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「【白い悪魔と赤い彗星 1 】 ロケットの歴史は2人の “SFの父” から始まった」
すみません、デカいです。
全体の登場人物としては、これくらいいます。
ヒトラーの部下のドルンベルガーと黒いフォン・ブラウン。
フォン・ブラウンは、その後に白いフォン・ブラウンになります。
そして、ルーズベルト大統領の後、アイゼンハワー大統領、ケネディ、ジョンソン、ニクソンまでいかないと、月旅行までは進みません。
第1次大戦後に結ばれたベルサイユ条約によって、ドイツの大砲の生産数が決定されてしまったからなんです。
それを打ち破るためには大砲ではない攻撃兵器が必要になった。ということで「これは大砲じゃない! “ロケット” だ!」と言って、ベルサイユ条約にひっかからない兵器の開発を始めたわけですね。
ではなぜ、そこからソ連は急に宇宙開発に力を入れるようになったのか?
スティーブン・キング、スタンリー・キューブリック、富野由悠季などに影響を与えたロケット開発。
そして、フォン・ブラウンがアメリカに渡り “白ブラウン” になってからは、ヴァンガードは失敗した。
エクスプローラーは成功だ!
マーキュリー!
ジェミニ!
アポロ計画!
と、ドンドン進んで行くぞ!
……という、この全体像を語っていこうと思います。
なんかねもう、ほとんど1人でNHK特集をやってるみたいな気持ちになってくるんだけど(笑)。
なので、頑張って話していきます。
フランスの冒険作家にジュール・ヴェルヌという人がいました。
パリで法律を学んでいたんですけど、ポエムを書いたり、遊んでいるうちに小説家になっちゃったような、金持ちの息子です。
ここは頭に入れておいてください。
つまり「どれくらいの直径の大砲を作ったら、どれほど遠くまで弾を撃てるのか?」というのを計算する学問です。
ヴェルヌは、これを使って「直径2.1mの中空のアルミニウムの砲弾を、全長270mという巨大な大砲から発射すれば、人間を月まで送れる」ということを計算し、それを小説にして書いたんです。
これ、計算上は本当にそうなんですよ。
しかし、フロリダに作られたその巨大な大砲による打ち上げは、打ち上げ自体は成功したんだけど、方向に僅かな狂いがあって、中に乗った3人は月の周回軌道をグルグル周り続けることになり、帰って来れなくなるんです。
そこで、本当は月に着陸する時に使う予定だった逆噴射ロケットを使って、月の軌道を離れ、そのまま太平洋に落ちてアメリカの軍艦に助けられた。
そんな『月世界旅行』という小説を書いて、大ヒットしました。
ちなみに、この『月世界旅行』で描かれる宇宙飛行って、実は後のアポロ計画とそっくりなんですね。
なので、これを書き切ったジュール・ヴェルヌは “SFの父” とも呼ばれています。
それが、イギリスのハーバード・ジョージ・ウェルズです。
金持ちのドラ息子だったヴェルヌに対して、ウェルズは苦労人です。
お父さんもお母さんも貴族の家の召使いだったんですね。
なので、小遣いなんて子供の頃から貰ったことがないし、学問も全て「旦那様の書斎の本を盗み読む」ということで勉強していました。
なので、彼は仕方なく作家になったんです。
ところが、作家になってみたら、大ヒットすることになったんです。
そういった作家というのが、当時は本当に少なかったんですね。
だって “ロマン派” 全盛の時代ですから。
たとえば、明治・大正時代の日本の小説を考えてもらったらわかる通り、ロマンスばっかりだったんです。
当時としては「貴族しか出来なかったような “恋愛” というのを、市民がするんだ!」ということだけで新しかったし、そんな小説ばっかりだったんです。
だから、科学的な知識を取り入れたヴェルヌとウェルズの小説は、両者ともに大ヒットしたんですね。
たとえば、後に彼は、国家同士の争いを調停する機関としての “国際連盟” というのを提唱したりします。
それも、ただ提唱するだけではなく、アメリカの大統領とか、レーニンとかスターリンに直談判して、本当に国際連盟を作っちゃったという、SFの父と呼ぶだけでは足りないほど偉すぎる人なんですよ。
ウェルズは、ヴェルヌが『月世界旅行』の中で描いた “大砲で月に行く” という方法を「ダサい」と切り捨てて、“反重力物質ケイバーリット” という架空の物質を考え、それで作った宇宙船で主人公を月に行かせます。
まずは、ウェルズがヴェルヌに対して「大砲で月に人間を飛ばすなんて、ダサい」と、バッサリ切り捨てます。
その何年か前に、『シャーロック・ホームズ』を書いたコナン・ドイルと、『ルパン』を書いたモーリス・ルブランが大喧嘩をしていました。
この喧嘩のきっかけは、ルブランが自分の小説である『ルパン』シリーズの中に、勝手にシャーロック・ホームズを出したことなんですよ。
それも、ホームズを悪役として出したもんだから、作者であるコナン・ドイルはメチャクチャ怒って、苦情を送りました。
すると、ルブランは「ほら見ろ。 やっぱりイギリス人はこんなふうにセコいヤツばっかりだ。 悔しかったら、お前も自分の小説に俺のルパンを出せばいいだろ?」と嘲笑ったんです。
こんなふうに、もともとイギリス人とフランス人、特に作家は、仲が悪いんです。
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