。
     
     それが変なんですよね。


     たとえば月に行ったロケットのサターンV型っていうのは、全然違う形をしてるんですよね。

     あとは現実にアメリカ人を軌道に送ったレッドストーンロケット。

     これも細長い形をしています。


     現実のロケットと、オモチャのロケットで、違う形をしてるんですよね。

     こちらはソ連のソユーズを宇宙空間に送る “R-7” というロケットなんですけども、これもやっぱり架空のロケットの形とは全然違うんですね。

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     「これは何でだろう?」というところから、今回の話を始めようと思います。

    ・・・

     なんでオモチャのロケットと言えば、このような太い水滴型になっちゃうのかですね。

     これは面白い事に、オジサン世代にロケットを描かせれば、だいたいみんなこの形を描くんですよ。

     子供じゃなくて。


     それは何でなんだろうと。


     それともう一つですね。

     1960年代の宇宙ブームのときに、子供たちはロケットが大好きだったんですね。

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     それで横山光輝さんが描いた『宇宙船レッドシャーク』っていう宇宙船が出てくるマンガがあるんですけども、この宇宙船にもオモチャの宇宙船と不思議と共通点がある。

     その共通点って何かっていうと、すべてチェッカー模様が付いてるんですね。


     今日の僕のネクタイもチェッカー模様なんですけども(笑)。

     ちなみにチェッカー柄のネクタイが欲しかったら、クロアチアに売ってるんです。

     それが一番良いと聞いたんで。


     すべての昔のオモチャのロケットにはチェッカー模様が付いている。

     これは何でだろうと。


     変なんですよね。

     たとえば宇宙っぽくしたかったら、未来っぽくしたかったら、チェッカー模様じゃなくてもいいんですよ。

     たとえばアトミックな柄とかでも「未来ですよ」って感じがするはずだから、これを描いてもいいはずなんだけども。

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     何故か昔のロケットのオモチャには、すべてこのチェッカー柄が付いているんですよね。


     次に不思議な事の三つ目です。

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     この『サターン』のロケットのプラモデルなんですけども、下のところにドアが付いてるんですね。

     その他に、フィギュアも付いてて、パイロットみたいなオジサンと、スチュワーデスみたいなお姉さんが付いてるんです。


     こういう宇宙旅行が語られていた時代でもあったんですね。

     このプラモデルが売られてたのは1960年代の頭ぐらいなんですけども。


     だいたいイメージとしてはアメリカの郊外ですね。


     街から自転車で走って五分ぐらいの岡の上に、7歳ぐらいの男の子が駆け上がっていくと。

     ニューヨークから仕事で帰ってくるお父さんを待って、自転車で駆け上がっていって、空を見ると。

     すると真っ青な紺色の空の上に、真っ白な雲が一本だけシューッと伸びてきて。

     それが見る間に頭の上で停止したかと思うと、ロケットがお尻から火を噴いてゴーッと降りてくるんですね。


     それで着陸してドアが開くと、最初にスチュワーデスさんが現れて、次に父親が現れる。

     男の子はタラップを降りてきた父親に駆け寄って、週末が始まるという。

     こういうイメージ。


     これは何かっていうと、このプラモデルの箱に描いてあるんです。

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     このサターンってプラモデルの箱には「Interplanetary Space Vehicle」って書いてある。

     つまり “惑星間飛行宇宙船” ってふうな意味なんですけども。


     その箱を見ると、実際は半ズボンの少年がタラップを降りてきて、ここで待っているお母さんとかお父さんに会うってイメージなんですけども。

     これが当時に売っていたプラモデルなんですね。


     ところが、まったく同じプラモデルでちょっとだけ色味が違うパッケージ違いの箱には「Satellite Inter-Continental Ballistic Missaile」って書いてある。

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     これがどういう意味かっていうと、“衛星軌道の大陸間弾道ミサイル” って意味なんですね。


     これはパッケージが違うだけで、同じメーカーから出ている同じ商品。
     
     それで片一方は楽しい夢の宇宙旅行を語り、もう一方は核戦争を語っているという事なんですね。 


     それで、なんでそういう “世界を素晴らしく作り上げる力” と、“世界を核の炎で滅ぼしてしまう力” の両方を描かれているのか?

     このロケットというのは、何で夢と悪夢の両方の顔を持っているのか?

    ・・・

     僕にとって“夢と悪夢の両方の顔を持っている” といえば『マジンガーZ』なんですね。

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     これは永井豪のマジンガーZの最近のバージョンなんですけども。


     マジンガーZを作ったのは。主人公・兜甲児のおじいちゃんの兜十蔵です。 

     それで兜十蔵 博士はロボット研究の事故で、兜甲児の両親を死なせてしまう。


     それで以後は秘密の地下の研究所で、内緒の研究に打ち込んで、ついに巨大ロボット “マジンガーZ” を完成させる。

     そうすると「神となり人類を救うことも、悪魔となり世界を滅ぼすことも可能じゃ!」「甲児、世界を手玉にとるがよい!」と言ってですね。


     「お前は神にも悪魔にもなれる」っていうのが、少年ジャンプに連載されていたマンガの衝撃の第一話だったんですけども。


     ガンダムもそうなんですけども、今の巨大ロボットものっていうのは、そこに繋がるテーマっていうのは、たった一つで。

     「神にも悪魔にもなれるスーパーパワーを与えられた。 君はどうする?」っていうのが、マジンガーZから始まった巨大ロボットもののテーマなんですね。


     これは巨大ロボットものだけじゃないです。

     たとえばマーベルのアベンジャーズ・シリーズもそうですし、スーパーマンも同じですね。


     巨大な力を与えられたときに、人は何をするだろうか?

     すべきだろうか?


     たとえば『風の谷のナウシカ』の巨神兵だって、作られたときは「これで世界平和がやって来る」って科学者たちは思ったはずなんですよ。

     ロケットも同じように、生まれたときから「神にも悪魔にもなれる」というように人々に思われた。


     だから “宇宙飛行” と “核ミサイル” と両方のイメージが、同じプラモデルの箱違いで、二つのバージョンで出る事になったわけなんですね。

    ・・・

     まとめると不思議は三つですね。


     なぜロケットのイメージは、だいたい同じような形をしているのか?

     似たような形のロケットには、なんでチェッカー模様が描いてあるのか?

     そして最後には、何でロケットには神と悪魔の両方のイメージがくっ付いちゃっているのか?


     この三つの謎を語りながら、白い悪魔 “フォン・ブラウン” と、赤い彗星 “セルゲイ・コロリョフ” の二人の天才科学者の人生というのを、ちょっとずつ語っていきたいと思います。

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