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サラーム・ムンバイ ボリウッド映画を求めて 三泊四日の突撃ムンバイ・レポート =1=
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サラーム・ムンバイ ボリウッド映画を求めて 三泊四日の突撃ムンバイ・レポート =1=

2013-04-15 21:30
    Filed under: 映画, プライムタイム, トレンド

    ◇序章

    「ナマスカ~、良い旅を♪」
    エアインディアの機内アナウンスが心地好い。成田から8時間弱のフライトの後、ニュー・デリーで入国審査とトランジット、更に国内便で約2時間で目的地ムンバイに着く。そこはインド映画のメッカ、ボリウッド映画発祥の地。

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    日本でインド映画といえば、去年スマッシュヒットした『ロボット』で健在振りを示したラジニカーント主演『ムトゥ 踊るマハラジャ』というのが大定番。だが、タミール語作品の『ムトゥ~』は、国内ではマイノリティに属する。

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    アジアの中央に位置し、民族も多彩。イギリス、ポルトガル、フランスなど、ヨーロッパの列強に支配された歴史、海を含めて四囲に国境があるお国柄、意識も考え方も異なる多面的な顔を持つ国だ。憲法で認められた22種の言語が入り乱れ、ヒンディー語と英語が公用語となっている。そんなインドで圧倒的なシェアを誇るのは、ムンバイで生み出されるヒンディー語作品で、この作品群を総称して「ボリウッド映画」と呼ぶ。

    今回の旅は、4月20日から公開されるムンバイ発の4作品をラインナップした「ボリウッド4」の魅力を探る取材行である。

    tigher-main-400.jpg『闇の帝王DON ベルリン強奪作戦』と『命ある限り』に主演し、ボリウッド映画の帝王と呼ばれる大スター、シャー・ルク・カーン、インド映画史上No.1ヒットを記録した『きっと、うまくいく』の名優アーミル・カーン、庶民派俳優として現地での人気はピカイチで『タイガー 伝説のスパイ』のサルマーン・カーン。インドを代表する3大カーンの誰かと会えるかも知れない。

    tigher-sub-400.jpg女優にだって目が眩む。2000年ミスワールドに輝いた絶生の美女プリヤンカー・チョプラ、容姿端麗のハーフ美人女優カトリーナ・カイフ、名門一家出身のカリーナ・カプール、そして『命ある限り』でシャー・ルク・カーンと共演を果たした新進女優アヌシュカ・シャルマらの取材が叶うかも知れない。ボリウッド映画の歴史を体現する老舗スタジオ、ヤシュ・ラジ・フィルム、スピルバーグのパートナーであるリライアンス・グループを訪問、ヒット作を連発する新進プロダクション、エクセル・エンターテインメントの取材、映画館視察など、予定はてんこ盛り。エアインディアの機内上映でボリウッド映画を復習してのムンバイ到着となった。
    期待は膨らむばかり、三泊四日のムンバイ紀行「サラーム・ムンバイ ボリウッド映画を求めて」と題してレポートをお届けします。是非、ご一読ください。

    「ボリウッド4」公式サイトはこちら
    http://bollywood-4.com/

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    ◇ムンバイ街路から映画が見えてきた

    我々を乗せたバスが街路を行く。ヨーロッパの高級車から現地生産の軽自動車、タクシーにオート・リクシャー、バイク、スクーター、自転車に人力車...。通りには様々な乗り物が溢れ、我先にと道路の隙間に突っ込んでいく。活気に溢れているというのは、ことムンバイに限ってはふさわしくない。ここで運転しろといわれたら、30分以内に事故ること必至。我先にという生存競争なのだ。渋滞は各地で目撃される現象だが、1秒に1人新生児が生まれるインドは、とにかく人が多く、狂騒も半端ない。

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    ドアのない通勤電車やバスには、乗り切れない人々が片手乗りすることもざら。ある路線では年間3000人もの人々が事故で命を落としているらしい。生命力に満ちた混沌が道路狭しと溢れている。これぞボリウッド映画の勢いそのものではないか?

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    ムンバイの映画館は、500~1,000人を収容する劇場型の映画館《シングルシアター》と、ショッピングセンター等にあるシネコン型の《マルチプレックスシアター》がある。シングルシアターの料金は、旧作を上映する老舗のエドワード劇場だと最低で30ルピー。他方、170度までフラットになるリクライニングシートがあるシネコン"Cinemax"では450ルピー、その格差はなんと15倍である。

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    リライアンス・エンターテインメントの代表で、日本のディズニーでマーケティングに従事していたこともあるサンジーブ・ランバ氏は言う。「映画産業がピークを過ぎたといわれた時期がありました。でも、この10年間でマルチプレックスシアターが登場、富裕層が映画に戻ってきました」と、現在のボリウッド映画隆盛を分析する。つまり、猥雑な劇場を敬遠していた富裕層が高額なシネコンで映画を楽しみ、庶民は低料金のシングルシアターに行く。2タイプの映画館が両輪となり、貴賤を問わず同じ作品を楽しんでいる。その姿は、高級車から人力車までがひしめき、いつも混雑しているムンバイの日常風景と重なって見えてくる。

    ランバ氏は、「もちろん、時代の変化で、筋書きで見せるノースターの作品も生まれ始めています」と前置きした上で、「ふたつの客層に楽しんでもらえる映画の秘訣は、面白さはもちろんですが、重要なブリッジ(架け橋)になるのが、シャー・ルクを筆頭とするスターの存在です。彼らが出演することによって、観客の期待値は間違いなく高まり、劇場に人が溢れるのです」と話す。銀幕スターという言葉がすっかり消えた感のある日本とは異なり、3大カーンを筆頭とするボリウッドは、ギャラと観客からの支持、その両面でスターシステムが確立されている。ごひいきのスターが登場する映画を、それぞれの鑑賞スタイルで楽しむ。映画王国の秘密は、こんな所に隠されていたのだった。

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    続く

    「ボリウッド4」公式サイトはこちら
    http://bollywood-4.com/ 

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