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日曜新潟の新潟2歳S(G3、芝1600メートル、30日)で、ヒプノティスト(牡)がスター街道にのし上がる。開業2年目の奥村武厩舎にとっても、重賞初制覇の大チャンス。それでも「重賞は甘くない。でも、しっかりやっていればどこかで勝てると思っています」と師に力みはない。
厩舎周りで引き運動するヒプノティスト(撮影・酒井清司)
助手時代を過ごした国枝厩舎で一流馬と向き合った。その経験をもってしても「なかなか見当たらない。未勝利を勝ったときのアパパネはすごい爆発力を感じたけど、行儀の良さならこの馬かもしれない」。担当していた3冠牝馬の名を挙げても恥ずかしくないスケールを感じている。
送り出すヒプノティストに、これまでにない手応えを感じている。新馬戦は直線内に進路を定めたところで前をカットされ、1度ブレーキをかけた。並の馬なら、走る気をなくしても不思議はない。何事もなく進路を外に切り替え差し切った内容に、師はすごみを感じた。「あんな上手なレースを1回目からできるなんて・・・。テレビでも見て、自分で予習したのかと思うほど」。レース後、金子オーナーに「ちょっと走るか?」と声をかけられた柴田善騎手は「ちょっとじゃないよ! 走るよ」とキャリア30年超のベテランをもうならせるインパクトだった。
レース後も、数日楽をさせたことで元気がありあまったほどの大物。厩舎周りをのっしのっしと歩く姿は、既に風格が漂っている。【柏山自夢】