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岡田斗司夫のニコ生では言えない話
 岡田斗司夫の解決!ズバっと 2015/07/31
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おはようございます。

今日は『解決!ズバッと』はお休み。
情報サイト『探偵ファイル』に掲載したコラムをお届けします。


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「ロシアと戦い抜く財源は、オタク向けフィギュアだ!」

(元記事はコチラから)


 アメリカAmazonから、”ウクライナ製”のプラモデル『JAPANESE PEASAN INFANTRY(戦国時代の農民兵)』が届いた。
 でっかい木槌や火縄銃、日本刀と、思い思いの武器をふりまわす貧乏百姓たちのフィギュアが何十体もセットになっている。

 別に、タミヤの下請け工場がウクライナにできたというわけではない。
 ウクライナのプラモデル・メーカーRed Boxが出している『ヒストカル・フィギュア』シリーズの一つなのだ。

 『FRENCH SAILORS 海兵』
 『スイス 砲兵 16世紀』
 『薔薇戦争 欧州傭兵 軽装騎士』
 『アフガン兵 1890』
 ・・・など全世界の超マニアックなフィギュアシリーズの一環として、
 『NINJA(忍者)』 
 『JAPANESE KAMIKAZE (神風特攻隊)』
 『IKKO-IKKI(一向一揆)』
 『ASHIGARU(足軽)』
 など、日本ものも続々と発売されている。
 ウクライナには他にもMaster BOXという「沐浴中の女性を覗き見する米独兵」などという奇怪なフィギュアを出しているメーカーもある。
 これらのフィギュアシリーズをしみじみ見ながら思い出したのが、イエメンだ。

 僕が子供の頃、中東の小さな独立国イエメンは、日本では「切手の国」として知られていた。
 当時、切手コレクションは、小学生くらいの男子の趣味としてかなりメジャーだった。
 僕ももちろん、集めていた。
 特に、アポロ計画に関する切手などは、熱心に買いあさった。

 そんなアポロ計画の記念切手の半分くらいがイエメン製だった。
 アポロ計画だけでなく、ボクシングの世界大会も、オリンピックも、万博も、様々な記念切手の半分くらいがイエメン製だったのだ。

 というのも、イエメンは「切手産業」を国の基幹産業にしようと、国策として力を入れていたからだ。

 当時、アフリカや中東では独立国が続出した。
 それぞれが、観光資源、地政学的立地、地下資源・・・など、様々な長所を生かして国を運営していた。
 が、イエメンには、そのどれも持ってなかった。
 にもかかわらず、独立しちゃったので、なんとか国を支える産業を作らなきゃいけなかったのだ。
 そこでイエメン政府が打ち出したのが、「記念切手事業」だ。

 イエメンは当時、相手国や対象団体に無許可で記念切手を乱発した。
 当然、そんなニッチな産業に、本気で力を入れている国などなかった時代、おかげで「イエメンは切手の国」という地位を獲得できたのだ。
 世界中にちらばっているコレクターたちは、イエメンの切手が発売されるたびに買い、イエメンは、地道に細々と稼ぎ続けることができた。

 現在、ウクライナはロシアに軍事・政治的に制圧されている。
 東部ウクライナの先進工業地帯は、ロシアの技術に頼っている。
 天然・地下資源が豊富な西部もロシアの保護下にある。
 もちろん、当時のイエメンよりはずっとましなのだが、何とか活路を見出したいと、ウクライナ政府が必死だろうことは、容易に想像がつく。

 イエメンの切手産業がそうであったように、ウクライナもロシアの保護無しで成立する、独自の産業を欲しているんだろうなぁ。
 まさか、フィギュア産業を国策にするつもりなのだろうか?
 ウクライナの活路が、「百姓一揆」「一向一揆」フィギュアの先にあると政府が考えていたらどうしよう。

 膨大なフィギュア・シリーズを見ながら、ついついそんな妄想をふくらませてしまった。


以上、情報サイト『探偵ファイル』よりお届けしました。
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