【連載:ジャニヲタに訊け!】第5回 ジャニヲタと"リア恋"


「あなた、まさか本当にジャニーズを愛してる!とか言わないよね?」
「いや~、いえいえいえ・・・・・・」

親切に合コンに誘ってくれた同僚を、半笑いでごまかす大人のジャニヲタ。
こうした光景は、わが国のそこかしこで見られます。

一般人とリアルな恋はできないけれど、実はジャニにリア恋してる・・・・・・」という人は、なにげに多いのです。
10代、20代はもとより、アラサー、アラフォー、もちろん、それ以上の女性まで。
――なぜなのか?
それは、ヲタにとってジャニとの恋はサバゲーだからです。


【ジャニーズとの恋はサバゲーである】
エアガンだの迷彩服だの、実戦さながらの装備で戦闘ごっこをするのが"サバゲー"(サバイバル・ゲーム)です。撃ち合いをして弾が当たれば痛かろうし、走って転べば傷もできましょう。ただし、撃って撃たれるのは実弾ではないので死ぬことはありません。
これと同じく、ジャニーズとの恋はあくまでもこちらがイニシアチブをとれる闘いです。死なないけれど、ほんまのロマンス気分は味わえます。ジャニ本人と魂がすり減るようなやりとりをすることはまずないし、会いに行くも行かぬもこっち側のワンウェイ。
とはいえ、相手は恋愛市場の帝王・ジャニーズです。大人の女の金と時間と心を手玉にとるやり口は、アッパレとしか言えません。そう、たとえば、こんなふうに......。


【ジャニーズ、恋の手管6傑】
①スケジュールの先押さえ
一般男性なら「来週の日曜、空いてる?」とか言ってきそうですが、ジャニーズのスケジューリングは豪快です。なんなら半年、時には1年先の予定まですでに押さえてきたりする。春先に「○○の夏コンサート決定! 詳細は追ってお知らせします!」的なふわっとしたメールが来て、「夏っていつだよ?」と首をかしげても、おとなしく予定を空けて続報を待ってしまうのです。

②巧みな営業メール
いつもは放置プレイでも、新譜の発売前ともなると、せっせと「買ってねメール」をしてくるジャニーズ。「こんにゃろ、営業だな!」と思っても、いつしか「記念日を忘れずにメールくれた彼」みたいな愛しみがわき、CDをフラゲしに行ったりするのです。もちろん、数形態あれば全バージョンをもれなく購入。他につぎ込むお金はなくなります。

③戦う姿にドキドキ
本能で女が求めてしまうのは、強い男の姿です。野性をたぎらせて戦う男を、できれば見てみたい。でもそんな機会はめったになく、せいぜい、駅で見かける酔っ払いの小競り合いがイイとこです。その点、ジャニーズは日本刀ひらめく殺陣から仲間割れを装ったケンカまで、さまざまな勇姿をステージで見せてくれます。まんまと見たいものを与えられ、またしても女心は満たされるのです。

④腹筋と胸板で誘う
ヲタにとって、ヘタすると一般人の何倍も馴染みがあるのがジャニーズのカラダです。華奢に見えてほどよい厚みの胸板と、形よく割れた腹筋。「男のカラダってこうだよね」という認識が、すっかり刷り込まれているのです。だもんで、上着を脱いだ上司のポヨンとした腹を見て「ないわー」と思ってしまうこともしばしば。男性が巨乳にウッホウッホと沸くように、ジャニの胸板と腹筋は「こうでなくちゃ!」とヲタをウットリさせるのです。

⑤汗と香りでマーキング
コンサートですごく良い席になると、まれにジャニの汗が飛んできたり、香りが漂ってきたりします。ほとばしる汗と香水のインパクトは破壊級。それと知ってジャニも派手に汗をぶっかけたり、強めに香水を付けたりするのです。汗や香りでマーキングされたヲタは、完全に彼のスレイブ。たまにジャニと似ても似つかぬ人が同じ香りをまとっていると、「てめぇ、ふざけんな!」くらい思ってしまい、ますます普通の恋が遠のきます。

⑥たまにやってくる返信
言いたいことがあれば、LINEでピロッと伝えられる現代ですが、ジャニに思いを届ける手段は手紙に限られます。かくして、ジャニヲタはせっせせっせと自担への思いを綴るのです。会場付近のカフェで熱心に手紙を書く女性がいたら、彼女は十中八九ジャニヲタ。で、そうやって届けた手紙に返事が来ることもゼロではない。ジャニからの返信は、たとえれば砂漠にまかれた一杯の水。ヲタの心身に染み渡り、またしても離れられなくされるのです。


【「ジャニじゃなきゃイヤ!」なのはなぜ?】
このようにヲタを囲い込むジャニーズですから、一般人との恋がかすむのも無理からぬこと。これに加えて、「ジャニーズじゃなきゃイヤ!」な人の中には、こんな本音を持っているヲタもいます。

●「恋愛経験が少なくて、自分を知られるのがこわい」(30歳/書店員)
●「性格的に"追う恋"しか無理。求められるのはイヤ」(23歳/会社員)
●「一般人と付き合っても、欲しい反応をしてくれないとイラつく」(20歳/大学生)
●「イヤな目に遭ったことがあり、男性にトラウマがある」(41歳/看護師)
●「婚活を始めたけど、気持ち悪い人にしか会えない」(35歳/会社員)
●「大人の男の汚さを知ってウンザリした」(24歳/ラウンジ勤務)

ジャニヲタが、なぜ一般の恋に乗り気じゃないのか。

それは、意を決して恋愛の海にこぎ出そうと思っても、すでに港に汚い油が浮いていたり、ヘンな海藻がまとわりついてきて萎えてしまう・・・・・・といった状況に似ているかと思います。

澄んだ、清冽な水面に舟を浮かべるのはいいけれど、汚れた水はお呼びじゃない。
ならば、美しいイメージを抱いたまま遠くから海を眺めていたほうが、平和というものです。

それの何が悪いでしょうか。
沖に見える舟の主に会いたくて、矢も楯もたまらず海に飛び込む――。
そんな情熱にかられるまで、外野が何を言ってもムダなのです。
っていうか、ジャニが後ろから優しく抱いていてくれますし。(そんな気がするだけ?)

せっかく、ジャニーズのいる日本に生まれた身。
とりま、心ゆくまでジャニとの恋を楽しめばいいと思います。


文/みきーる
ジャニヲタ・エバンジェリスト。女子マインド学研究家。応援歴20年超のジャニーズファン。女心を知って楽しく生きるためのライフハック"女子マインド学"を提唱。著書に『ジャニヲタあるある』(アスペクト)『ひみつのジャニヲタ』(青春出版社)他。 ●Twitterアカウント:@mikiru ●公式ブログ:『俯瞰! ジャニヲタ百景
RSS情報:http://news.aol.jp/2016/06/04/mikiru/