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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「【『紅の豚』ジーナとポルコは最後どうなったのか? 3 】豚であることを気にしているのは女性だけ」
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「【『紅の豚』ジーナとポルコは最後どうなったのか? 3 】豚であることを気にしているのは女性だけ」

2018-11-23 06:00
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    岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/11/23
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    今回は、ニコ生ゼミ11月11日(#256)から、ハイライトをお届けいたします。

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     【『紅の豚』ジーナとポルコは最後どうなったのか? 3 】豚であることを気にしているのは女性だけ


     じゃあ、次の話題に行きましょう。

     「なぜ、ポルコは豚になったのか? 彼は人間に戻ったのか?」の解答編ですね。


     これは、ポルコがカーチスと対戦する前、冒頭でマンマユート団を倒した次の日の昼間に街へ行って、銀行のオヤジと話しているシーンです。

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     銀行のオヤジから「いかがでしょう? “愛国債権” などお求めになって、民族に貢献しては」と言われた時、ポルコは「そういうことはな、人間同士でやんな」と言うんです。

     ……あ、今、俺、声は似てないんですけど、言い回しはちゃんとモノマネ出来てたな(笑)。


     この「そういうことはな、人間同士でやんな」というのは、人間に対する強烈な軽蔑感や侮蔑感のあるセリフなんですね。

     つまり、ポルコというのは「豚になってしまった」んじゃなくて、「自分で豚を選んでる」んですよ。


     「人間よりは、豚の方がずっとマシだ」というふうに、ポルコも宮崎駿も思っている。

     「今どきこのご時世、この当時のイタリア、もしくはアドリア海で、豚じゃなく人間をやってるようなヤツらは、みんな豚以下だ」と思ってる。

     だから「人間に戻れない」んじゃなくて、「人間に成り下がるほど、俺はまだ落ちぶれちゃあいないぜ」という、このポルコの自意識を、まず最初に押さえておいた方がいいと思うんですよ。

    ・・・

     宮崎駿自身も『紅の豚』のパンフレットの中で「当時の第2次大戦直前のイタリアでは、ファシストの連中は共産主義者のことを “ポルコ・ロッソ(赤い豚)” と呼んでたことがあったんじゃないかと思ってます」と書いています。

    ――――――

     ファシストの連中は共産主義者のことをポルコ・ロッソと呼んだことがあったんじゃないかなと思ってます。

     言ってしまえば、社会主義という実験が無残な失敗に終わって崩壊している時、「俺は1匹だけでもいいから飛んでいるぜ!」と言ってるんですよ。

     それで、パリ・コミューンの歌(『さくらんぼが実る頃』)が好きだという図式が出来上がったんです。

    (宮崎駿インタビュー/『紅の豚』パンフレット1992年7月 より)

    ――――――

     こんなふうに宮崎駿はパンフレットの中で言ってるんですけど。

     タイトルにある “紅の豚” というのは何かというと「当時のイタリアでは共産主義者たちは赤い豚と言われてたんじゃないのか?」という、宮崎駿の想像から始まっているんですね。

     つまり、ポルコというのは、魔法を掛けられたとか、物理的に豚になっているんじゃなくて、「共産主義者である」ということのある種の表現として豚として描かれているとも解釈できるんです。


     この解釈の場合「どうすればあなたを人間に戻せるのかしら……」というジーナのセリフや、フィオの「私がキスしたらポルコは人間に戻るかな?」というセリフも全て、意味が変わってきます。

     言い換えれば「どうすればあなたは共産主義なんていう、悪魔のくだらない思想を捨てて、私達のいる自由で素晴らしい、皆が豊かになれる資本主義の世界に戻れるのかしら?」と言ってるようにも読み取れるわけですね。


     これは60年代に学生運動をしていた人達が、みんな、恋人や家族に言われたセリフとそっくり同じなんですよ。

     「あなたが本当の愛を知ったら、あなたも悪夢のような共産主義から目覚めるんじゃないかしら?」と。

     そして、この「本当の〇〇を知ったら、あなただってきっと~」という、上から目線の忠告が、ポルコをメチャクチャイラつかせるわけですね。

     「余計なお世話だ! そもそも人間が豚より上だと誰が決めたんだ、おい!?」って怒ってる。


     これが、「紅の豚という言葉は、共産主義者のメタファー」説の考え方です。

     この映画が公開された時に、わりと「『紅の豚』っていうのは、実は共産主義者ってことだよね?」って言われてたこともあったんですけど。

     これは、まあ第1段の解釈です。


     でも「この『紅の豚』というのは、宮崎駿の私小説である」と考えると、その辺の解釈で納得しちゃうのは、ちょっともったいないところがあると思うんですよ。

     なので、もうちょっと奥まで読み込んでみましょう。

    ・・・

     そもそも「ポルコが豚である」ということを気にしてるのは、実はこの『紅の豚』という作品の中では、一部の女だけであることに、みなさん、お気付きでしょうか?

     ピッコロオヤジも、マシンガンを売ってる武器屋のオヤジも、ポルコがガソリンを入れに寄った店の爺さん達も、「ポルコ、おい、煙草くれよ」と親しげに話しかけてくる連中も、「ポルコが豚である」ということをまるで気にしてないんですね。


     マンマユート団も、空賊連合も、「豚」とは言っているんけども「なんでお前は豚なんだ?」なんてことは、実は一切、気にしてない。

     初対面のカーチスですら「この辺りにブイブイ言わせてる豚がいると聞いたが~」とは言うものの、「なんでお前は豚なんだ?」とはツッコまない。

     誰も疑問に思ってないんですよ。


     「女だけが気にしている」というか、正確に言うと気にしていない女もいるんです。

     これは、ポルコがマンマユートを撃墜した後で、ホテル・アドリアーノに行った時のシーンなんですけど。

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     「ポルコ、お話を聞かせて」と、この女の子が言うと、ポルコは耳元に顔を近づけて、「今度、2人きりの時にな」とカッコよく言うんです。

     で、通リ過ぎて行く時にも、他の女の子はポルコを見ているという、ポルコのモテモテシーンなんですけど。


     この女性たちの正体は何かというと、この『紅の豚』が公開された直後に『アニメージュ』に掲載されたジブリの女性アニメーターや、背景や、色指定をやっていた人達の座談会で、彼女たちは「ポルコを取り巻く “娼婦” のような女たち」と表現してるんです。

     つまり「商売女だ」って言ってるんですよ。


     男や商売女だけは、豚であるポルコと当たり前に接してる。

     つまり、普通の人間として見てるわけですね。

     それに対して、ジーナとフィオだけが、ポルコが豚であるということを「人間以下である」と見なして、そんな彼を何とかして人間に引き上げようとしてるんですよ。

     この逆説の構造に気付けないと、ポルコが豚になった理由というのは、なかなか分かりにくいんです。


     じゃあ、なぜ、ジーナやフィオは、ポルコが豚であることに我慢できなくて、何とか人間に引き上げようとしてるのか?

     なんで男たちは、みんな豚であるというふうなことを気にせずに、1対1の人間としてポルコと接しているのか?


     この辺で、そろそろ40分を超えましたので、後半の限定放送に移りたいと思います。

     後半は、この話をした後で「『紅の豚』が10倍面白くなる雑学」という話まで語っていこうと思います。

     
     
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