ウシが一年間おならをがまんして、大きいのを一発したら、宇宙まで飛んでいける?
ぶっ飛びながらもどこか夢のあるこの質問は、世界の第一人者100人が100の質問に答える、書籍『世界一素朴な質問、宇宙一美しい答え』の中の一つ。「本当に飛べるのか!?」と気になるこの質問には、サイエンスライターのメアリー・ローチが答えています。
ウシが山ほどのガスを出すのは本当の話。そのほとんどがメタンガスで、一年間に息と一緒に85kgも吐き出します。メタンガスはご存知の通り、可燃性が高いガス。これを圧力タンクにためて、宇宙飛行ウシにベルト固定式のロケットを装着させれば、宇宙に飛んでいける可能性があるのです。
そこでメアリー氏は、ロケット科学者のレイ・アロンズに、実際に飛行は可能なのかを調査したようです。レイによって提案されたのは、安定のよいダブルノズルエンジンと、空気抵抗を減らす空気力学を駆使した超軽量ハイテク飛行服の着用(宇宙服は、打ち上げ前の記者会見でウシが偉そうに見えるというメリットもある)。
「レイの計算では、85kgのメタンガスがあれば、およそ33秒間にわたって900kg重の推進力を出せるとのこと。これだけあれば、空気力学的に抵抗のない流線形をした体重680kgのウシを、高度5kmくらいまで打ち上げられる」
なんと、宇宙服を着たウシは実際に宙に舞うことができるのです。これは夢の広がる話。ただ、宇宙が始まるのは高度約32kmからなので、「ウシが一年間おならをがまんして、大きいのを一発したら、宇宙まで飛んでいける?」という質問に関しては、技術的にNOとなってしまいました。
「このメタンエンジンはホットだ」と言葉を残したのはレイ。自分のおならで宇宙に行くだなんて、なかなかできない発想ですよね。
同書では、「ミミズを食べても大丈夫?」「エイリアンはいるの?」「ハチはハチを刺せる?」「どうして意地悪なんかするのかな?」など、様々な質問に、冒険家、天文学者、昆虫学者、心理学者らが本気で答えています。
【書籍データ】
・『世界一素朴な質問、宇宙一美しい答え』 ジェンマ・エルウィン・ハリス(編集) 河出書房新社
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