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『ペルソナ5 スクランブル』レビュー:多幸感がスゴい!これぞ続編!!これぞエンターテインメント!!!
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『ペルソナ5 スクランブル』レビュー:多幸感がスゴい!これぞ続編!!これぞエンターテインメント!!!

2020-02-29 10:30
    1-1-1024x576.jpg多幸感がスゴい! これが『ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ(以下P5S)』を10時間ちょっとプレイしての筆者の感想だ。「エンターテインメント作品の続編はこうでなくっちゃ」と強く感じている。 2-1-1024x576.jpg

    シリーズ初のアクションRPG!『P5S』

    『P5S』は、人気RPG『ペルソナ』シリーズの最新作であるとともに、『ペルソナ5』シリーズの最新作でもある。『ペルソナ』シリーズはこれまでターン制・コマンド選択型のRPGとして作られてきたが、今作はアクションRPG。しかも、バトルシーンは『無双』シリーズなどで知られるω-forceが手掛けている。話題性は抜群だ。

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    ただ、正直言うと筆者は本作にさほど期待していなかった。もちろんそれは『ペルソナ』シリーズ思い入れがないからではない。筆者は『女神異聞録ペルソナ』はもちろん、ファミコン版『女神転生』のころから本シリーズを欠かさずプレイしている。ゲームだけでなく音源も購入しているファンのひとりだ(『女神転生』シリーズや『ペルソナ』シリーズにおいて音楽が重要な位置を占めていることは、ファンなら分かってもらえると思う)。

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    そんな筆者が何故期待しなかったか。それはアクションRPGになると聞いて「番外編的な軽い作品なのかな?」と感じたから。たとえばそれは、2D格闘ゲームとして作られた『ペルソナ4』の続編『ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ(以下P4U)』。『P4U』は面白いゲームなので嫌いではない。しかし、ゲームを通して体感できる内容が『ペルソナ4』の続編としてふさわしいかと言われると、素直に「はい」とうなづけない。首を縦に振るには『ペルソナ4』を「2D格闘ゲームとして作ったら」というエクスキューズが必要になるだろう。しかし『P5S』は違う。これは『ペルソナ5』の正当な続編だと感じている!

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    『ペルソナ5』の正統進化アクションバトル!?

    本作が『ペルソナ5』の続編だと感じられる理由。それは、ひとつにゲームの流れが基本的に『ペルソナ5』と同じだからだろう。ゲーム内にカレンダーが存在し、1日毎に行動を行う。ダンジョンに潜入し、敵に見つからないよう探索。探索中に敵シンボルと接触するとバトルが発生。そして、探索を重ねてオタカラの場所を突き止め、予告状を出してボス戦へ。こうした部分は、『P5S』でもそのまま引き継いでいる。

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    正直、そのまま『無双』シリーズ寄りのシステムにしてしまうという作り方もあっただろう。『ペルソナ5』のキャラクター達が広大なマップを移動し、出現した敵とリアルタイムに戦う。しかし、本作はそういう作り方を採らなかった。乱暴な言い方をしてしまえば、『P5S』はバトル部分のみを『無双』寄りにした『ペルソナ5』と言えるかもしれない。

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    しかし、実は刷新されたアクション部分さえも、プレイ感は『ペルソナ5』を想起させるように思う。確かにバトルの基本システムは、『無双』シリーズのもので、フィールドを自在に移動し、ボタン連打で敵に連続攻撃を叩き込んでいくものだ。

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    では、何が『ペルソナ5』らしさを感じさせているのか。それはやはりペルソナの存在だろう。ペルソナによる攻撃は「スキル一覧画面を出す→選ぶ」という2ステップで行う。スキル一覧画面の表示中は時間が止まるため、スキルに悩む間に敵に襲われることはない。かといってアクションのテンポが悪くなることもない。バトルを繰り返すうちにスキルの使用タイミングや配置に慣れるので、瞬時に使えるようになっていく。「攻撃→攻撃→ペルソナのスキル」と流れるように移行していくことが可能なのだ。

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    さらに『ペルソナ5』らしいのが攻撃だろう。弱点属性を突くことで敵の動きを止め、追加攻撃のチャンスを作り出すことができる。もちろん全員で一斉に襲い掛かる総攻撃も健在。「攻撃→攻撃→…→ペルソナのスキル→追加攻撃→攻撃→攻撃→…ペルソナのスキル→総攻撃(!)」のような、超連続攻撃も可能。まさにフルボッコという言葉がピッタリでめちゃくちゃ爽快だ!

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    そして、『ペルソナ5』感を最も感じさせてくれたのが、新要素の「バトンタッチ」。『P5S』も『ペルソナ5』同様、4人パーティーでバトルに挑むのだが、使用キャラは主人公だけではない。この「バトンタッチ」によって、パーティー内で使用するキャラを交代できる。これによりペルソナ使用に必要なSPが節約でき、効率的に敵の弱点を突いていける。

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    こうしたシステムによって、本作のバトルは非常ににぎやかな仕上がりとなっている。怪盗団の面々とペルソナ、シャドウが入り乱れ、次々にアクションを繰り出す様子はゲームのタイトルさながらにスクランブル! 前作『ペルソナ5』のバトルも、優れたアニメーションで怪盗団やペルソナのアクションシーンが描かれていたが、どちらがより『ペルソナ5』らしいかと言われれば、断然本作だろう。そういう意味で本作のバトルは、『ペルソナ5』のバトルをアクション化したのではなく、『ペルソナ5』のバトルを正統進化させたものだと感じた。

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    怪盗団との日々再び!彼らが乗り越えるべき敵とは?

    『ペルソナ』シリーズにとってバトルが重要なのはもちろんだが、それ以上に重要なのはストーリーだろう。『ペルソナ5』をプレイしたことがあれば、怪盗団との楽しい日々、権力を有する巨悪へ抗った日々が、心に強く焼き付いているハズ。『P5S』はそれを超えないまでも、続編としてふさわしい時間を感じさせてくれるのか…?

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    余談だが、筆者はゲームのシナリオライターとして活動することもある。続編のストーリーを考えるのは正直、非常に難しい。「えっ? 既にキャラクターが存在するんだから、カンタンじゃない?」と思う人もいるかもしれない。しかし、キャラクターありきでストーリーが作れるかというと、そうではない。というのも、基本的にストーリーは精神的な成長を描くものだからだ。とりわけ『ペルソナ』シリーズのストーリーは登場人物の精神的な成長に重きが置かれている。

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    たとえば『ペルソナ5』であれば、主人公はとある事件を目にし、そこで正義感を発揮したばかりに保護観察の身となり、退学処分を受ける。他の主人公たちもそれぞれ、主人公と同様に理不尽な状況に置かれている。たいていの人は、こうした理不尽な状況に泣き寝入りをしてしまうが、彼らは抗う。そしてその過程を通して成長をしていく。ただ抗えばいいのではない。世の中を正しい状態へと直すためにはどうすればいいのかを成長によって学んでいくのだ。

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    本作は『ペルソナ5』の後日談に当たる。つまり、本作の主人公たちは理不尽を乗り越え、すでに精神的な成長を遂げたている。そのため、ただ新しい敵を出すだけでは、そこに精神的な成長はない。ただ成長したキャラクターが敵を倒すだけだ。ファンの中にはそれでもいいという人もいるだろう。しかし、『ペルソナ5』のストーリーに近い満足感が得られるかと言えばそうではない。既存のキャラクターを出すだけではストーリーが作れないのはこのためだ。

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    この難しい課題に本作の出した答えが、ジェイルという存在に集約されている。ジェイルは、前作のダンジョンの舞台となったパレスに相当する存在。パレス=王宮に対して、ジェイル=牢獄。このネーミングの違いが、本作のストーリーを象徴している。

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    『ペルソナ5』において、主人公たちが抗う理不尽の対象は、教師、芸術家、社長、政治家などの人々。つまり、理不尽は、基本的に社会的な地位・権力・金などの力を有する者達からもたらされていた。自らの勝ち取った力によって現実認識が歪んでしまった者たちにはパレス=王宮という舞台がふさわしい。一方、本作でジェイルの王として君臨する者たちは、自ら勝ち取った力ではなく、異世界の力を利用して社会的な成功を収めている。

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    これからプレイする人のためネタバレは避けるが、たとえば最初のジェイルの王・柊アリスは、とあるトラウマを抱えている。それゆえに、成功を目指して人一倍努力した。しかし、その努力をあざ笑うかのような理不尽に遭遇してしまい、自力で乗り越える選択ではなく、ジェイルの力を利用して歪んでしまう。

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    生きていく上で誰しも理不尽は訪れるが、全員がそれを乗り越えられるわけではない。『ペルソナ5』の主人公たちは精神的に成長し、正しく理不尽を乗り越えることができたが、理不尽に屈して、認識を歪めてしまう者もいる。理不尽に囚われてしまった状態だからこそ、本作の舞台はジェイル=牢獄なのだろう。

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    理不尽に抗おうとしながらも負けてしまったジェイルの王たち。この意味で、彼らは前作の主人公たちのもう一つの姿、影のような存在といえる。そう、『ペルソナ』シリーズ通しての敵・シャドウ。だからこそ、理不尽に抗って、打ち勝つことで成長した主人公たちは成長過程にある(=一度は屈してしまった)人間を正しく導くという役割を本作で担っていくのだ。

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    この意味でも『P5S』は、『ペルソナ5』の正当な続編だ。それも極めて真摯に作られている。「人気キャラクターをもう一回出して番外編的ストーリーを作ればいいじゃん」という安易な作り方には決してなっていない。

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    もちろん、『ペルソナ5』の怪盗団にもう一度会える!というのはファンとして非常に嬉しい。怪盗団メンバーのセリフの応酬を見ているだけで、いつもの場所に帰ってきた気分になれる。なお、本作の日常パートは『ペルソナ5』と違い、コープを深めていく要素がなく、カレンダーもストーリー上強制的に進んでいく。つまり自由度は若干少なくなっているが、それでも日常パート用のシナリオはしっかり用意されているので、安心してもらいたい。

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    多幸感がスゴい!これぞ『ペルソナ』!コイツを逃す手はないぜ

    日常パートでは、様々なキャラクターと信頼関係を築き、ダンジョンパートでは探索とペルソナ収集、育成を楽しむ。そして、ストーリーを通して精神的な成長も体験できる。『ペルソナ3』から続くこのシステムが与えてくれるのは、圧倒的な多幸感だ。とにかくプレイしている間が楽しい! まだラストまでプレイしたわけではないが、少なくとも今のところ、本作『P5S』もまたシリーズの持つ多幸感を同じように感じさせてくれる「プレイしてよかった」と心から言える作品だ。だからこそ『ペルソナ』シリーズの1ファンとしては「コイツを逃す手はないぜ?」と強く言っておきたい。

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    ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ | 公式サイト:
    https://p5s.jp/ [リンク]

    (執筆者: ガジェット通信ゲーム班)

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