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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「読めるフィギュア『王立科学博物館』はどうやって生まれたのか?」
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「読めるフィギュア『王立科学博物館』はどうやって生まれたのか?」

2019-06-22 06:00
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    岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2019/06/22
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    今日は【岡田斗司夫アーカイブ】から選りすぐり 2016/07/24放送の『ニコ生ゼミ』
    のハイライトをお届けします。


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     読めるフィギュア『王立科学博物館』はどうやって生まれたのか?


     いまから13年前の2003年に、海洋堂と共同で開発した『王立科学博物館』というのがあるんです。

     こういうパッケージのやつです。

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     その当時、食玩ブームというのが真っ最中というか後期でありました。

     良く言われたのが、海洋堂の専務が愚痴るように、食玩とかフィギュアというのは、いくら頑張っても、それは商品であって作品ではない、というふうに言ってたんですね。

    (中略)

     じゃあ、作品と呼ばれるフィギュアを、作品といえるフィギュアを作ろうという事で、2000年から2002年位に、僕が海洋堂の専務に持ち込んだ企画がありましてですね。

     “読むフィギュア”、“いろんな部分が読めるフィギュア” と言うのを作りませんかと言いました。

     まぁあの、単なる薀蓄ではなく、ドラマやストーリーと言うのを入れ込んだようなフィギュアを作ろうかなと思ったんですよね。

     それで、こんなもん作りました。

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     『王立科学博物館』ですね。


     パッケージからして大仰な感じなものを作ってしまいまして、第一展示場『月と その彼方』。

     『月と その彼方』っていう、訳のわかんないタイトルというか、分かるやつには分かるやつ。


     これ、『月とその彼方』って何かって言うと、『2001年宇宙の旅』を作る時に、特撮監督をやったダグラス・トランブルが1970年の大阪万博用に作ったフィルムのタイトルが『月とその彼方』だったんですね。だったらそれでいいじゃんとか思って。

     こんな感じで、箱がびっちり入っているわけですね。

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     (中略)

     こういうフィギュアって、普通だったら『サターン5型発射』とかそういうタイトルが付くんですけども、このフィギュアのタイトルは『ロケットの夏』です。

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     この『ロケットの夏』っていうのは何かって言うと、レイ・ブラッドベリの火星年代記の中のひとつのタイトルなんですけれども。


     イリノイ州の冬のある日、火星ロケットが打ち上げられるんですね。

     で、ひとときはイリノイ州の冬だったっていうところから始まって、つららが下がって、子供達がスケートをしてると。

     向こうのほうで吹雪に凍えている家もある、家の窓とかも全部閉まってると。ところが東の空のほうでパッと明るく光が灯ったと。

     で、その時、一瞬イリノイ州にロケットの夏が現れた。


     ロケットの噴射の温かみ、その周りの地帯が一斉にパーッと雪が溶けて、つららがぽたぽたぽたと垂れていって、一瞬春の訪れから夏に変わるような気象変化があって、みんながはっと空を見上げると、雲を掻き分けてロケットがどんどんどんどん上昇していく。

     その雲を掻き分けていって、冬空の雲をロケットがガーッとこの冬の雪の雲を押し広げていって、火星へ昇っていくロケットが飛び立つと。

     その一瞬だけイリノイ州は夏になったっていうのが『ロケットの夏』っていう、火星年代記の短編のタイトルなんです。


     それがかっこいいから、「じゃあ、あの1969年の7月に発射されたロケットで、僕たち人類全員がすごい ひと夏 を体験したんだな」っていうのを言おうとして『ロケットの夏』と。

     こんな感じで、おっしゃれーなタイトルを色々付けて「専務、これだったら作品でっせ! 作品でっせ!」っていうような形でやって、発売させてもらったんですね。

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     で、『読めるフィギュア』っていうのは どういう意味かって言うと、解説書がこう小さく折り畳まれて入ってるんですけども、どんどんどんどん増えていくんですね。

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     まずこう広げると、かっこいい写真があって、ここにポエムがあって。

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     さらに、こういうふうに広げると『ロケットの夏』に関して、僕が書いたかっこいい文章と、あと松浦さんが書いたかっこいい文章があって。

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     そして、ここの文章の間にフィギュアの解説と写真が入ってるわけです。

     この解説の写真が「読むフィギュア」というやつですね。

     それで、この瞬間っていうのは何なのかっていうのを解説してるんですよ。


     で、なんでこの瞬間を選んだのかって言うと、これ見て頂いたら分かるんですけども、発射台の塔があります。

     この塔の高さのてっぺんぎりぎりとロケットのお尻が同じ高さなんですね。

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     これが発射13秒後、「魔の時間」の終わりです。

     ロケットの発射っていうのは、最初の大体5秒か10秒が最も危険なんです。

     で、アポロ計画とかで「こちらヒューストン」っていうような交信音を聞かれた方もいると思うんですけども。

     「こちらヒューストン」っていうのはどういう意味かって言うと、ロケット打ち上げはじつはフロリダのケープカナベラル・・・

     ・・・当時はケープケネディって言ってました。

     ケープケネディ宇宙センターなんですね。

     だからロケット発射の瞬間、つまりロケットがこの位置にあって、上がってる時は、ケープケネディの管制なんですよ。

     だから、「こちらケープケネディ、ケープケネディ」なんです。


     ところがこれが13秒後に「タワークリア」って言うんですけど、発射台と同じ高さになった瞬間からアメリカの、中部にある、テキサスにある、ヒューストンに管制が移ります。

     だから「こちらヒューストン」っていうのはこの瞬間、発射が成功したっていう意味なんですね。

     ここまでになってきたらもうケープケネディの人たちはもう仕事終わりなんですよ。

     ロケットが発射して、13秒後にみんなで「バンザーイ、バンザーイ」って言って、マジでみんなそれから家にガーッと帰っちゃうんですね。


     で、こっから先、このロケットっていうのはヒューストンの管制になって、月に行って帰ってくるまで、延々ヒューストンが面倒見るっていうことになっているんです。

     この瞬間、一番ロケットの打ち上げで管制が切り替わって危険な瞬間の13秒目。

     この時どういうふうになってるのかって言うと、このF1エンジンっていう、人類が作った、いまだに最もハイパワーなエンジンが噴射をしていて、宇宙飛行士たちはこのてっぺん頂のところで、圧力に震えてるという。

     そういう細かい細かいことをここにぎっちりぎっちり書き込んで、買ってくれた人にお勉強させようというのが、このフィギュアの目的なんですね。

     
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    この記事は【岡田斗司夫アーカイブ】から選りすぐって、ハイライトをお届けしました。

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