中国・安徽省(あんきしょう)の山奥に位置するマオ・タン・チャンという街に、軍隊並みの厳しさを誇る学校がある。
マオ・タン・チャン高校は、生徒数2万人以上(人口の4倍)のマンモス校。ほとんどの生徒は地方出身だが、彼らの親は恐怖の受験戦争に勝利すれば農業生活から抜け出す可能性が広がっていると信じているため、学生たちは難関の全国大学統一入試「高考(gaokao)」に向けて昼夜ほとんど休むことなく勉強している。
同校の教育方針は"学問に関係ないものは禁止"というシンプルなもので、生徒たちが真面目に勉強できる環境を作り、目標達成を応援。生徒はテレビの視聴やインターネット・携帯電話の使用はもちろん、デートも厳しく禁止されている。学生寮の部屋には、生徒がこっそり電子機器を使用するのを防止するために電源ソケットはない。
校内はセキュリティやカメラによって24時間監視されている。学校は男性教師のみを雇用し、彼らは「軍隊スタイル」の戦略を理解し、生徒の成績が悪ければ罰することもためらわない。生徒のスコアを上げる能力が仕事やボーナスを左右するが、給料は全国の公立高校に比べて2~3倍は高いという。校外においても、ネットカフェやビリヤードなどの娯楽施設を閉店させるなど厳しい措置をとっているが、地方自治体が非常に協力的だというから凄まじい。
しかし、こういった厳しい規律が功を奏してか、大学に合格した生徒数は1998年の98人から2014年には9,132人まで伸びたという。
2014年に清華大学(中国最高のエリート大学)に入学を許可された唯一の生徒であるシュ・ペンくんは、その素晴らしい成績のおかげで地元ではセレブ扱いされているようだ。しかし、つらい受験勉強からは解放されたが、普通の生活への適応が大変だったという。
最初に大学へ行ったときに、ほとんどのクラスメイトは中国の主要都市出身だと知ったペンくん。彼らは裕福で、iPhoneを持ち、アメリカのシットコム(ドラマ)を観ていた。「1学期は自分の人生についてかなり混乱した。誰からも"何をしろ"と言われなかったし...」とペンくんが語るように、高校時代に比べると大学での新生活は"解放"そのものだったようだ。しかし、彼はいまだにハードワークの日々を止められないらしく、まるでPTSDを患った帰還兵のよう。入浴と食事の短い休憩を除いて、48時間連続で勉強することもあるそうだ。
ちなみにペンくんは工学を専攻していて、アメリカの大学院に進学したいと考えているとか。そんな彼のサクセス・ストーリーはマオ・タン・チャン高校の教育方法を正当化するものだが、強烈なプレッシャーは逆効果になることもある。北京では生徒の負担を減らす教育改革が行われているが、ほとんどの地方では、よりよい人生を送るためにいまだに「高考(gaokao)」が唯一の希望なのだ。ネット上では、このスパルタ教育に対して
「ハードコアな高校だな」
「中国人じゃなくてよかった...」
「私も毎晩10時まで勉強する学校に通ってたけど、何の役にも立ってない気がする」
「学び、成長し、向上するための勉強ではなく、試験に合格するためだけの勉強だよね」
「人間の心が無駄になっている」
「ちなみに何人の卒業生のうち9,312人が大学合格したんだろう? どうやって平均と比べたの?」
と、驚きや嘆きのコメントが寄せられている。
【参照リンク】
・At China's Most Hardcore High-School Teachers Employ Army-Style Tactics to Best Educate Students
http://www.odditycentral.com/news/at-chinas-most-hardcore-high-school-teachers-employ-army-style-tactics-to-best-educate-students.html
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