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* 堀潤のテレビでは言えない話 vol.25 *
~「メルトダウン後の世界」の巻~
発行:8bitNews 2013.12.1 (毎週発行)
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皆さん!
こんばんは。メルマガの更新がすっかり遅くなりました。申し訳ありません!
10月から平日夜1時からのニコニコ生放送「ネルマエニュース24」、11月からは日曜夜の「コレカラニュース」を新たにスタートさせた兼ね合いもあり、文字での発信が後退しておりましたが、このところ立て込んでいた本の出版や映画の公開、そして8bitNewsのリニューアル作業など、ようやく目処がつきましたので、再び、メルマガの発行もしっかり皆さんに定期的にお届け致しますので、今後とも何とぞ宜しくお願い致します。
さて、先週11月26日、角川書店より、堀の新刊「変身 Metamorphosis メルトダウン後の世界」が発売になりました。
これは、ドキュメンタリー映画「変身 Metamorphosis」の世界を舞台に映像では表現しきれなかった現場の実体やさらなるエピソードなどを交えた書き下ろし作品です。
ブロマガをご覧頂いている皆様に、「変身 Metamorphosis メルトダウン後の世界」の一部をお読み頂けたら。。。
僕が映画をとるきっかけとなった、スリーマイル島を訪ねた時の回顧録です。
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2 忘却
活かされなかったスリーマイル島の教訓
スリーマイルで起きたシャットダウン
2012年6月。米国ロサンゼルスにあるカリフォルニア大学に研究員として着任した。日本文化や政治、社会問題などについて調査・研究を行う「テラサキセンター」にデスクを構えた。派遣期間はおよそ10ヶ月。GoogleやFacebook、Twitterを生み出したここカリフォルニアを拠点にインターネットを活用した次世代型メディアの未来像について研究を進める一方、原発や核関連施設を数多く持つアメリカの原子力災害の実態やその後の現状について調査し、事故からの復旧・復興を目指す日本の一助となる研究成果物を発表することにしていた。
実は、日本を出発する前から、必ず足を運ぼうと決めていた場所があった。それは、ペンシルバニア州にあるスリーマイルアイランド。1979年、アメリカ史上最悪といわれる事故を起こしたあのスリーマイル島原発の取材だ。福島第一原発事故のケースは、運転中に爆発を起こしたチェルノブイリよりも、空焚きとなってメルトダウンに至ったスリーマイル島事故のほうが近いと考えられていた。当時どの程度の放射性物質が漏洩したのか、土壌汚染はどの程度だったのか、その後、除染や住民への健康調査はどのように行われたのか、確認したい事が沢山あった。正直な話、メディアに関わる人間でありながら「スリーマイルが今どうなっているのか」ということについて、殆ど知識がなかった。ニュース番組で報じられるスリーマイル島の様子は1979年事故当時の映像が主で、あれから30年以上が経ち、地元がどのような状況になっているのかあまり印象になかった。
自らの目で、スリーマイルの現状を知るーー。
それが、今回の米国派遣における大きな目的の一つだった。
そして、アメリカに渡り3ヶ月が経った9月。僕は思いがけないタイミングでスリーマイルを訪ねる事になった。
2012年9月20日。ニュース番組が一斉に速報でこう伝えた。
「スリーマイル島原発が1ヶ月2度目のシャットダウン」。テレビ画面は、円筒形の二つの原子炉を映し出す映像に切り替わった。CNNの一報では「大きな音がして原子炉がスクラム(緊急停止)した」という。そうか、スリーマイルの原発は今もまだ現役で稼働していたのか。この時はじめてスリーマイルの現状を知る。
インターネット上では「大きな音」ということで、爆発でもあったのだろうか、という憶測も含め、しばらくの間は情報が錯綜した。
ちょうどそのとき、8bitNewsの仲間の1人加藤恵太さんが遅めの夏休みを利用してカリフォルニアにいる僕の家に遊びにきていた。ニュースをみた彼は即座に「ぜひ現場に取材に行きましょう」と提案してくれた。彼はITエンジニアで、僕らのサイトの構築をしてくれたメンバーだ。
ならば、僕が後方支援をするから、彼自身の目線でロケをしてほしいと提案した。
僕たちは急遽ロスからデトロイトを経由してペンシルベニアに飛んだ。カリフォルニアからはおよそ4000㌔離れている。乗り継ぎを含め10時間のコースだ。実は前日、同じく東海岸にあるワシントンD.C.での取材から6時間かけて直行便でロスに戻ってきたばかりだった。まさか、1日をおいて西海岸と東海岸を往復するはめになるとは想像していなかったが、この機を逃すわけにはいかなかった。
現地に向かっている間に、アメリカにいる「8bitNews」の女性メンバーYuki Wasabiさんが取材現場のリサーチをしてくれた。すると事故後30年以上にわたり周囲の汚染状況、住民の健康状態などを検証しつづけている「スリーマイルアイランドアラート」という市民団体があることがわかり、彼女がメールで代表のエリックさんに取材を申し込んでくれた。
同時に僕はフェイスブックなどを使って、反原発、反核の活動をしている人現地コミュニティなどに情報を問い合わせながら現地に向かった。
~KADOKAWA「変身 Metamorphosis メルトダウン後の世界」より~
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先週より、全国の書店、Amazonで販売をスタートさせております。
皆様ぜひ宜しくお願い致します。
NHKを退職してからはじめての現地ルポをまとめたノンフィクションです。
http://www.amazon.co.jp/dp/4041105897/ref=cm_sw_r_tw_dp_Y23Msb0RV17X5
ではでは、今号のコンテンツはこちらです!↓
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├○ 堀潤のテレビでは言えない話 vol.24:2013.12.1
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├○ 01.【堀潤のソーシャル日記から】
├○ 第13回「秘密交渉の内幕」
├○ ~WikileaksがTPP草案と見られる文書を公開~
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├○ 02.【ルポルタージュ】
├○ 次世代メディアへの創造力+α
├○ 第15回「テレビとネットメディアの間」
├○ 堀潤×古市憲寿(社会学者)×杉本誠司(ニワンゴ社長)×福原伸治(フジテレビ)
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├○ 03.【ルポルタージュ】
├○ マイコの下克上✧研究者の道 『被害者学編』
├○ 苦行な院生生活を徒然なるままに
├○ 第7回「自分の中の正義」
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├○ 04.【ルポルタージュ】
├○ フクシマ日常論 ラジオ福島・大和田メール
├○ 第8回「水俣と福島の共通点」
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├○ 05.【告知】今週のスケジュール& お知らせ
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▼前回「Vol.24」へのリンクはこちらです。
[リンク] http://ch.nicovideo.jp/horijun/blomaga/ar361657
未読の方は併せてお楽しみ下さい。
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┗■ 01.【活動日記】堀潤のソーシャル日記
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このコーナーでは1週間の堀のつぶやきから3本を選んで深堀り。
毎日新聞「MAINICHI RT」 の連載と連動しています。
NPO法人代表として、そしてジャーナリストとしての堀の1週間からのルポルタージュ。
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第13回
「秘密交渉の内幕」
Wikileaks HPより
極秘交渉で進められるTPPの内幕がまもなくWikileakes(ウィキリークス)によって告発されるーーー
先月13日夜、Twitterのタイムラインに流れてくる情報を何気なく眺めていると、そんな気になる書き込みが目に飛び込んできた。情報を辿っていくと、内部告発サイト・ウィキリークスの公式アカウントが「これから1時間以内にTPP交渉の内容に関する文書を公開する」と発信していた。
ウィキリークスは、2006年、オーストラリアのジャーナリスト、ジュリアン・アサンジによって創設されたウェブサイトで、政府や企業の機密情報が匿名で持ち込まれる。イラク戦争で米兵が民間人を空から攻撃している様子を記録した米軍の動画や膨大な量の米国外交公電が投稿されたりするなど、国際的な世論に影響をあたえる機密情報が次々と暴露されてきた。
そして、13日、参加国は交渉の中身を決して外部に漏らしてはいけないとするTPP・環太平洋連携協定の草案の一部とされる文書がサイトに公開された。