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岡田斗司夫の解決!ズバっと 「ミドルとローがあるからトップが光る」
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岡田斗司夫の解決!ズバっと 「ミドルとローがあるからトップが光る」

2015-10-21 06:00
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    岡田斗司夫のニコ生では言えない話
     岡田斗司夫の解決!ズバっと 2015/10/21
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    おはようございます。

    今日は『解決!ズバッと』はお休み。
    絶賛発売中の岡田斗司夫の最新著作『頭の回転が速い人の話し方』から、ハイライトをお届けします。

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    「ミドルとローがあるからトップが光る」



     ここで必要なのは、人の話を聞くときには、低速でもいいから強い回転、つまり共感力を強くするんです。
     頭の回転が速くなくてもいいんです。
     相手が何を言っているのか、次に何を聞き返すのかをそんなに速く計算しなくてもいいから、自分もその気持ちがわかるようになるまでひたすら聞いて言葉を返す。
     山なりのボールに対して、豪速球ではなく同じようなスピードで返す。

     このように「頭のギアを落とすことができるかどうか」がコミュニケーション上、すごく大切なんです。
     戦闘思考力というのは、トップだけじゃなくてミドルとローがあります。
     これらも併用する点が、ほかの思考法と全然違うところです。

     前述したように、橋下徹大阪市長はものすごくトップギアが高い人です。
     おそらく、もともと頭が良いということに加えて思考の回転速度が要求される弁護士や政治家という仕事をしていった結果、彼は日本有数のトップギアの持ち主になったのでしょう。
     ただし、その代償としてローが弱くなってしまった。
     だから、橋下市長が書いた本は少ないんですね。
     本を書くには、じつはこのローギアが大事です。

    ・ローギアの使い方
     ローギアというのは、考えるスピードをあえてゆっくりにすることです。
     いつもいつも自分が言っていることを自分で疑って、立ち止まって、受け取るだけのことをします。
     
     たとえば相手の話を聞くときに、すぐに言い返したくなることがありますよね。
     これはギアをトップに入れたまま人の話を聞いているとそうなってしまいます。
     ですから、人の話を聞くときは、ギアをローに入れます。
     回転速度を遅くするんです。

     これは、頭を悪くするという意味ではなくて、相手の言っていることの隅々まできちんと吟味することです。
     ユニバーサル・トークで言うところの共感の質を高めてくれるスピードです。
     僕がローギアを使うのは、たとえば講演の質問コーナーで「質問はありますか?」と聞いて、手を上げた人が話し出したときです。
     そのとき、絶対トップギアにしちゃダメです。

     トップギアにしたら、相手の言っている一言目に対して、「それは○○だからだ!」と、あらかじめ準備していたり、講演で毎回使っていたりするような、「いつもの答え」を素早く返してしまいます。

     それではダメ。
     「質問者は何でそんなことを聞きたいのだろうか?」ということを、言葉だけじゃなくて声色や表情や年齢や見た目、服装から推理する。
     これがローギアの使い方です。頭の回転をゆっくりにして、やりとりの速度を落とすんです。

     人前で話すのが職業ではないふつうの人は、講演で手を上げて質問していても、本当に自分が聞きたいことを質問できているとは限りません。
     とりあえず、「聞きたい」という意思があるから手を上げて、当てられて、それから「ええと……」と考え出して、しゃべりはじめる。
     しゃべっているうちに自分が聞きたいことがだんだんわかってきて、そうすると一番はじめに聞いたことと今自分が言っていることが矛盾してきて、最後グダグダになって質問が終わるというのがよくあるパターンです。

     でも、その人の話を注意して聞いていれば、本当は何が聞きたいのかというのが、その言葉の中に時々ちらっと現れるんですね。
     あるいは、その人の質問の中で、観客全員が「あ、そこは私も聞きたかったんだ」と反応した場所に対して答えるようにするんです。

    ・まず鍛えるべきなのはローギア
    「戦闘思考力」を伸ばすために最初に鍛えなければいけないのがローギアです。
     というのは、頭の回転速度を上げるための方法は、世の中にいくらでも転がっているからです。

     第一、人と話していたらだんだん勝手に上がります。
     でも、頭の回転数をあえて下げて、力強さを上げる、というのはほとんど誰も言っていません。
     たとえば、84ページのコラムで扱った「原発再稼働について賛成? 反対?」という問いがあったとしたら、思考をトップギアに入れて、すぐに賛成か反対かで答えようとしがちです。

     テレビのニュース番組などで、司会者から振られた質問に対してコメンテーターが、「日本は○○すべきなんです!」と素早くコメントを返していますが、確かに目立つし、こんなコメント能力があったらいいなあ、自分も伸ばしたいなあと思ってしまうもんです。
     
     だけど、その問題に関して2年も3年も考え、粘り強く考える力というのは、ほとんど誰も伸ばそうとしていません。
     だからみんな、なかなか頭が良くならないんですね。

     僕自身、じつは常に考えつづけているテーマが10個ぐらいあります。
     「民主主義は、政治の最終回答なのかな?」
     「家族や恋愛のこれからは、どうなるんだろう?」
     こういう「すぐに答えのでないテーマ」は、ず~っと考えつづけるのが正しい。
     すぐに答えを出そうとするから「悩む」んです。
     悩みは人を弱らせる。
     思考の体力を奪います。

     締め切りなしの、ず~っと考えるテーマを複数持つことで、思考力は持続的に強くなります。
     表層的な知識や小手先のテクニックを手に入れることは簡単ですが、ある物事の本質を深く探求するのは非常に時間がかかりますし、論理力も要求され、それゆえ頭も鍛えられるんです。


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