パリでの忌まわし事件

先月五月下旬から六月にかけ久し振りにヨーロッパ旅行に出かけてきた。
航空会社勤務以来かって知りつくしている彼の地に何ら目新しい妙味を感じることもなく、
ワイフにも似た十五年来のガールフレンドを伴ったバックパックでの貧乏旅行であった。
今年の二月、三月にも中米コスタリカの友人パブロと連れだってニカラグア、コスタリー
カ両国の主な海岸地帯をバックパッカースタイルで歩き回ってきた。
近い将来この地にバックパッカー旅行者むけのユースホステルを建設しようと思っている
ので、後学のためすべからずホテルは安くて楽しいユースホステルに固定した。
アメリカ、ヨーロッパの若者がおもであったが、彼らとの談話は楽しく年齢の差を感じ
させなかった。とても一昔前の貧乏旅行者の面影はなく皆な品の良い教育ある連中で、
これが現代の若者たちの旅行スタイルなのだなーと自覚させられた。
本題のパリの事件に行く前にもう少し中米の事情を述べると、ホンジュラスは最近では
世界で最も危険な国の一つに挙げられるほど治安が悪化している。
グアテマラやエルサルバドルは場所によりけりであるが地方や裏通りは避けたがいい。
そのてんコスタリーカやパナマは抜群に治安が良く、貧民窟、低層住宅地帯にでも入らな
ければまず安全である。
海浜保養地(ビーチ・リゾート)を別にすれば火山以外に目立った観光スポットの少ない
中米にあって、グアテマラのマヤ遺跡やパナマ運河それにニカラグアの優雅なカソリック
寺院が林立するグラナダの古都は一見に値する。
私の前妻と子供らがコスタリーカ人でもあることを別にしても、半世紀にも及ぶ付き合い
で中米に、特にコスタリーカに私は母国日本と同様の親近感を持っている。
コスタリーカの人気のあるビーチ・リゾートであるタマリンド、ハコ、マニュエル・アン
トニオ、プラヤデココ、プラヤデフラミンゴ、プエルト・ビエホなどはいつ行っても外国
人観光客で溢れている。特に私のお気に入りはこの中で唯一カリブ海沿岸のプエルト・ビ
エホで街中若者たちで溢れ、ラテン風酒場の雰囲気が気分いい。
このまちの大半のホテルは10〜15ドルのユースホステルである。
ニカラグアの太平洋岸に位置する欧米の若者に人気のサンホアンデスールは物価が安く、
昼飯2〜3ドル、ビール1ドルという具合で、隣国コスタリーカに比べると格段の安さで
人気を保ってきたが最近は年々値上げして旨みが薄れてきた。お気に入りのレストランが
あったが、昨年と今年の比で倍近くに値上げしていたので愛想が尽きた。もちろん店内は
ガラガラであった。