01-1024x576.jpg8月20日、ニンテンドースイッチ(以下NS)用ソフト『Chinese Parents(チャイニーズペアレンツ)』が発売された。本作は、中国の「墨鱼玩游戏」が2018年にSteamにてリリースし、これまで280万本以上のセールスを記録。NS版はPLAYISMがローカライズとパブリッシャーを担当している。

この世に生を受けた瞬間から、闘いは始まっている!

本作は、中国の一般家庭に生まれた子ども(=プレイヤーの分身)が、両親の期待を背負いながらエリート街道を進んで行き、名門大学合格を目指すシミュレーションゲーム。

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基本的な行動パターンは、「IQ」「EQ」「想像力」「記憶力」「体力」全5種類の能力の「カケラ」を吸収したり、様々な「学習」や「娯楽」をこなしたりして、能力を上げたり特技(スキル)を身に付けたりしていくという流れ。

能力が上がると「理解値」と引き換えに、より能力が上昇する新しい学習を身に着けることができる。これを「高考」(大学入試)までの48ターンの間繰り返していく。ターンが進むと“名門校進学”など、親の期待を反映するかのようなランダムイベントも度々発生し、それをクリアできるかできないかで、展開が変わることもある。

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“マウンティング”で戦うメンツバトル! お年玉は遠慮しながらもらえ

中国人は“「メンツ」がとにかく大事”という国民性がある。それは本作にも大きく反映されており、能力値にメンツもある。

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そして、ゲームを進めていると、突如“付き合いのない親戚”や“遠方の従妹”などが、親のメンツを潰しに現れるのだ。そこで発生するのが「メンツバトル」である。

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メンツバトルは、嫌味や皮肉、嫉妬、自慢などでマウンティングしてきた相手に対し、習得した特技で相手を圧倒して、指定ターン以内に相手のHPを0にした方が勝利となる。なお、特技は1バトルにつき1回しか使えないので、所有特技が少ないと途中で何もできなくなり、圧倒的に不利になってしまうので気を付けたい。

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メンツは定期テストの成績などでも増加したり減少したりする。メンツが高いと両親に要求できる娯楽も増える。

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また、中国では“お年玉”をもらう時は「少しのお世辞、断るのはダメ、すぐにもらってもダメ!(一度は遠慮しつつも良いタイミングでゲットする)」というマナーがあり、お年玉をタイミング良くもらうためのミニゲームも発生する。ミニゲームはカーソルが両端に触れないようにコントロールして、Aボタンでオレンジゾーン内をキープし続けるというもの。

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筆者は中国に行ったことがなく、中国人の友人知人もいない。なので、正直、これが現在の中国の子育て風景として“あるある”なのかはわからない。しかし、どれもリアリティがありすぎて、良くも悪くも妙に“納得”してしまう。

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また、ミニゲームには他にも、瞬時の「ヒラメキ」が大事な「作文」もあり、こちらは反射神経と動体視力が試されるQTE(クイックタイムイベント)となっている。

すべてが終わってもゲームは終わらない……新“主人公”誕生

すべてのターンを終了すると、合格した大学の発表があり、主人公は中国に実在する大学へと入学し、その後就職。その後は次の“主人公”を作るために必ず誰かと結婚する。

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この時の結婚相手に、学生時代に“「親密度」が高かった異性”がいれば、選択肢に入る。プロポーズ成功の確率は親密度によるが、指名した人と無事結婚できれば「配偶者ボーナス」も加算され、次の代の主人公は有利に攻略できるようになる。なので、気になる異性がいたら、積極的に親密度を上げるといいだろう。

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親密度は女子の場合、“お誘いを受ける”ことで相手との親密度が深まっていくが、男子の場合は自分から連絡しなくてはならず、さらに話がそこそこ盛り上がっても親密度に変化がないことが多々ある。世知辛い……これもひとつの“中国のリアル”か。

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さて、次の主人公に引き継がれる「次世代能力ボーナス」だが、「職業ボーナス」と前出の配偶者ボーナスのみで、特技は一切引き継がれず、前主人公の最終的な能力値も影響されず(職業決定には影響されると思われるが)、ボーナスによってそれほど“強い”主人公が誕生するわけではないので、留意されたし。

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笑えないけど笑ってしまう!? 中国の“ブラックあるある”も

本作は中国内でユーザーから募集した「あるあるネタ」もふんだんに盛り込まれているが、ブラックな内容のものも多い。以下に一例を紹介する。

「テーマパーク」や「遊園地」はどちらも“パクリ”の文字が並び、「海賊版ゲーム」も売店に平然と売られている。

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「アルバムCD」のテキストは「いい音楽を聴きたいならお金を払おう!堂々と楽しもう!」とあり、どこの国でも違法ダウンロードは社会問題なのかという苦笑いが止まらない。

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また、“不利な状況を金で解決しようとする”描写も度々あり、中国では賄賂もあるあるなのかと思ってしまう……何とも“黒い話”である。

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しかしながら冒頭で述べた通り、本作はもともと中国で開発されたタイトルだが、日本語ローカライズのテキスト翻訳に並々ならぬセンスを感じてしまう。ここまで抱腹絶倒のテキストをつくるには日中両国の文化にかなりの知識と愛がないとできない、まさに“職人芸”といえるだろう。特に秀逸だと思ったのは「ホッタイモイジルナ」のくだり。原文(中文)では何と言っていたのか……。

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ちなみに中国人は日本のアニメを見て日本語を覚えるケースもよくある話らしい。クールジャパン恐るべし。

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おまけ

ゲームを進めていくと「スキル・オブ・チャイナ」というオーディションイベントが時折発生する。

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このイベントは特技を1つ選んで発表し、最優秀賞を目指すというものだが、特技を選択後、各自特技披露中にもかかわらず、特技の選択決定(○○をオーディションで発表しますか?)が突然現れる。ここで「戻る(B)」を押せば何事もなく進行するが、「決定(A)」を押してしまうと、オーディション終了後も司会が画面に残り続け、ハングアップしてしまう。

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こうならないように、不自然なタイミングで選択肢が出現したら、冷静に「戻る」を押そう。

また、主人公誕生後、名前入力時に女子でも「男の子だ。」と表示されてしまうのはどうにかならないものか……。(現に1周目は男子だと思って名付けたら女子だった)

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見分け方は左上の赤ちゃんアイコンに、お花がついていれば女子、ツノが生えていれば男子である。

最後は不具合にツッコミを入れて終わりになってしまったが、中国人のリアルで生々しいパルスを感じることができる、“邦ゲー”には出せない独特の味があるタイトルだった。

Nintendo Switch|ダウンロード購入|Chinese Parents(チャイニーズペアレンツ):
https://ec.nintendo.com/JP/ja/titles/70010000033219[リンク]

文/浦和武蔵

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