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【岡田斗司夫のニコ生では言えない話】鈴木みそ:出版社の言う「どうせ売れない本」がベストセラー第53号
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【岡田斗司夫のニコ生では言えない話】鈴木みそ:出版社の言う「どうせ売れない本」がベストセラー第53号

2013-10-07 07:00
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     岡田斗司夫のニコ生では言えない話 第52号 2013/10/7
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    【今週のコンテンツ】鈴木みそ:出版社の言う「どうせ売れない本」がベストセラー
    【今週の書き起こし】電子出版シンポジウム(鈴木みそ・小飼弾・岡田斗司夫)パート1
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    ◆【今週のコンテンツ】鈴木みそ:出版社の言う「どうせ売れない本」がベストセラー
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     最近、東京に引っ越しましたが家具を購入する暇がなく毛布一枚で凍えて寝ている新人ライターの佐藤家清です。

    今回から4回に渡り、2013年8月10日に行われた出版シンポジウム
    「電子出版ノススメ~鈴木みそ☓小飼弾☓岡田斗司夫~」をお届けします。

     今回はKindleでランキング上位をキープしつづけた鈴木みそさんの「限界集落<ギリギリ>温泉」が電子書籍化された驚愕の経緯なども飛び出します。

    ************************************
    <鈴木>
     でも、電子出版っていろんなものの垣根を下げるじゃないですか


    <岡田>
     はい。


    <鈴木>
     僕あの、作家としてやってる中でかつて言われてたことが、「単行本が1万冊売れない人は連載ができない」っていうようなことで。
     ここクリアするためにいろんな編集者が漫画家を叩いて。「君はできないよ」って。「頑張っても売れるのは3000冊くらいだ」って言ったら、その人は漫画雑誌で連載ができなかったんですよ。
     だから、そういう意味では、今は誰でも本を出すことができるというところまで、ハードルが下がったんで。


    <岡田>
     はいはいはい。


    <鈴木>
     そうすると、かつての漫画家の数というのは、そこんとこを通り抜けた人達しかいなかったのが、まあ、今は誰でも本を作れるようになったんで増えたわけです。
     まあ、その分だけ“食べられる人”は減ってるんですけど。漫画家自体の間口はやたら広くなったと思いますね。


    <岡田>
     つまり、昔は漫画家として雑誌にデビューするということは……原稿料を支払って雑誌に載せるだけだったら、出版社としてはたぶん赤字なんですよね?
     だから、単行本が売れる人しか雑誌デビューをさせたくない。


    <鈴木>
     そうです。


    <岡田>
     で、その「単行本が売れる」という定義が、マンガだったら1万部ということですか?


    <鈴木>
     本当のところ「3万部あったらいい」って言われたんですけども。
     最近は2万部くらいが、出版できるギリギリのラインで、それ以下になると出版社の持ち出しになるわけですね。


     だから、本当は3万部以上売れる作家を大量に置きたいんですけど、そうもいかないんで。
     売れる作家と売れない漫画家をセットにして、「いつか売れる漫画家になってくれたらいいな」っていうふうに“投資”しているわけですね。若い子や新人に。
     だんだん上手くなって、3万部が10万、100万になってくれたらっていう、こういう構造のもとに作っているんですよ。


     まあ、鳴かず飛ばずで8千部が続くようであると、次の単行本が作れないですね。1冊目が売れないともう次がないから。
     で、「漫画家としてプロになれないよ」みたいな話になっていくわけですよ。


    <岡田>
     ところが、最近は紙の本自体の売れ行きが全般的に下がっているわけですよね。


    <鈴木>
     そうです。


    <岡田>
     つまり、「マンガが面白くなくなった」とか、「人気がなくなった」じゃなくて。
     単に、10年くらい前だったら、これくらいのレベルの面白さでこの人気だったら、絶対に5万部売れていたものが、今は2万部くらいになっているわけじゃないですか。


    <鈴木>
     そうです、そうです。
     全体に、こう、縮小しているんで。


     だから、「僕ら漫画家がプロとして何人食ってるんだろう?」というのをザックリ計算をしたときに、まぁ2千人とか千人……ほんとはもっと漫画家がいるんですけど。
     食べられてる人は千人からその半分、500~1000くらいじゃないかってくらい。“食べられる”という線がギューっと落ちてるんですね。

    (中略)

    <岡田>
     鈴木さんの場合は、「自分の本が出版社から見て紙の本として売れなくなった」というよりは、さっき話してた「2万から3万部売れればペイラインというのが、徐々に難しくなってきた」ということなんですね?


    <鈴木>
     そうです。
     例えば、『限界集落(ギリギリ)温泉』っていう漫画の1巻を3万部出して、これがあんまり売れなくて。
     2巻になると1万5000に減って、3巻になったら9000になって、4巻が8000部ですよ。
     これで打ち切りですね。チョッキンって。8000部になるともうやってらんないから。
     なので、「この話は本当はもうちょっと長かったんですけど、ごめんね」っていう。4巻で終わりってことで。


    <小飼>
     よくある話ですね。


    <鈴木>
     その前に『銭』って本を出したんです。全7巻。
     これは相当長いこと、ある程度安定して売れたんで7巻まで行ったんですけど。


     あれを電子化しようとした時に出版社側からは「銭を電子化するのは待っといてくれない?」って言われて。
    「じゃあ“ギリギリ”はいいんですか?」って言ったら、「“ギリギリ”はいいよ」って。
     ……向こうも『限界集落(ギリギリ)温泉』は売れないと思ったんですよ! 「このコンテンツは売れないわ」と!


     他にも、似たような話はいくつかあるんですけど。
    「自分で出しますよ!」って言ったら、「出してもどうせ売れないよ」って。
     去年あたりの話なんですけどね。


    <岡田>
     えー!


    <鈴木>
    「電子がどれくらい売れないかって言ったら、『テルマエ・ロマエ』の電子版がどれくらい売れてるか知ってる?」って。
     テルマエがバーンと売れて、単行本が400万部とか売れて、「次の単行本はいきなり100万部刷りますよ!」って言った時の電子の数字が……まあ、電子書籍の売れる数字は紙の4%ぐらいと言われてるんですけど。でも、それよりも悪くて。
     これは無料とか100円で撒いてるというのもあるからなんだけど、売り上げ的には全然低いし、「あのテルマエでそんなものなんだから、全然ダメだね」ってみんな思ってたんですね。


     だから、僕が「全部出しますよ?」って言ったら、「ああ、いいですよ」って。
     ちょうど向こうも力が抜けてる状態で――


    <小飼>
     いい意味で“投げやり”だった?


    <鈴木>
     そうです。
     そこんとこで、「僕が全部の権利を持つということでいいですよね?」って言って、「オッケー、オッケー」ということだったんで出したんですよ。

    (中略)


     <鈴木>
     僕の場合、紙の本で出した3万部がほとんど半分くらい売れ残ってたはずなのに、電子が1万8000部も売れてるんですよ。


    <小飼>
     確実に売れてるわけですよね。


    <岡田>
     電子出版としては確実に日本で5本の指に入りますよね。


    <鈴木>
     そうです。
     電子書籍ってAmazonが圧倒的に売ってるじゃないですか。このAmazonのランキングで、上半期の3位です。
     1位が、なんとかっていう、100円のメチャメチャ売れてる本で、2位が『テルマエ・ロマエ』か『進撃の巨人』なんですよ。
     つまり、進撃とテルマエに挟まれて、僕の個人出版のやつが入ってるんです。


     面白かったのが、3月くらいの時、僕は6冊くらい出してたんですけど、“出版社別順位”というのが出て。
     1位が“集英社”で、2位が“エンターブレイン”。で、3位“鈴木みそ”って書いてあって。
    「講談社、抜いたよ!」みたいな(笑)

     
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