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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「【『風の谷のナウシカ』のここに注目! 1 】 物語の舞台の風の谷を “ブラタモリ” 風に見てみよう」
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「【『風の谷のナウシカ』のここに注目! 1 】 物語の舞台の風の谷を “ブラタモリ” 風に見てみよう」

2019-01-08 06:00
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    岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2019/01/08
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    今回は、ニコ生ゼミ12月23日(#262)から、ハイライトをお届けいたします。

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     【『風の谷のナウシカ』のここに注目! 1 】 物語の舞台の風の谷を “ブラタモリ” 風に見てみよう


     お正月の1月4日に『風の谷のナウシカ』が金曜ロードショーで放映されるんですよね。

     もちろん、1月6日、新年最初のニコ生では、この『ナウシカ』を徹底分析するんですけども。

     その前に、予習として「こういうことを考えながら、テレビを見てみてください」と、「1月4日の放映前に、ちょっとここを考えて見てくれたら、もっと面白く見れるんじゃないかな?」という話をします。

    ・・・

     実は、2018年1月21日の岡田ゼミで “ブラゼルダ” というのを紹介したんですけど、覚えてますか?

     「『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』というゲームを、クリアするだけじゃなく、単に世界を歩き回って楽しもう」という遊び方なんですけども。

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     こういう地図を作って、地図の上にテーピングしてルートを書いて、いろいろと説明したんです。

     たとえば、これは何のラインかというと「厄災ガノンが蘇った時に、人々が “ハテノ砦” という場所まで逃げるルート」を表しているんですね。


     このハテノ砦というのは、砦とは名ばかりの、単なる関所なんですけど。

     高さ4~5mくらいの石造りの城壁があるんですけど、その城壁も、もう崩れてしまっていて、木で補強されただけになっている。

     それはなぜかというと、100年ぐらい前の “ガーディアン” との戦いで、石造りの城壁が崩されてしまって、それを復旧するだけの力がないから、こんな感じになっているという。

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     ここら辺は “クロチェリー平原” という、その昔、リンクとガーディアンたちが闘った場所なんですけど。

     ここには、今、モンスターがいっぱいいる。

     だから、関所の門も開けっ放しになっちゃってるんですね。


     その昔は、ハテノ砦という関所があって、モンスターが入れないような人間だけの楽園になっていたはずなのに、この門は開けっ放しで、いつの間にか突破されている。

     そういう “何もかもが終わった世界” なんですよね。


     僕がこれを面白いと思ったのは、『風の谷のナウシカ』と、『ゼルダ』のクロチェリー平原というのは、ちょうど似たような関係だというところなんです。

     『ゼルダ』って、そういう大きな事件があってから、100年後の世界を描いているんです。

     つまり、『ナウシカ』で言えば、主人公のナウシカと王蟲の群れが激突する、劇中でのクライマックスの事件の100年後、みたいなものなんですよ。

     
     もう、ナウシカはいない。

     この世界を救ってくれる主はいない。

     そして、人類はゆっくり滅亡していく。

     そんな世界の描き方が『ゼルダ』なんですね。


     つまり、『ナウシカ』の後の100年後の世界というのを描いたところが『ゼルダ』の面白いところであって、『ゼルダ』というのが、日本人のファンタジーの系譜として、『ナウシカ』を継ぐものになっているという関係が面白いなと思ったんですけど。

    ・・・

     こういう、『ゼルダ』というゲームの世界を歩きながら「かつて、この土地で、どんなことがあったのか?」というのを読み取って行く、というのを “ブラゼルダ” として説明したんですね。

     でも、このブラゼルダ的楽しみ方は、ゲームの中では一切説明してくれずに、せいぜい、ゲーム世界のキャラクター、おじいさんとかお姉さんとかオッサンとかが「昔、こんなことがあったらしいよ」と話してくれるだけなんです。

     
     こういう情報はゲームを攻略する上ではあんまり関係ないから、スーッとスルーしちゃうところなんですけど。そこをとことんこだわって聞いて、考えてみたら、実はその奥に膨大な世界が埋まっているのがわかるんです。

     それを掘り起こして楽しもうというのがブラゼルダという回でした。


     NHKの『ブラタモリ』という番組があるんです。

     「その土地の地形とか歴史を頭に浮かべながらブラっと歩いて、普通に見える坂とか普通に見える交差点を面白がる」という番組なんですけど。

     同様に、『ゼルダ』という世界、“ハイラル” という土地も、面白がれるんです。

    ・・・

     他にも、このブラゼルダと同じように、今年2018年に行った『カリオストロの城』の解説の中で作ったのがこの “カリオストロ城下町の模型” です。

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     この城下町の模型というのは、こちら側が外に繋がる街道になっていて、反対側のこの細い道がカリオストロ城へ通じる橋になっているんですね。

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     そういう城下町に設定されているところに面白さがある、という話をしたんですけど。


     『カリオストロの城』という作品の中で、宮崎駿が城下町という舞台を作ったのはなぜかというと、お城の中だけの話にしてしまうと、実はスケールがかなり小さくなっちゃうからなんですね。

     城よりちょっと小さいか、同じくらいのサイズの城下町をワンセットで設定したところが、『カリオストロ』の見どころだと思います。

     というのも、この城下町というのは、城に直接繋がっているんですよ。

     じゃあ、なぜこんなのが必要だったのかというと、かつては、この国の騎士階級が、ここで住んで、王のために仕えていた場所だったはずだから、なんですね。

     騎士階級が王宮の近くに控えていて、その騎士階級の人たちにサービスするための民間人の家とか酒屋とか、そういうものがあった。

     ところが、カリオストロ公国では、今や、そういった騎士階級が滅びてしまっている。

     その結果、王族しか残っていないんです。


     かつての騎士階級で、王家を支えていた者たちは、王宮の中に入り込んでいて、ジョドーのように執事として仕えながら、なんとかカリオストロ公国が独立国であるのを守っている。

     そのためには、“閨閥政治” という、いわゆる他所の国との結婚による国際政治をやろうとしたり、偽札を作ったりすることになった。

     そういう悪いことにも手を染めて、カリオストロの国を、なんとか存続させようとしている。

     そういう事情が、この城下町の形からもわかるところが面白いんです。


     後は、特徴的なこの屋根の色とかを見ても「ああ、ここら辺は、ヨーロッパでも比較的温かい土地にあるんだな。わりとイタリアとか地中海、アドリア海に近いところにあるんじゃないかな?」ということも分かります。

     こういうですね、アニメの設定を「単なるアニメの設定だ」と考えずに、一度、たとえば地図を描いてみるでもいいですし、模型なんていうのは一番いいんですけど、立体にしてみると、自分なりの皮膚感というのが出来上がるんですよね。


     僕、カリオストロ公国って、騎士階級がなくなって、他の貴族もなくなって、カリオストロ王家だけになっているという現状の廃れっぷりを見たら「このままだと、あと100年くらいでドイツに併合されるんじゃないかな?」って思っているんですけども(笑)。

    ・・・

     こういった、ブラゼルダとか、カリオストロの城を見る視点で、『ナウシカ』という世界の中に出てくる “風の谷” という小さい村を面白がってみよう。

     つまり、“ブラナウシカ” というのをやろうというのが、来年の1発目の企画の試みです。


     たとえば、風の谷には風車があります。

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     まあ、風車があるから風の谷なんですけども。

     でも、この風車って、実は面白くて。

     僕ら、オランダに風車があるもんだから「ヨーロッパにはどこにでも風車があるもんだ」って考えちゃうじゃないですか。

     違うんですよね。

     ヨーロッパの風車っていうのは、すごく特殊なんです。


     実は、ヨーロッパには、風車の歴史があまりない、というか、昔のヨーロッパに於いて風車を作れる人というのは専門職であり、もう魔法使い扱いだったんですね。

     だから、中国にある風車を見たヨーロッパ人が「これはどういう仕掛けなんだ?」って、驚いたくらいなんです。


     もちろん、ヨーロッパの中にも、風車を作れる人がいたんですけども。

     それは、いわゆる石造りの城を建てれる “石工” と同じように、本当に限られていて。

     そんな秘密結社のような一部の人達だけが風車を作れるという、今でいうと、核兵器とかロケット技術者みたいなもんで、秘密の技術扱いだったんです。


     『ナウシカ』でも、実は、風の谷以外に、風車ってほとんど登場してないんですよ。

     これについては、宮崎さんも最初から、『ナウシカ』をアニメ作品として作る際の取材で「風使いというのは、すごく特殊な役職で、風車を操るというのは、現実の世界でもそうなんだけど、この『ナウシカ』の世界でも特殊な職業になってます」と話しているんですね。

     この風の谷には、独特の地形、独特の風土、あと独特の歴史があるんですけども。これが、風使いの一族、ナウシカの一族を生んだんです。

     主人公のナウシカというのは、この国の王女様なんですけども、実は王族の娘だから偉いんじゃないんですね。


     “風使い” という職業、職能のトップに立っているジルの跡取りであって、おまけに風の谷一の風使いだから偉いんですよ。

     だから、皆に尊敬されているんですね。


     映画の中では寝たきりの、もう登場シーンから寝ていて、もう身体が動かなくなっているナウシカのお父ちゃん、族長ジルも、数年前までは、メーヴェに乗ってたんです。

     ユパ様が来た時に「父はもう飛べません」とナウシカが言うシーンがあるので、たぶん、それまではジルも、ちゃんと風に乗って飛べたんだと思うんですけど。

     1年半前にユパ様が来た時はちゃんと歩いてたのに、腐海の毒があっという間に回ってしまったのでしょう。

     それが、1年半くらいでぱったり倒れて寝たきりになる。そういう風土病があるような土地でもあるんです。

    ・・・

     こういう視点で「風の谷って一体どういうところなのか?」を考えてみようと思います。

     風の谷って、人口500人なんですよ。

     人口500人しかいないのに、やたらとデカい城が中央にある。

     「あれは何なんだろう?」と。


     次に、ユパが来た時も、ペジテの船が不時着した時にも、あっという間に村人たちが城に集まってくる。

     「なぜ、この谷のみんなは村の中に点在して住んでいるのではなく、何かというと城の中に来るんだろう?」と。

     これらにも、ナウシカの世界の中でのやむにやまれない事情というのがあります。

     それもね、ちゃんとアニメを見ればわかるように出来ているところが、僕、ナウシカのすごいところだと思うんですけども。


     まあ、みなさんも、そういう視点で『ナウシカ』を見て、オープニングの本当に数分で、そこら辺の設定がダーッと出てきてますから、考えてみてください。

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