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今回は、ニコ生ゼミ05月19日(#282)から、ハイライトをお届けいたします。
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「【 知ってるようで意外と知らない『ムーミン』特集 2 】 3つのムーミン」
あと「公式のムーミン」。
そして「マイムーミン」ですね。この3つの話をしようと思います。
普通に絵を描く画家だったんですけども。
第2次大戦で、かなりショックを受けて、絵が描けなくなってしまったという、31歳のトーベ・ヤンソンの作品です。
絵を描けなくなってしまったので、思い切って子供向けの本を書いた。
はい。ムーミントロールとムーミンママですね。
今とはだいぶ違います。
鼻が長いんですね。
これ以外にも、第2次大戦中に政治風刺新聞『GARM(ガルム)』などにトーベが描いたムーミンの絵も残ってるんですけど、言えるのは「とりあえず鼻が長くて、わりと醜い生物」ということなんですね。
この『小さなトロールと大きな洪水』にはニョロニョロも出てきます。
実は初期のニョロニョロはですね足が生えているんですね。
だから、そんなにムーミン達と変わってる生物でもないんですね。
ムーミンママは、ハンドバック持ってるからなんとかムーミンママとわかるような感じです。
この後、『ムーミン谷の彗星』『楽しいムーミン一家』というふうにシリーズが続いて、ようやっとキャラが確立します。
…このミーというのは、辛辣で本質を見抜く発言をいつもするんですよ。
日本のテレビアニメ版だと、わりと乱暴で嫌なキャラクターなんですけど、実は原作のチビのミーというのは、ニヒル系ですごく頭が切れるような存在で、とにかくセリフの一言一言が正鵠を射ているというか、その場で一番正しいことを言うんですね。
ただ、過激だから他人に聞いてもらえない。
トーベ・ヤンソン自身は色々な状況とかに振り回されるんですけど、その中で頑固な自分を保とうとして、自分の意見を持っていた。
トーベ・ヤンソン自身が一番なりたかった自分というのがチビのミーに投影されています。
おまけに、家族を顧みないことも時々あった人なので、やっぱりそういう自分の父親像がムーミンパパに投影されているというふうに言われています。
その中でも、日本で一番人気のあるスナフキン。
あと、そっくり同じ姿をしたトフスランとビフスランという2人がいるんですけど、その帽子を被ってない方のビフスラン。
これは、トーベ・ヤンソン自身の彼氏がモデルです。
その人は、いつもボロボロの帽子を被ってて、毎回同じような服を着てて、まあスナフキンのモデルというふうに言われてます。
ビフスランの方は、ヴィヴィカ・バンドレルというですね舞台監督です。
この人とトーベ・ヤンソンが付き合ってたから、あの舞台版のムーミンという悪夢のようなムーミンが出来上がっちゃったわけなんですけども。
実は、彼氏とかと付き合ってた頃から、フィンランドでは同性愛というのが犯罪だったんですね。
このおしゃまさんのモデルになったのが、グラフィックデザイナーのトゥーリッキですね。
トゥーリッキ・ピエティラという人がいるんですけど、この女性と付き合っていました。
結局、最後は死ぬまでだったと思うんですけど、50年くらい、このトゥーリッキという女性と付き合っていて。
クルーヴ・ハルというフィンランドの沖にある島に小屋を建てて、夏の間はそこで2人で暮らしてたんですよ。
そんなトゥーリッキとのイチャイチャ生活というか、すごく仲がいい2人の生活を撮った8ミリビデオというのが残っていて。
なぜ残っているのかというと、その8ミリがDVDになってるんですよね。
(『Haru, The Island of the Solitary ハル、孤独の島』)
僕も持ってて全部見たんですけども。
もう、最初はね「トゥーリッキとのイチャイチャ生活を撮っただけだから、どうせしょーもないものなんだろうけど、見るしかねえか」と思って見たら、案外カッコいいんですよ、これが(笑)。
「トーベ・ヤンソンって、映像作家としても才能あったんだ」と。8ミリであんなにカッコいい映画を作れると思ってなくて、自主映画をやってる人はちょっと見た方がいいというか。
だって、被写体は2人しかいない上に、島で2人だけで暮らしてるから、カメラには必ず1人しか映らないわけですよ。
それでも、ちゃんと面白い映像とか、カッコいい映像、「島に風が吹いてる」とか「雨が降ってる」とか、もうそれだけなんですけど、案外面白いんですよね。
「3つのムーミン」なんですね。
トーベのムーミンというのは、わりと確立してるんですよ。
今言ったように、「モデルは誰か?」、「何を言いたいためにこのキャラクターがいるのか?」っていうのが、確立していたんですけど。
それは、2つ目の “公式のムーミン” とはあまり一致してないんですね。
アスキーの提供でオンエアされて、あれ、日本のアニメだって思っている人も多いんですけど、フィンランドの会社が他のヨーロッパの会社と合同で作った制作会社が、日本に対して発注を掛けたという形になっています。
つまり、日本としては下請け会社として作ったわけですね。
その1990年の2Dのアニメーションから、最近では、去年に作られたCGアニメーションというのが公式のムーミンということになりつつあります。
ここら辺のややこしい話は、ちょっと後半にでもしましょう。
3階建てでスリムな円筒形の家です。
アニメでも見慣れた姿ですね。
これぞムーミン屋敷という感じです。
こう、ムーミン屋敷になっていて、グルリと裏返すと中が見れるようになってます。
材料費は、チップスターの分を入れても400円くらいですね。
これに関して話すと、もうメチャクチャ長くなるので、後半の限定の方で、細かい部屋ごとの解説とか、どうやって作るのかということを話そうと思いますけども。
さっき話したトーベ・ヤンソンのムーミンではなく、公式のムーミンなんですね。
ぶっちゃけ、ムーミン谷にいる人は、ほとんど全員ムーミン屋敷に住んでるんですよ。
実は、そんな巨大な家だったんですよ。
あんな細長いスリムな家ではなく。
丸型は丸型なんですけど、わりと巨大なドーム型の家だというふうに考えてもらえれば正しいのではないでしょうか。
これ、メチャクチャ巨大な、高さが確か3メートル超えてたと思うんですけど、巨大なドールハウスで。
もう、円筒型という外観にはこだわらず、もうドーム型。円筒は一番上だけにして、すごく巨大なお城みたいな屋敷を考えているんですね。
つまり、外観よりも「みんなが住める」というコンセプトに忠実に作っている。
ムーミン谷の住人達、ヘムレンさんにしてもフィリフヨンカにしても、みんなここに住める家というのが、トーベ・ヤンソンのムーミン屋敷なんですよ。
でも、公式では違うんですね。
公式のムーミンでは、あくまでこの細長い、ムーミン一家だけが住んでる家がムーミン屋敷なんです。
つまり、トーベの家族観と公式の家族観は違うんですね。
公式の方では一夫一妻制の家族観により近い。
やっぱり、トーベ・ヤンソン自身が持っている過激な家族観というのは、あんまりこっち側へ反映されていないんです。
それで作っちゃうと、みんなのムーミンのイメージが狂っちゃうわけなので、こっちの方に統一されているわけです。
これが公式のムーミンですね。
この「スナフキンがギターを弾いている」っていうのは、日本の初期のアニメだけなんですよ。
これも、トーベが怒ったことの1つと言われています。
「スナフキンはギターは弾かない。ハーモニカです」と言ったんですけど、そうなんですよね。
ギターを弾くスナフキンというのは日本だけで、おまけにスナフキンというのは、原作では、あんまり名言を呟かないんですよ。
ハーモニカを吹くだけで。
しかし、スナフキンと言えばギターという人は多いと思います。
実はトーベはこんなふうに思ってたと言っても、「いや違う! 私の中でスナフキンというのは、ギター弾いてカッコいいことを言う人なんだ!」と思ってる人いっぱいいると思うんですね。
そういう人は、公式でもなければ、トーベのムーミンでもない、マイムーミンというのを持ってる人なんですね。
マイムーミンというのがきっぱりあって。
僕が一番思い入れがあるのは、子供の頃に買ってもらった『楽しいムーミン一家』と、その次の『ムーミンパパの思い出』なんですよ。
孤児として孤児院で育てられたムーミンパパは、ハウスを脱走して、川辺で生涯の親友になるフレドリクソンと出逢います。
フレドリクソンは、この時に動力の概略図を描いています。
この外輪と後ろのスクリューが歯車で組み合わさっているという設定です。
この「海のオーケストラ号」という名前は、フレドリクソンのお兄さんが書いた詩集のタイトルが「海のオーケストラ」だったから、この名前がついたんですけども。
これは海のオーケストラ1世号なんですね。
この海のオーケストラ号が、『ムーミンパパの思い出』のクライマックスで、王様お抱えの発明士になったフレドリクソンが、王様からの援助を受けて、空を飛ぶ海のオーケストラ2世号を作ります。
分かりやすいようにジグソーパズルを持って来ました。
巨大な翼がついてて、空を飛んで、海の中にも潜れて、気持ちの悪い深海魚とかを照らしてるんですけど。
これが海のオーケストラ2世号なんですね。
この海のオーケストラ2世号が、あまりに好きだったので模型を作ってみました。
実は、この台座の中には乾電池が入ってて、ライトが光ります。
原作と同じ場所に乗り込み口があって、こう外れるんですけど、内部構造も作ってあります。
自分にとってのムーミンとは何かというと、僕にとっては「こういうものを作りたいと思わせてくれるもの」なんですよ。それが僕にとってのムーミンなんですけども。
それでは、次のコーナーは、ムーミンの中の隠されたエロスについて話をしたいと思います。
ウンパッパ!
「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。
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