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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2019/02/15
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今回は、ニコ生ゼミ02月3日(#267)から、ハイライトをお届けいたします。

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 【『ユーチューバーが消滅する未来』を生き抜くには? 3 】 “愚かなスネ夫” と “賢いスネ夫”


 じゃあ、こういう僕が話しているようなニコ生とかYouTubeというメディアは、これから先もずっと安泰なのかっていうと、とんでもないんですよ。

 ここからが村上くんに話したことなんですけども。


 村上くんに話したのは「以上のようなことが、ついこの間までの常識でした」というのを前提にして、「ここから先は “大型恐竜” が滅びる時代に入ります」ということなんです。

 いわゆる、ネットワークの会社、それはYouTubeにしても何にしてもそうなんですけども、「そういう大型の会社が、身体が巨大になった故に、大型恐竜のように滅びていく世界で生き残る算段をした方がいいですよ」っていう話をしたんですね。

・・・

 たとえば、ディズニーにしてもNetflixにしても、ここから先、どんどん予算を掛けて映画をシリーズモノとして作るでしょう。

 なぜ、マーベルのヒーローモノが “マーベル・シネマティック・ユニバース” みたいに世界観を共有しているのかというと、「1本当たりの予算が大き過ぎるから」なんですよ。


 1本当たりの予算が大き過ぎるから、失敗は許されない。

 だからといって、失敗しないとは限らない。

 そのために、他の作品と同一の世界観の中に全てを組み込んで、シリーズ全体の人気で支えていこうという方式だから、なんですね。


 いわゆる「アイドルグループとかをやる時に、最初はメンバー間の人気の格差があるんだけど、続けていれば、そのグループ全体の人気が上がっていく」というのと同じように「各マーベルヒーローも1つ1つを見れば、人気があるヒーローないヒーローがあるんだけど、続けて行けば、徐々に徐々にグループとしての人気が上がって行く」という考え方なんですね。


 だから、今のディズニーにしても、マーベルにしても、映画をやる時は必ず、続編があって、それがシリーズ化されて他のものと組み合わせるようなものでないと企画ができない。

 でも、そんな絶対に面白いものを作るためには、やっぱりお金も掛かるし準備も大変だから、もう本当にハズせない作品ばっかりになっているんですね。

 大型恐竜がどんどん戦闘力を強くして身体を巨大化しているのと、すごく似ているわけです。

・・・

 こういう大型恐竜を、“ジャイアン” みたいに考えると、「いや、その大型恐竜の近くにいれば、自分も生き残れるだろう」というのは “スネ夫” 的な考えです。

 ……まあ、これを僕は「愚かなスネ夫」と呼んでいるんですけどね。


 世の中には愚かなスネ夫と賢いスネ夫があるんです。

 そして、「いや、今Netflixさんが金出してくれるから、Netflixさんでアニメ作りましょう! Amazonさんがお金出してくれるから、Amazonさんでアニメや映画を作りましょう!」というのは、これは愚かなスネ夫の戦略なんですよ。

 なぜかというと、それら全ての大型エンターテイメント産業というのは、考える間もなく「ハリウッドの歴史が示す通り、先がないから」なんですね。

 予算が大きくなってくるに連れて、どんどん「1本外れれば会社が倒産」というリスクが上がっていくわけですから。

 現にMGMスタジオは、エリザベス・テイラー主演の『クレオパトラ』という映画が1回コケただけで、あっという間に芝生に水を撒くお金もなくなって、スタジオの前は焼け野原みたいな外見になって、倒産までしちゃったんですけど(笑)。


 この方式って、やっぱり、無理があるんですよ。

 どんどん予算を掛けて巨大にしていこうという考え方に、そもそも無理があるんです。

 そして、大型恐竜が滅びる時というのは、大きな恐竜は大量の餌が必要だから、それが倒れる前に、やっぱりそばにいるスネ夫が食われることになるんですね。

 つまり、「AmazonとかNetflixにすり寄って、なんとか場を貰えた、作品を作れた!」というふうにやっても、それらの会社が傾き出すと、勝手に安売りを始められてしまうんですよ。

 いわゆる “ZOZO離れ” というやつですね。


 ZOZOTOWNが大きくなって行く時は良いんだけど、ZOZOTOWNがいざ大きくなって、ある臨界値に達して、会社が危なくなったらどうなるのかというと、自分達が借りているいろんなブランドを勝手に安売りしようとして、そしてブランドが離れていく。

 つまり、大きい恐竜というのは、倒れる時に “共食い” を始めるんですね。


 こういうことがあるから、賢いスネ夫は、あまりそういうところに近寄らない方がいい。

 なんか、大手のテレビ局とか芸能事務所に残ると、実は生き残れそうで生き残れないんです。

 最後には食い物にされるからですね。

・・・

 それよりは、小型の哺乳類の方が有利である。

 つまり、賢いスネ夫戦略です。


 たとえば村上さんが映画の話したんですけど、映画でいえば、テレビ局が企画して大ヒットの漫画を映画化する。

 「村上さん、関ジャニの皆さん、ジャニーズの皆さん、これの主演やりませんか? 予算は20億です」これが大型恐竜の発想法なんですよ(笑)。


 こんなのをやってても、そこで一発ハズレたら、もう主演のチャンスは4年か5年は来ないんですよ。

 こんなリスクのある賭けに出るべきではない。

 それよりは、村上くんがやることは、村上くん自身が自分のiPhoneでシナリオを書いて、それを自分のiPhoneで撮影する。そういう自分で脚本監督をする小さいドラマを作った方がいいですよ、と言ったんです。

 そしたら村上くんは「あ、俺、一人芝居やってるし、そんなん、やりたいこといくらでもあるわ」って言ってました。


 だから、スタッフも、もう「金を払って雇う」んじゃないですよ。

 そうじゃなくて、村上さんの周りにいる「ちょっと手伝いますよ」とか、「だったら、タダでいいですよ」という人をタダで使って、それがヒットした時にペイバックすればいいじゃないですか。

 そう聞いた時に、「そんなもん、やるやつ、いくらでもおるわ!」って、村上くんが「あー!」ってやって、「ここから先は、もう話すのはやめよう」という顔をしたのが、メチャクチャ面白かったです。

 「このラジオで話してはヤバい」という感じになったんですけども(笑)。

 そうなんですよ。スタッフ自身も、iPhoneのLINEとかで集められる顔馴染みだけでOKなんですね。


 その後、マイクが回ってない時に、具体的な総予算も言ったんですけど、「10万円以内にしてですね、週に1本撮る」。

 週に1本撮って、次の1週間は編集に当てる。そうすると1年間は50週間あるから25週、つまり25本出来るだろう、と。

 この25本の映画を、全部、自分でやるのは面倒なので、自分はそのうちの10本だけやって、残り15本は、いずれ監督をやりたいとか思っているような仲間に譲っちゃって、作った方がいい。

 そうすると、巨大予算の代理店が付いていて、原作もあるような、他人が作る映画に「ハイ! 主役でございます!」という立場で、年に1本とか2年に1本出るよりも、年に10本、短編映画、コントでもいいし、1人芝居でもいいんですけど、そういうものをやってる方が、絶対に勉強になるんですね。


 「年に10本映画を作った」という経験は勉強になるんだけど、他人の映画に年に1本しか出なかったら、そんなに勉強にならないんですよ。

・・・

 この短編映画の売りは「村上信五 監督」というだけなんです。

 だから、そこに特化して構わない。

 大予算を掛けずに、短いコントか、逆に超シリアスな1人芝居、モノローグだけのものにするんです。


 これが、小型哺乳類の生き残り方なんですね。

 つまり、大型の恐竜の近くにいて他に一緒に餌を漁ろうとするんじゃなくて、そういう大型恐竜が滅びゆくところで生きて行く、代謝率が高く素早い小型の哺乳類の生き方。


 大型恐竜は大予算で大ヒットを狙うんですよ。

 それに対して小型哺乳類はゼロ予算でヒットを狙わない。話題になることだけを狙う。

 「村上信五がまた映画を作った!」とか、「また今回も面白くないぞ!」で、全然構わない。

 それよりは、年に25本作ることだけを目標にして、延々と作っていけばいいよっていう話をしました。

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