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岡田斗司夫のニコ生では言えない話
 岡田斗司夫の解決!ズバっと 2016/03/10
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おはようございます。

今日は『解決!ズバッと』はお休み。
岡田斗司夫が、1995年から2001年に「テレビブロス」誌で連載していた『オタクの迷い道』から、セレクトしてお届けします。

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連載第2回「自称『ノーマル』な全共闘オヤジとのすれ違い」 


 「いやあ、予想に反して大盛況だな。オタクなんて部屋から一歩も出ないのかと思ってたのに」
 僕たちがトークショーをした店のマスターが言った。
 僕は秋葉原の電気店街をうろついている奴の3人に2人はオタクだと常々思っている。
 それなのにこれだ。
 「インド人はカレーしか食べない」と言われたインド人の気分。

 実際お客は満員だった。
 普段40〜50人入れば満員の店に立ち見も入れて100人以上、それでも入れずに帰った人が続出。
 この店始まって以来のことだ。

 新宿・ロフトプラスワンの小柄でパンチパーマのマスターは、「この店を文化の発信地にしたい」と熱く語った。
 だから、マイナーな文化人も大切にしたい。
 「お客がトークショーを聞かずに議論するのもおおいにけっこう。けれどこれだけは聞いて欲しいという話の時はこの鐘を鳴らして下さい」

 見ると店の天井からデカい鐘がホントにぶらさがっている。
 唐沢俊一、眠田直、岡田斗司夫のトークでそりゃないぜ。

 もちろん鐘を鳴らす必要はなかった。
 2時間の予定が、3時間以上も盛り上がった。
 マスターには「いやあ暗いと思っていたオタクがあんなに笑うなんて」と言われたけど。

 そのかわり、誰も追加オーダーしない。
 ウエイターが追加を取りに言っても皆うるさそうに手を振って断る。
 たまに追加するヤツがいるが、ウエイターが運んでくると近くのヤツから一斉に睨まれる。
 ウエイターのせいで見えない、聞こえないと厳しい視線がとぶわけだ。

 念願かなって店は本当に文化を発信した。
 開店以来の動員記録を更新した。
 だけど、気の毒に店の売り上げはイマイチだったようだ。
 本当にこれでいいのかマスター。


以上、『オタクの迷い道』よりお届けしました。