<シリウスS>◇3日=阪神◇G3◇ダート2000メートル◇3歳上◇出走12頭

 大記録でG1へ景気づけだ。レジェンド武豊騎手(46)が前人未到のJRA重賞300勝を達成した。ダート2戦目のアウォーディー(牡5、松永幹)を鮮やかな手綱さばきで重賞初Vへと導いた。今日4日のスプリンターズSは同馬主のベルカントに騎乗。今度は中央G1・70勝目を狙う。

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重賞通算300勝を達成し笑顔を見せる武豊騎手(撮影・梅根麻紀)

 果てなく青い秋空の下、きれいな歯並びが白い輝きを放つ。JRA重賞で300回目のユタカスマイル。「立派だと思います」と自画自賛した上で「まだ通過点。明日(4日に)301勝を目指します。もっともっとこの記録を伸ばしていきたい」と頬を引き締めた。46歳のレジェンドを支えるのは、貪欲なまでの向上心だ。

 ダート2戦目とキャリアの浅いアウォーディーを百戦錬磨の手綱さばきで導いた。向正面までは中団の内で脚をため、3コーナー手前から大外へ持ち出してゴーサイン。直線で並ぶ間もなく先頭に立ってからも、左ムチ4発で気を抜かせなかった。「前回同様、強かった。完勝でしたね。まだまだ良くなりそう。楽しみ」と相棒をたたえた。レース前は「掲示板ぐらいに…」と半信半疑だった松永幹師も「安心して見ていられた」と手腕を絶賛。チャンピオンズC(G1、ダート1800メートル、12月6日=中京)を視野に入れた。

 恩人からの依頼をまず1つ、かなえた。先週に、前田幸治オーナーと食事をともにして「アウォーディーで300勝、ベルカントで301勝や」と激励されたという。10年の落馬負傷で、成績が低迷した時も、信頼は揺るがず、キズナの鞍上も託してくれた。その恩に結果で応え続ける。

 武豊 明日も、この勝負服で頑張ります。299勝目もベルカントだったんで、301勝目も。

 年を重ね、そのスマイルにもちょっぴり、しわが増えた。「デビューしたころは『最年少(記録)』とよく言われたけど、最近は『最年長』と言われるようになった」と苦笑いする。まだまだ心技体は衰え知らず。目の前の1勝を追い求め、今日も歴史を塗り替えていく。【太田尚樹】