筆者は「ゲームインパクト」や「ゲームレジェンド」などのイベントで『ホーギーヒュー』を知っていたが未プレイで、「PC版しかないのか……NS版がリリースされたら絶対プレイするのになぁ」と思っていたところ、今春NS版リリースのニュースを知り、ウハウハしながら待機していた。NS版リリースにあたり、2019年には「Makuake」でクラウドファンディングを実施。目標金額200万円に対し、232万2000円(達成率116%)でサクセスしている。
ゲームは正統派骨太横スクロール。往年のコナミSTG“リスペクト”も!?
地球に攻め込んできた侵略者「ゴーザリアン」から「大切なものを守るため」に立ち上がったヒューとフィガロ。プレイヤーはヒューかフィガロどちらかを選び(1人プレイ専用。2人プレイ不可)、全8+αのステージをクリアしていく。かわいらしいキャラクターデザインとは裏腹に、敵の動きやステージの仕掛けがトリッキーで、難易度ノーマルでも、かなり歯ごたえのあるように思えた。
Bボタンでショット、Aボタンで宙返り(緊急回避。回転中は無敵)が使えるのだが、この宙返りによる回避が、慣れないうちは非常に難しかった。また、ハワード博士というキャラクターがパワーアップアイテムの「エンブレム」を投げてくることがあるが、これをなかなか拾えずにスルーしてしまったり、敵に接触してミスになってしまったりと、パワーアップするのも一苦労だった。
実際、最初はステージ1すらクリアできず、ステージ1がクリアできても今度はステージ2で心が折れかけたり、ステージ3で詰まったり、筆者のような下手の横好きは難易度イージーにしないとクリアできないのか……と狼狽えていた。しかし、そんなプレイヤーの“救済策”である「エターデイモード」によって、無事に難易度ノーマルでエンディングまで辿り着くことができた。「エターデイモード」についてはまた後程。
本作は、どこかで見たことがあるような、既視感のあるギミックなども多数登場する。シェルターから5体くらい連続で襲い掛かる敵キャラ、突然画面の上の方にせり上がる岩の塊、徐々に閉まって行く壁(壁は接触するとミス)、火山から飛んでくる岩石、自機を呑み込もうとするプロミネンス……等々、往年のコナミ名作シューティング「グ○○○○○」へのリスペクトが感じられる。
音楽は元・コナミ「矩形波倶楽部」古川もとあき氏が担当しており、クールな爽快感に満ちた古川サウンドもまた、コナミシューティングファンにはたまらないだろう。
どうしてもクリアできないときの救済策! 「エターデイモード」
PC版やiOS版にない本作オリジナルモードの「エターデイモード」は、キューブのかけらを集め、戦争で被害を受けた街を復興していくモード。復興を進めていくと、開発資料や原画が閲覧できる美術館、古川氏作曲のBGMがじっくり聴けるカフェ、自機をパワーアップできるお役立ちパーツなどをアンロックできる。
ここでアンロックできるパーツが攻略のカギを握ると言っても過言ではなく、通常弾を強力なレーザーにできるパーツや、7方向にショットを撃てるようになるパーツ、自機に連なり同じ攻撃をするオプション、さらには敵などに接触した瞬間、自動で宙返りをするアイテムなど、展開が非常に有利になるものばかりである。
正直、筆者はこれらのパーツをフル装備して挑み(レーザーと7wayは同時に装備できないので7way)、最後までクリアできた。これがなければ恐らく難易度ノーマルでのクリアは不可能だっただろう。パーツは装備しなくてもいいので、ある程度上達してきたら、“装備なし・素の状態で全クリ”などの「縛りプレイ」に挑戦してみるのもいいかもしれない(筆者は無理だけど……)。
ちなみにコンティニューも無制限で、一旦ゲームを終了しても、一度到達したステージから始められるので、「また最初からかよ~!」と匙を投げることなく、何度でも根気強く挑戦することができる。なお、難易度はイージーからベリーハードまでの4段階。
震災から生まれた絆の出会い
主人公のヒューのモデルとなった「ヒューガ」は、福島県飯舘村に住む家族のもとで暮らしていたが、2011年に起きた東日本大震災による原発事故の影響で、仙台のシェルターに預けられた原発避難犬。本作を制作したピクセル社の佐々木英州氏の家に預けられた。
ある日、離れて暮らすヒューガの家族(W家)と佐々木氏が出会い、偶然にもW家にレトロゲームが好きな少年がいたことから意気投合。
『ホーギーヒュー』はヒューガを主人公としたカジュアルゲームとして制作予定だったが、その後、佐々木氏が、古川氏のバンドによる東日本大震災チャリティライヴの動画を観たり、前述の少年と親交を深めていったことで、ゲームの方向性や企画が大きく変わっていき、古川氏が音楽を担当するシューティングゲームになったとのこと。
しかし、PCでゲームをプレイするのは子どもたちには一般的ではないことや、iPhoneでのプレイでは快適なプレイは難しく、W家の少年からも「Nintendo Switchだったら嬉しい」と言われたこともあり、NS版の制作に踏み切ったという。
残念ながらヒューガはクラウドファンディング期間中の2019年9月に亡くなってしまったけれど、虹の橋の向こうで、本作の発売を、きっと喜んでいるはずだ。
文/浦和武蔵
(執筆者: ガジェット通信ゲーム班)