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今回は、ニコ生ゼミ05月19日(#282)から、ハイライトをお届けいたします。
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「【 知ってるようで意外と知らない『ムーミン』特集 1 】 日本人とムーミン」
はい、久しぶりのアンケートです。
「あなたにとっての『ムーミン』とは?」ですね。
皆さんにとって『ムーミン』といえば?
「自分にとってこれだな」というのに投票してください。
1.アニメ
――――――
その他にあれば、コメントをお願いします。
確かに、ムーミンママは裸エプロンですね(笑)。
(無印) (プレミアム)
「小説」の人が5%で、「漫画」はもう本当に居ないです。
で、小説と同じかそれより多いくらいが「グッズ」ですね。
その他の人はいったい何なんだろうな?
まあ、アニメが圧倒的ですね。
ただ、アニメと言っても、1969年の東京ムービー版、大塚さんがやってた『ムーミン』と、その後の虫プロ版『ムーミン』ってあるじゃないですか。
ああ、そうですね。「ねえムーミン、こっち向いて~♪」は、まあ昭和ムーミンですよね。
その後は平成ムーミンだったからな。
そこら辺の見分け方としては「 “スノークのお嬢さん” のことをなんと呼んでるか?」ですよね。
「ノンノン」と言ってたら大昔のやつだし、「フローレン」と言ってたらリメイク版の方だし。
最近のやつは「お嬢さん」になってるのかな?
そうですね。平成ムーミンじゃないですね。
「昭和の終わりのムーミン」と言うべきだったかな?
今度は皆さんの好きなキャラクターを答えてください。
9択になってます。
お願いします。
Q:いちばん好きなキャラは?
1.ムーミンパパ
――――――
結果を出してください。
(無印) (プレミアム)
……おお!
わりと分かれた。
すげえな、スナフキン。
そんなスナフキンの次に強いのが「ニョロニョロ」。
で、「特になし」がその次になるのかな?
ゼロですから(笑)。
面白いのが、無印の方のアンケートでは「パパ」は4.1%あって、「ママ」が0.3%なんですよ。
でも、プレミアム会員の方はそれが逆で、パパが0%で、ママが4.5%。
「なぜ!?」と思うんですけども。
ここに並んでる小さいぬいぐるみ見てください。
これ、僕が自分で好きで買ってるムーミンのぬいぐるみなんですけど、「ご先祖さま」、「モラン」、「ニブリング」、「メソメソ」、「海馬」、「ヘムレンさん(学者バージョン)」、「ヘムレンさん(警察署長バージョン)」なんですけも。
ミーもスナフキンも別に欲しくないし、ニョロニョロにも思い入れがないんですよ。
これが僕がいつも自分で使ってるマグカップなんですけど、これもムーミンパパですね。
この黒いパパのマグカップは、もう使い過ぎたせいで剥げてきてヒビが入ってるので、最近は主にこっちで飲んで、こっちが洗い物で使えなくなっている時は、これで飲むというふうな感じになってます。
なので、だいぶ皆さんとは違いますね(笑)。
このスナフキンの人気というのは、実は日本だけで…
…まあまあ、たぶん日本が世界で一番のムーミン人気国なんですけど、この話は後でしますね。
母国のフィンランドとか、日本の次に人気のあるイギリスでは、「それぞれのキャラに万遍なく人気がある」と言われてるんですね。
日本みたいにスナフキンとかニョロニョロに集中するというのではなくて、ここに載っているようなキャラクターに万遍なく人気があるというのがムーミンの特徴だそうです。
それらをザッとまとめてみました。
これね、実は世界中で日本だけなんですよ。
ムーミンの原作本、たとえば僕が持ってるすごく古い『トーベ・ヤンソン全集』という講談社の本のムーミンであろうと、あとは今出ている文庫本のバージョンであろうと、とりあえずムーミンの単行本が、ほとんど全種類、いつでも手に入るというのは世界中で日本だけだそうです。
なかなか再販されない。
だから、Amazonなどによって日本の本屋が潰れているというのは、実は本に恵まれている日本という状況がどんどん崩れつつあるということでもあるんですけども。
それはまた別の話です。
これも日本だけの特徴です。
というか、そもそも『ムーミン』のことを文芸だと、原作として小説があると理解している人自体が、かなり少ない。
そこから先、わりと定期的に単行本は出ていたんですが、メジャーになったのは1954年にイギリスで新聞連載の漫画で出てからなんですね。
その新聞連載の漫画がものすごくヒットして、それが各国語に翻訳されて、アメリカ以外の多くの国に広まったんです。
他の国のものを入れないんですよ。
それに対して、ヨーロッパの大体の国では新聞に連載されていました。
で、イギリスで、月曜から土曜まで毎日載る漫画が、1954年から70年まで、16年間も続いたので、その漫画のストックがほとんど無限にあるんですよね。
それが各国語に翻訳されてるので、ヨーロッパの新聞では、いまだにムーミンが現役で連載している新聞がいくつもあるんですね。
使い方はどうするかっていうと、いくつかあるサイコロの中から、見ずに3つくらいを手に取って、ガラガラっと転がす。
すると、「ニョロニョロ」と「ヘムレンさん」と「スナフキンのテント」というふうに、絵柄が揃う。
これで三題噺を考えて喋るというような、まあ、そういう知育玩具みたいなものがあるんですけど。
こんなものまで出てるのって、本当に日本だけなんですよ。この「サイコロを振ってお話をその場で即興で作る」っていうのは欧米でよくある玩具なんですけど、それのムーミン版。
読み札が全部名台詞になっているんですけど。
そういう国なんです。
これが最初期のムーミンです。
スナフキンに髪の毛がないのが見分け方みたいなものなんですけども。
これ、日本以外ではほとんどオンエアされてません。
日本側が、ちょっと契約を破って他所の国に流しちゃったことがあるんですけど、それ以外では、他の国で見たことある人はいないんですね。
これ「作者が禁止した」って言われることがあるんですけど、正確に言うと、禁止したわけではないんですよね。
「日本のみでの上映を許可する」という契約になっているだけで。
ただ、92年以降は「再放送しないでくれ。商品も出さないでくれ」という要望が出されていて、その要望を受け入れる形で、放送やDVDなんかの発売も自粛しているというのが現実のようです。
まさにこれ、日本以外では見られない、“消されたムーミン” ということになっています。
この辺が原作者を怒らせたというふうに言われてるんですけど。
今になってみたら、原作の方のムーミンも、この丸っこいムーミンに近づいているから「作者何を怒ってんだ?」というような声もあります。
実はそのトーベ・ヤンソン、自分自身でムーミンを舞台化しています。
上は1949年に公演された『ムーミン谷の彗星』の舞台です。
ちょっと……というか、かなり着ぐるみが気持ち悪いですけども。
下が1974年の『ムーミンオペラ』の舞台ですね。
49年版の『ムーミン谷の彗星』の写真の方には、ここにトーベ・ヤンソン自身も、すごく ご機嫌 で写ってるんですけども、
本当に。
これを、自分で製作者側に回った上で作るということは、「アニメでは」とか、「漫画では」、「舞台では」という媒体によって、ムーミンのイメージ、形が多少変わることは、トーベ・ヤンソン自身も納得してたはずなんですよ。
なので「あんな安物にされてはかなわない」と思ってた。
なので、とにかく『ムーミン』という原作の権利を得てアニメを作ろうという時も、いわゆる『巨人の星』のようなスポ根路線に持って行きたがっていた、と。
「当時の東京ムービーは <『巨人の星』の夢をもう一度> だった」というふうに書いてるんですね。
日本でヒットしないんです」と上手く言いくるめて、『ムーミン』を作るつもりだったんじゃないか、と。
それが後々でぶつかったんじゃないかというふうに言われています。
『ムーミン』のデザインも、ちょっと鼻を長くしたんですけども。
それがまた、日本のファンにはすごく不満で。
「なんで東京ムービー時代のかわいい顔じゃないんだ!」というクレームが来たりしたんですけども。
しかし、その時に、たまたま運悪く、ムーミンの再放送があったそうなんですよ。
しかも、東京ムービー版の(笑)。
フジテレビ側のスタッフは「トーベ・ヤンソンがまた怒ったらえらいことになる!」ということで、ムーミンの再放送時間になったら、トーベ・ヤンソンを無理やり熱海の海岸に引っ張り出して、「ヤンソンさん、ちょっと散歩しませんか?」って散歩をさせて、再放送を見せないようにしたという有名な話があります。
すごいよね、これ(笑)。
ところが、そうやって作った虫プロの72年版『新ムーミン』にも、トーベ・ヤンソンは満足せず、1992年くらいから以後は日本ですら再放送を自粛するという形になってしまいました。
新しく誕生した “ムーミンキャラクター社” という所の要請で、ほぼ『新ムーミン』『旧ムーミン』はですね、世界中で見れなくなってしまいました。
昔は全話揃ってたんですけど、ほとんどが削除されてしまいました。
僕は、その真犯人というか、一番悪いヤツは宮崎駿だと思ってるんですけども。
この辺のさらなる深掘りは、後半にやろうと思います。
ムーミンパパ:
それでは、次のコーナーは「3つのムーミン」という話です。ウンパッパ!
――――――
「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。
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