最近、ニコ生ゼミでは、ずーっと雑談をしていなかったんですよね。
雑談をせずに、いきなり本題に入っていたんです。
なので、たまにはちょっと雑談をしたくなったので、雑談の用意をしてきました。
『水曜日のダウンタウン』という番組があってですね、その中で『クロちゃんスペシャル』というDVDがあって、フィギアが付いてたんですよね。
なので、そのフィギア欲しさに買っちゃったんですけどもですね。
いい出来のフィギアだと思います。
“首の後ろの背中の毛” という気持ちの悪い部分も再現していてですね、なかなかいい出来じゃないでしょうか(笑)。
それで、この『水曜日のダウンタウン』の話を、少しだけしたいと思います。
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「これは “悪意のある演出” が面白い番組だ」っていうのは、前にも言った事があるんですけども、回によって、当たり・ハズレがあるんですよ。
それで、もう何ヶ月か前にコロコロチキチキペッパーズのナダルを使った企画でトラブルがあってですね、最近はめっきり大人しくなったんですけども。
10月3日にスペシャルがありました。
このスペシャルが凄かったと。
安田大サーカスのクロちゃん。
コイツは、いつもドッキリに引っかかる男なんですけども。
彼の自宅に、マネージャー同意で隠しカメラをいっぱい付けて「ベッドの下に人が住んでいても気づかれない」っていうのを検証しようとしたと。
もうデスノートみたいな話ですよね(笑)。
つまり、「クロちゃんが寝ているベッドの下に小柄な芸人を寝かせて、何日間 気が付かないか?」っていうのをやったんですね。
それで面白いのが、このドッキリそのものもいいんですけども、ドッキリに気が付いたときのクロちゃんの表情がいいんですよね。
なんでしょうね。
普通のドッキリのときじゃなくて、その後で問い詰められたときの顔ですね。
あと、ウソ ツイートをして、「食べてない」って言ってたんだけども、実は食べていたっていうのがバレたときに「誰が話したんだ!?」と。
菊池っていう信頼している後輩も、そっちなんだと。
「あ、菊池もそっち?」っていう、この顔のアゴを上げて見下す感じ。
実はこの人は、パニックになると人を見下すような顔をするっていうクセがあって。
その辺、悪い顔をするんですよ(笑)。
メチャクチャ悪い顔をするんだけど、そこが面白いわけなんですけどもですね。
こういうリアクションとか、ウソツイートを咎められたときの顔が最高で見ているんですけども。
・・・
しかし、この番組の本領というのは、ドッキリというよりも、メタフィクション的なメタな構造なんですよ。
ドッキリ番組かと思ったら、そのドッキリのお約束を崩して遊ぶと。
たとえば過去に「どんなにバレバレのダメドッキリでも芸人ならつい乗っかっちゃう説」っていうのをやった事があるんですね。
このときは、「ドッキリだと知っていても気づかないフリをしなければいけない芸人の悲しいサガ」っていうのを見て楽しむ番組なんですね。
いわばテレビの内側の、スタッフの側の視点で笑うと。
たとえば出川哲朗さんがダメドッキリだと分かって、隠しカメラに気づいて、あわてて視線をそらす前に、一瞬 隠しカメラに目が行ってしまうんですね。
そこを拾って、「やはり隠しカメラを探し始めた」という事を言うという。
まぁ、こういうテレビの内側のスタッフの視点で笑うっていう。
実は、これは80年代の とんねるず の番組でよくやっていた視点なんですけども。
それを現代版にアップグレードしているんですね。
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それで10月3日の「ベッドの下に住んでいても気づかない」なんですけども。
それが終わったら、クロちゃんが例の悪~い顔をしてですね、そのままクロちゃんは目隠しをされて、次のコーナーにそのまま連れて行かれたと。
だから、もう番組のゲストはですね、「えぇっ、これで終わりじゃないのか!?」って驚いたのが、「クロちゃんの恋愛リアリティ企画」っていう『モンスターハウス』っていうコーナーが始まったんですね。
そのままクロちゃんが連れて行かれて。
それで、これは『あいのり』とか『テラスハウス』とか『バチェラー・ジャパン』とかあるじゃないですか。
ああいう、「男女が集まって、そこで本当に自然な恋愛が生まれるようにスタッフが仕向けて、それを隠しカメラふうに撮っていて」っていうのをドキュメンタリー構造でやるっていう。
これが恋愛リアリティって言われているヤツなんですけども。
それで、クロちゃんというモンスターが来ているから『モンスターハウス』って名前にしたんだろうと思ってたんですね。
目隠しされたクロちゃんが連れてこられて、そこでキラキラ系の男女5人がビックリしていると。
しかしクロちゃんは、あっという間に打ち解けて、次の日にさっそくバーベキューなんかをしたら、女の子たちはジャグジーがあるので水着に着替えてっていうのを、ゲストが大笑いして見ているって番組なんですけども。
ここではクロちゃんは完全な恋愛モンスターぶりを発揮してですね。
たとえば自己紹介では女の子の話しか聞かないと。
これは凄かったです。
本当に。
女の子が話をしているときは食いぎみに聞いて、男が自己紹介を始めると凄く気が無くて、男が喋った瞬間に、いきなりもうスパゲティを食べ出すんですね(笑)。
それで、「今、彼氏がいるかどうか?」だけを最初に必死で聞こうとすると。
それで女の子は三人いるんですけども。
バーベキューで、一番 若い子と、二番目に若い子を、それぞれテントに誘って、それぞれに「君が一番好きだよ」とマジで口説いて告白して手を握るっていうですね。
そんなふうに、ここまで見ていると「クロちゃんというモンスターがいて、普通のキラキラ女子の中に入っているから、キラキラ女子がそれに振り回される」、「それがモンスターハウス」というふうに見えるんですけども。
いやいや、まさか。
『水曜日のダウンタウン』という番組は、そんなヌルイ事をしないんですよ。
・・・
『モンスターハウス』と言ってるからには、そういう普通の事ではないと思うんです。
僕が思う『モンスターハウス』の正体なんですけども、構造は三つあります。
まずオチは、クロちゃん以外の5人全員がモンスター。
いわゆる仕掛け人で、クロちゃんを、いかに自然に騙すかと。
彼らが総掛かりでクロちゃんを騙して、これが“本当の恋愛バラエティ”だと思わせると。
クロちゃんは『モンスターハウス』というタイトルが分かっていますから、なのでクロちゃんは「自分の役割はモンスターだ」というふうに、その瞬間に分かっているハズなんですね。
なので、すでに第一話の番組の中で、必要以上にクズな男を彼は演じ始めています。
それでクズな男を演じ始めていて、他の出演者はそれを計算の上で、「そういうクロちゃんでも、実は案外 純真なところがあって素敵だ」ってふうに持ち上げてですね。
全部 仕掛け人なんですけども、番組内の恋愛にクロちゃんを本気にさせるっていうのが他の五人の役割なんだと。
つまり、他の五人がエゲつないモンスターなんですけどね。
もう一つ。
第一の悪意、第二の悪意ってあるんですけども。
これは、「すべての恋愛バラエティに共通する嘘くささを暴く」っていう影の企画意図が見え隠れしていてエゲつないんですね。
この出演者のキラキラした男女たちは、最初にその素敵なお家に来たときから、全員、カメラがあるのに絶対に見ないんですよ。
カメラに目線を送らない。
ドアを開けて、初めて入ってきて、カメラがあるんですよ。
それも隠しカメラじゃないんです。
パンもしてるし、アップもしてるから、その後ろに必ずカメラマンがいるわけですね。
それに、全員マイクをつけていないのに普通に喋って声が通ってるって事は、その部屋には長ーいブームがあって、その先にはでっかいマイクがあって、音声さんが振り回しているわけですよ。
そっちの方に、まったく目をやらないと。
これは当たり前の演出なんですけども、すべての恋愛バラエティ番組がやっている事なんですね。
それをこの『水曜日のダウンタウン』でやると、普通の恋愛バラエティが全部ウソに見えてくるというですね。
エゲつないですね(笑)。
「みんなマイクを付けていないのに、何でそんなに声が通るハズがあるんだ?」というですね。
だから、そういう環境で自然に振舞えるハズがないんですね。
だからクロちゃんも部屋に入ってきたときに、さすがにカメラを一瞬も見ないんですよ。
それで自然と目をそらしたと。
それで何が言いたいのかというと、この番組の表テーマは「やらせ番組と知っているクロちゃんを、やらせ番組と知りつつも、本気で出演させる」っていうオチの部分ですね。
これが目的なんですけども、その裏のテーマとして「恋愛リアリティ番組の持つ “やらせ臭さ” をからかう」ですね。
おまけに第二の悪意で、第一回目の放送のゲストに今田耕司を呼んでいるんですね。
今田耕司っていうのは『あいのり』とか『バチェラー・ジャパン』の司会をしている人です。
今田さんは『モンスターハウス』を見ながらも、やらせ臭さを指摘できない構造になってるんです。
それを指摘しちゃうと、「じゃあお前が山ほどギャラを貰って出ている他の番組はどうなんだ?」って事になっちゃうんですね(笑)。
何かそこらへんのゲストに対する悪意というか、キャスティングに及ぶまでの悪意が、なかなか面白いポイントになってるんですけども。
ま、これはあくまで岡田斗司夫の解釈であり妄想ですので。
現実の番組はもっと単純で、本当にクロちゃんが恋愛をするだけの番組かも分からないし、逆にもっと悪意があるかも分かんないんですけども。
次の放送が楽しみです(笑)。