これまで、平和島、多摩川、戸田、桐生と4つのボートレース場でグルメを堪能してきたが、今回はついに、満を持してボートレース江戸川へとやって来た。なぜ「ついに、満を持して」なのかというと、このボートレース江戸川は、ボートレースファンにとっても、そうじゃない人にとっても、「ちょっと変わった」場所なのである。
「ちょっと変わった」の一つ目が、競走水面(ボートレースが行われる水面)が「川」だというところだ。
ほかのレース場は専用に作られた水面を有しているが、ボートレース江戸川は、一般の河川を競走水面にしている。これは現在日本で唯一である。
<入口にはなぜか大魔神の巨大なオブジェが>
ちなみに、ボートレース江戸川という名称だが、東京都江戸川区にレース場があるからこの名前が付いているだけで、実際水面として利用しているのは中川だ。
川を使って競技をするということは、当然川の流れも影響するし、ここは河口に近いので潮の満ち引きの影響も受ける。そして、川なので時折ほかの船舶も通過する。
そうすると水面が波立つので、レースはしばらく中断される。この日も、一般の船舶が荷物を引きながら通り過ぎたので、レースのスタートが数分間遅れるということがあった。
こうした特殊な環境は、当然ながら選手にとっては厳しいレースとなるわけだが、腕の見せ所でもある。
このように、ボートレースファンにとって特別なレース場であるボートレース江戸川だが、もうひとつ「ちょっと変わった」ところがある。場内に、ミュージアムがあるのだ。
「ああ、ボートにまつわる作品が飾ってあったりするのね」と思ってしまいがちだが、そうではない。
世界から注目を集める芸術家による、現代アートの作品が数多く所蔵されている、本気のミュージアムなのだ。
江戸川アートミュージアム(EKAM)という美術館は、ボートレース江戸川を運営する企業が同じく運営するもので、ムットーニ、桑原弘明、荒木博志らの作品を展示している。
<展示作品のひとつ、左官 挾土秀平氏の作品『EARTH WALL(大地の壁)24』>
<好きなデザインの壁を選んで、占いができる>
<こちらは桑原弘明氏の作品。スコープをのぞくと精巧なミニチュアが>
<造形作家 荒木博志氏の『眠れるアトム ASTRO BOY』>
<自動人形師ムットーニ氏作のカラクリ・ミニシアター>
EKAMは予約制で、アートツアーはネットで1人から予約できる。参加費は1500円で、美術鑑賞のあとは特別観覧席でボートレースも観戦できるというから、とてもお得だ。
「ボートレースに行ってみたいけど、ちょっと不安」という人にはおすすめのツアーだ。
(ツアーの詳細はこちら http://www.edogawa-art.jp/contactus/index.html)
さて、肝心のボートレースに戻ろう。
ボートレース江戸川は「和」のテイストに包まれている。
場内にはそこかしこに古い映画の看板絵が掛けられている。
これは「最後の映画看板師」とも呼ばれる久保板観さんの作品だ(作品は先ほど紹介したミュージアムにも展示されている)。
さらに、指定席の「MIYABI」にも趣向が凝らされている。
竹をイメージした装飾が施されたフロアーには、リラクゼーションルーム「powerspot」が設けられている。
さらに、女性専用ルーム「kaguyahime」やカラオケルームなど、これでもかというほどのおもてなしが満載だ。もうこうなってくると、ボートレースをやらなくてもいいんじゃないかと思えるほどだ。
ボートレース江戸川のウリはほかにもある。
おまちかねのグルメ、モツ煮だ。
<豚もつ煮定食>
ここのモツ煮は、近所の人が鍋をもって買いに来るほどの人気だそう。
<私は「特選」もつ煮込み定食をいただいた>
私もいただいたが、秘伝のスープで煮込まれたモツはホロホロでジューシー。確かに、家に持って帰りたくなる気持ちも分かる。
<大豆がいい役割を果たしている、ステキなモツ煮であった>
お腹もいっぱいになったところで、ボートレース観戦にのめり込もう。
ここの競走水面が川であることは先ほど述べたが、河岸を通る一般道がレース場の施設内に走っているのだ。
ちなみにこの道路、レース開催日は通行止めとなり、レース場の外を迂回している。
また、施設から水面へは道路をまたがなければならないので、ボートを運ぶ専用のクレーンが備え付けられているのもおもしろい。
河川敷に設けられた観戦スタンドは水面がとても近い。遠くにスカイツリーを眺めながら観戦するレースも、迫力満点だ。
肝心のレースだが、今回はなんと5780円の配当が付くレースを当ててしまった。しかも200円購入していたので、1万円以上のもうけである!
もちろんこの連載で最高額。モツ煮定食を何杯でも食べられる成果であった。
都心から近く、モツ煮もうまく、ミュージアムも併設しているボートレース江戸川。レース初心者にはうってつけの場所である。
<レース場でもらったガイドブックで、次回もマンシュウを狙うべく勉強中。ちなみにこのガイドブック、まもなく2014年度版が出版されるそう>
(工藤考浩)
【参照リンク】
・ボートレース江戸川
http://www.boatrace-edogawa.com/
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