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  • 「ゴーン氏逮捕に見る日本の刑事司法手続きの闇」後半

    2019-04-03 14:04

    今後の事件の展開

    ジョー)

    今後のこの事件の展開は・・・。

    郷原)

    最大の問題は西川氏。

    一昨日の記者会見で、朝日の記者から質問されている。

    今後、保釈で出てきたときに、ゴーンさんの言い分とかを取締役会で与えるのかと聞かれて、西川さんは「今でも取締役ですけど、もう取締役会には出てきません。

    機能しないので。」と言っている。

    西川さんにはゴーンさんが取締役としての機能がないと判断することはできない。

    株主に選ばれているので。

    たまたま今、身柄を拘束されているから出れないだけで

    保釈になったら出れない。

    おそらく西川さんは、ゴーンさんの顔も見たくない。

    竹田)

    本来は内部調査の結果を取締役会で出して、公私混同していると面と向かってやればいいのだが、怖くて出来できない。

    ダース)

    怖いつながりだとゴーンさんはルノーの会長は辞任していない。

    現実グループ会社としては西川さんの上にいる段階。

    グループ会社のトップに会わ合わないということを日産の社長ができるのか?

    郷原)

    保釈で出てきたときに、保釈の条件がつく場合がある。

    接触禁止条件というのがつく場合がある。

    美濃加茂市長事件でも保釈の時に、市長が副市長と接触したらいけないとか、

    今回はそれがつくのではないかということがありうる。

    もし、これが西川氏と接触を禁止するような条件をつけるとしたら、共犯者じゃないといけない。

    西川さんが起訴されて、その上で接触を禁止されるのはわかるが、自分は無罪の上で接触を禁止してもらうのは無理。

    竹田)

    明日、拘留の1回目の末期。

    非常に拘留が長いという批判を浴びているので、明日追起訴して捜査を終える可能性もある。

    28日で終わる可能性もある。

    西川さんの逮捕はないと思う。

    今、裁判を開いたとすると、日産も起訴されているので、その代表である西川さんは被告席ですよね。

    ジョー)

    ゴーンさんの弁護士が、大鶴さんといういわゆる大物ヤメ検。

    彼は検察の弱点もよく知っている。

    郷原)

    自分がダメなところもよく知っている。

    特捜のダメなところを引きずってきた人。

    だからこんな事件で検察と戦う気があるのかな、という感じ。

    そう言った意味では弁護士の人選は疑問。

    私が弁護するのであれば客観的な立場でやる。

    竹田)

    大鶴さんとは、ホリエモンとか、村上ファンドの村上さんを逮捕した人。

    昔、ゼネコンの大きな汚職があって、茨城県知事を取り調べた。

    これはうまく裁判が進まなくなったが、強引な取り調べとかは裁判の中で指摘されていた。

    郷原)

    あの事件は私も特捜でやっていたが、ひどい調書ばっかりだった。

    ほとんど抽象的に認めているだけで、中には、渡したお金を使い込んじゃっていた、とか、

    その時のデタラメ調書にも、大鶴さんは関わってきた。

    ダース)

    すごい基本的なところで、弁護士が最初に立ち会えないという話も、この後じっくり聞きたいのだが、日本人の容疑者を精神的にまいらせて自白、というのはどうなるのか?

    竹田)

    英語のできる検事がやっているらしい。

    でも基本は、通訳が入るので、怖くないって言ってる。

    ジョー)

    後半は、日本の遅れた刑事司法手続きについてやっていきます。

    竹田)

    冒頭のもう一つの論文データ改ざん事件で、ノバルティスの人が検査データを改ざんして学者がそれを元に論文を書いた。

    その論文が虚偽広告に当たるとして起訴。

    これも特捜部の法解釈。

    そして裁判所はノー。

    郷原)

    あの事件は早い段階から書いていた。

    刑事事件を追っていくのは非常に難しい。

    なぜかというと、会社の中で臨床データを改ざんしたものを使って、営業していたことは間違いないが、部門が違う。

    データに関わることと、薬を売っていくことは違うので、罪の問うのは難しい。

    結局、論文の作成は大学でやっていたから、その論文の作成が広告に当たるということで起訴した。

    しかし、厚労省がそういう風に無理やり検察にこういう方向で書き直せというので、ついていった。

    竹田)

    法律は担当する役所が必ずあって、薬事法は厚生労働省が担当するが、担当する役所が違法だと言っている。なのに、なんで裁判所が無罪出すんだって怒っている検察もいたが、論文が虚偽広告だというのは、無理だと思った。

    ダース)

    論文自体は後で間違っていた。なんていうことはいくらでもある前提でみんな読んでなければならないし、一個だけ見て信用するというのは態度して間違っている。

    後半にいく前に、ある種の国策捜査、ということも疑われている。

    管官房長官が驚いたというコメントも出たが、これは本当に寝耳に水だったのか?

    郷原)

    ここはわからない。

    あまりに事件の中身がデタラメなので、よほどの事情がないと、という疑いがないでもない。

    逆に官邸が絡んでいるのであればもうちょっとマシな事件をやってほしい。

    後半

    ダース)

    国策捜査の場合は置いておいても、国と国の問題に発展した。

    フランスがまさに、デモで国内が大変な状況になってきている。

    僕の想像では、フランスの対応としては、マクロンが安倍さんと話したかった、と言っていたが、日本の検察はそこまで考えていたのか?

    竹田)

    あまり気にしていなかったと思う。

    郷原)

    検察はその影響がわかっていなかった。

    ライブドア事件とかも、証券市場の影響など全く考えていなかった。

    小沢事件とかでも秘書の逮捕だけであれだけのハレーションが起きるとは思っていなかった。

    今回も、一企業経営者という認識しかなかったと思う。

    ダース)

    ワイドショーなども、初期は一斉にゴーンさんの報道していたが、数字が取れなくて沈静化してきた。

    外国人経営者が金を持っていて使い込んでいるというニュース自体あまりインパクトがなかった。

    郷原)

    それよりも、西川=明智光秀、という方がインパクトが大きい。

    検察は西川氏を逮捕するのか、というブログ記事が反響が大きかった。

    ワイドショーで扱えないが・・・。

    ダース)

    明智光秀がもし信長を殺せなかったらどうなるのか、ということが今後見られる。

    郷原)

    もし西川社長逮捕ってなったらすごい盛り上がる。

    ダース)

    今の事実関係だけ見ても、本当は西川さんは逮捕されないとおかしい。

    ジョー)

    今回の黒幕はわからないが、検察が暴走しているようには見えるが、止められる人はいないのか?

    郷原)

    いない。

    ジョー)

    以前、番組に~~さんが来てくれて言ってましたけど、

    検察で出世できるのは、事件を作れる人なんだと。

    つまり経済事件みたいに、事件化した人が出世すると言っていた。

    郷原)

    本来は特捜部が、これは何が何でもやりたいと言っても、

    その上に検察がいて、次席がいて、次席検事長がいて、最高権の検事総長まであげないと、ゴーサインが出ないので本来はいろんなハードルがある。

    ただ、最近そういう構図が機能していないのではないか?

    特に一番大きな事件として、陸山会事件の虚偽報告書作成事件があった。

    嘘の報告書を作って、検察審査会を騙して、小沢さんを強制起訴に持ち込んだ。

    これは検察が組織として不起訴にしているものを

    検察審査会っていう外の機能を使ってひっくり返した。

    これは検察の統制違反。

    本来は徹底して制裁を加えないといけないが、処分はできなかった。

    つまり、現場の暴走を抑えられないのが今の検察。

    竹田)

    先きほど話した長銀事件も、最高裁で無罪になった後に弁護人をと勤めていた弁護士がこう言っている。

    「こういう事件の建て方はおかしいのではないか?。あるいは別の見方ができるのではないか?、という考えが検察内部で働かなくなっていた。

    それは、検事が個々人の中に、俺のやり方はまずいのではないかという考えが、組織や個人として、チェックができなくなっている。」

    「本来企業の会計に関する話であるにも関わらず、政治家や官僚に対する贈収賄事件と同じ感覚で操作したのではないか?。被疑者に間違ったことをやったと口を割らせ、それを物証で固めていく。」

    そういう方法では今回は割れないと思うが?

    さっきの司法取引協議合意制度がなんで入ったかというと、取り調べの録音録画を検察は全部やることになっているので、自白が取れなくなる。

    そこでその制度で、共犯者の口述を出してくれる人を優遇するようになった。

    今回も、自白を取れるとは思っていない。

    ダース)

    ビデオで撮っている取り調べの状況は、誰が見れるのか?

    竹田)

    弁護人は見れる。

    裁判になってから見れる。

    ただ本人から聞けばわかるが。

    郷原)

    長いので、弁護人の立場からは全部は見れない。

    竹田)

    レバノン、フランス、ブラジルの3つの国籍をゴーンさんが持っているので、各大使館の人が来ているから取り調べの時間がなかなか取れない。

    大使館員には、ウィーン条約では、大使館員には会合わせないといけないと決まっている。

    ジョー)

    郷原さんに聞きたいのが、チェック機能が検察内で効かなくなったのはなぜか?

    これはある意味、質が劣化している?

    どうすればいい?

    郷原)

    チェック機能もいろんな方向で働く。

    最近、検察は政権に弓引くような事件を一切できない。

    法務官僚が押さえつけているから、

    これもチェックといえばチェック。

    そういう方向では従順にいうことを聞くきく。

    ただそうでない事件は、歯止めが効かない。

    ダース)

    虚偽記載というのが問題であれば、公文書改ざんはどれくらいの重さなんだろうということが疑問。

    国益という重さで考えたら、日産の比ではない。

    非常に違和感がある。

    郷原)

    経済犯罪は、検察の考えで、この事件は刑事事件にしようと思えば出来る。

    殺人や強盗は、犯人が捕まれば起訴はしないといけない。

    その事件を、検察が判断してしまう。

    竹田)

    東芝とか石川島播磨とかもすごい粉飾決算があったがそれもやらない。

    ところが、ライブドアは、東芝の100分の1とかでやる。

    目立つから。

    ある種、目立ったところをやっつけることで功績をアピールするというやり方。

    日本の刑事司法手続きについて

    ジョー)

    海外から、日本の刑事司法手続きはこんなに遅れているんだ、と言われている。

    郷原)

    検察が逮捕した場合、送致というのがない。

    そこから48時間以内に勾留となる。

    勾留を裁判所に請求して、勾留が決定したらそこから10日間。

    さらに身柄拘束が裁判所に認められると10日間。

    そこで処分が決められるが、今回はそれが2回繰り返されている。

    最大で20日間身柄拘束が出来る。

    さらに起訴した後、保釈が日本の場合は起訴後、初めて可能になる。

    日本は起訴されるまでは、保釈という制度はなくて、起訴されてから保釈になる。

    ただ、罪証隠滅の恐れということであれば認められない。

    事件を否認していたりするとそうなる。

    保釈しないという措置は、検察の思うがままにされて来たから、長期勾留されて来て、これが日本の人質司法と言われる。

    ジョー)

    ホリエモンは94日後まで保釈が認められなかった。

    郷原)

    彼は早く保釈された。

    竹田)

    世界の標準は、48時間が基本。

    韓国も同じくらい。

    ダース)

    日本は、推定無罪ですよね?

    否認しているという状態で保釈しないというのは、推定無罪という原則と矛盾している。

    郷原)

    日本の場合は、検察の正義が中心になって刑事司法が動いている。

    検察の判断が、原則正義。

    間違っていない前提で行なっている。

    だから、推定無罪ではなく、推定有罪。

    だから長期の身柄拘束も可能になる。

    竹田)

    司法試験に受かると、司法修習というのになる。

    これは裁判官、弁護士、検事になる人も、全員受ける。

    検察の修習の時とき、検察が起訴するときはどういう時ときかというのを習う。

    それは、的確な証拠により、有罪判決が得られる高度の見込みがある事件に限って起訴するという基準がある。

    完全に先入観が検事の裁判官にはある。

    アメリカの場合、検察官と弁護人と裁判官で刑を決めて、

    裁判をやらずに刑務所にいく。

    争うと陪審裁判になるのでその間は保釈される。

    大事なのは、取り調べに必ず弁護人が立ち会う。

    ダース)

    日本の司法システムのベースはどこ?

    竹田)

    ドイツフランス

    ただ戦争に負けた後、アメリカイギリスが入って来てグジャグジャ。

    竹田)

    ドイツとフランスは、予審判事と知って、裁判官が捜査段階から関わる。

    長い勾留も今はない。

    重罪だとありうるが、今回のような事件ではない。

    郷原)

    これは日本独特の、司法省、検察中心のものを作って来た。

    検察の都合で、正義が作られて来た。

    ダース)

    それはお上の裁定。

    郷原)

    真実は裁判ではなく、検察官の取り調べ室で決定するというのが、

    日本の刑事司法の基本。

    ダース)

    海外の刑事ドラマ見ると、弁護士いる時しか喋りませんというのが定型の場面ですよね。

    日本の場合はそれが認められないのはなぜ?

    郷原)

    取り調べの時間もやり方も違う

    日本の場合は、代用監獄といって、警察署に留置所があって、警察の中で取り調べをしている。

    事件だったら朝から晩前でずっとやっている。

    そういう取り調べに弁護士が立ち会うのはものすごい手間になる。

    竹田)

    世界的にもそれがスタンダードだけれど、日本はまだやっていない。

    郷原)

    実際に日弁連も、弁護士の立会いを要求していない。

    ほとんんとど力を入れてこなかった。

    竹田)

    日本は取り調べが長いから、弁護人が立ち会ったらたまったもんじゃない。

    ダース)

    可視化というのも、録画録音はされているとはいえ、それが開かれているわけではない。

    竹田)

    あれは何百億もかかっている。

    しかし弁護人さえ立ち会えばお金はいらない。

    多分取り調べが短くなるだろうし。

    ダース)

    日本の場合、この人が逮捕されましたって報道も始まっちゃうから、

    刷り込みも始まっちゃう。

    竹田)

    事件報道を支えているのは高い有罪率。

    今みたいに容疑者ってつくようになったのは、1989年から。

    その前は呼び捨てだった。

    ダース)

    その時点で、推定有罪。

    竹田)

    去年の裁判員裁判の有罪率は97%だった。

    ダース)

    イギリスでも8割くらいの有罪率。

    99.9%でも、もし有罪にできなかったら、と検事はプレッシャーを感じる。

    それは検察的には起訴するハードルとしては、あるのか?

    郷原)

    起訴検事もそうだし、公判に立ち会っていて無罪を食らった検事もかなりプレッシャーを感じると思う。

    ダース)

    なんでそんなにプレッシャーを検察にかけちゃってるのか?

    郷原)

    検察が逮捕した以上は、有罪と思い込むから、マスコミも思い込んでる。

    その期待を裏切ると検察何してるんだ、となる。

    ダース)

    これを解決するためにはどうすればいい?

    郷原)

    全てがそれで出来上がっている。

    裁判所で担当する事件の数も、大変は自白事件で手間がかからない前提。

    裁判官は出来る、できるだけ認めて欲しいという感情になっている。

    そういう力が働ければ、できるだけ争わない方が裁判官にもよく思われるだろう、みたいな。

    ダース)

    であれば否認しただけで心象を悪くするのであれば、そもそも、マイナスからスタートしているというのと、そもそもこのゴーン事件が黒船っていうのは、日本の体質は外圧で変えるしかないという諦めに近いのか?

    竹田)

    誤解されている人もいるが長く勾留されている。

    決定権があるのは裁判官。

    ダース)

    それは検察が、有罪の証拠を集めるのを裁判所が助けているということですよね?

    郷原)

    裁判所は、捜査段階では、まだわからない。

    だから捜査官の判断をそうしても尊重しちゃう。

    ただ問題は、その公判をやってから。

    人質司法っていわれる状況になって、なぜ裁判所が保釈を認めないのか?

    これは裁判所の問題。

    竹田)

    日本の司法の最大の問題点は、裁判官が純粋培養されているということ。

    アメリカ、イギリス、韓国もベテランの弁護士からなっている。

    日本は、20台後半で裁判官やれちゃったりする。

    実務経験、弁護士で10年やって裁判官をやるとかなり違うと思う。

    民事裁判でも、1票の格差の問題を認めてしまったり、非常に政府寄りになってしまう。

    それは、裁判所が組織だから。

    本来は裁判官は独立しているべきだが、していない。

    中央官庁よりも役所みたいなところにいる。

    郷原)

    経済犯罪になると、検察もわかって分かっていない。

    もっとわかって分かっていないのは、裁判所。

    しかも人に聞こうと思ったって、聞けない、独立して判断するから。

    だったら、検察のことを鵜呑みにする。

    竹田)

    長銀事件の時も、同時に民事裁判があった。

    民事裁判の裁判官は検事より企業実務がわかって分かってるので、損害賠償の請求を棄却していく。

    その中で、慣行が続いていたんだというのが出てきて、最高裁で無罪になる。

    司法改革について

    ジョー)

    であれば、日本の司法改革はどっからやればいいの?という話になる。

    郷原)

    検察の組織を抜本的に変えるしかない。

    基本的に、完了組織。

    終身雇用、年功序列、組織に評価されないことをやらない。

    だから組織の方針に従順にやってしまう。

    ダース)

    組織の方針とは、有罪になるものを起訴しろ、みたいなこと。

    郷原)

    それと、問題がある事件でも、引き返さない。

    全然引き返したことはない。

    ジョー)

    検察庁は法務省の管轄ですよね、であれば改革できるのは法務大臣か?

    郷原)

    政治の力がないと無理。

    竹田)

    1999年に内閣に、司法制度改革審議会というのが出来できて、2年間議論した。

    専門家や、非専門家などが13人参加した。

    その中でもベテラン弁護士から裁判官へ、というのを法曹一元というが、

    これがまとまらなかった。

    検察官については不祥事があったので問題になったが、どういう人を検察官にというには至らなかった。

    アメリカだと週によっては選挙で検察官を選んだりするが。

    ここでも弁護士であったり、法律の実務家を従えて、

    検事補と操作をやっていくとかはある。

    ダース)

    アメリカのスタイルでいうと、ある種のチームを組んで、

    得意分野のある人を操作に加えるということか?

    さっき郷原さんがおっしゃったように、一生検察庁にいるわけではないので。

    ダース)

    その任についている時に、仕事をするという考え方。

    その方が、僕は集中できるんじゃいかなと思う。

    郷原)

    日本の場合は、官僚組織で、組織としての判断が先行する。

    ダース)

    組織的なものは、よく回ってる時は、ある種の助け合いが生まれてっていうことになると思うが、回らなくなった時の対策は何があるのか?

    竹田)

    もっと根本的なことで、民主主義国なので、多数決で国会で決まっていく。

    入管法も議論にならなかったが、

    多数決だと、少数者の権利が侵害される場合がある。

    それを守るために司法がある。

    場合によっては法律も憲法違反で無効にできる。

    政府みたいな上意下達の組織であってはいけない。

    人の良心で仕事をしないといけないが、裁判所も検察庁も役所。

    そういう意味では救われない。

    今の検察庁は国の代理人。

    ただ検察庁も昔は、面白い人がいた。

    被害者がかわいそうだから、というので上司に黙って起訴する人とかいた。

    飛ばされるが。裁判所はいない。

    ダース)

    僕の同級生も、裁判官と検事で、同じ釜の飯を食っている仲間感がある。

    入れ替え可能なんじゃないのかこの人たち、みたいに思う。

    そういったところも、検事の選挙で選ぶとか、

    弁護士から選ぶとなるとそういったことがなくなるんじゃないかなあと思うが。

    郷原)

    人材の流動性があればいい。

    ジョー)

    郷原さんはなんで検察をやめたんですか?

    郷原)

    私なりに検察の捜査はこうあるべきというのを特捜部でもないところでやってきて、でも、特捜部は変わらなかった。

    これで特捜部もおしまいだなと思って、別の方向に行った。

    結局、個人が全く頭を使わないのが特捜部のやり方。

    みんな上の言う通りに調書をやればいい。

    副部長とか主任が方向を決めて、それ通りにやっている。

    ところが、その個性を活かせば若い連中だってすごい使える。

    私はサッカー型のフォーメーションで結果を出してきた。

    それは特捜部には絶対に受け入れられない。

    ダース)

    政権に歯向かう力がなくなって行ったのはなぜ?

    郷原)

    検察裏金問題が転機になったと言う人もいるし、そうかもしれない。

    調査活動費と言うのを裏金にして、

    検察庁の中でいろんなことに使っていたことが問題になった。

    それを内部告発しようとした人が口封じ逮捕したのが大問題になった。

    時の政権になんとかお目こぼしをもらった。

    それから、自民党政権に検察は歯向かうことができなくなった。

    ダース)

    ある種の武勇伝的な、田中角栄だ、金丸信だ、とい言うのが未だについて回るけど、現実的にはそう言う動きは全くない。

    竹田)

    立件された政治家は、金丸さんだったり、中村吉次郎さん、小沢さんも、みんな田中派。

    福田系はいない、福田系の人は捕まらない。

    安倍や小泉などはっきりしている。

    郷原さんが言われた事件の時も、小泉政権で色々借りを作ったみたいなところがある。

    ダース)

    なぜ自民党が今みたいなものになったのか、と言う話がよく出て来るが、

    それにはある種の田中派が連続して狙い撃ちされてきた背景がある。

    福田系が強くなってた。

    ジョー)

    それだと検察は自民党の派閥争いの太鼓持ちになっていると言うことか?

    竹田)

    どうしても、ロッキード事件以降、田中派との対決をしてきたので、それを後輩に引き継いで、それが非常に多いな検察の宿痾、だと思う。

    あと、郷原さんが言われた調査活動費の件もあるだろうが・・・。

    内閣人事局というのができて、人事は官邸で決めるので、検察の人事もそうなっている。

    やはり官邸を怒らせないというのがある。

    甘利さんの事件もでき出来なかった。

    ダース)

    片山さつきさんが、今年の一文字は耐えるだみたいなことを言っていたが、

    片山さんとかもずっといそう。

    郷原)

    あれはレベルが違う。

    ジョー)

    検察の空気っていうのはそういうのは実際にあるんですか?

    竹田)

    田中さんもやることはやっている。

    自分がやられた後、法務大臣は全部自分の息のかかった人を送り込みましたから。

    お互いに食うか食われるかという戦いの歴史。

    ダース)

    勾留期間が長いとはいえ、その先の展開がきに気になる。

    裁判はどう言った判断をするのかな、というのは難しい。

    郷原)

    この事件は、検察と、西川社長以下の2,3人の2,3経営陣が組んでやったので、

    西川体制が崩れたら、検察にとっては大打撃。

    ダース)

    それもだいぶ薄氷の上な気がする。

    竹田)

    あとは保釈されるかどうか?

    正月を拘置所で過ごすかどうか?

    郷原)

    これだけで終わったら、そんなに長く保釈を認めるわけにはいかない。

    竹田)

    今回は多分そんなに供述がないので、証拠隠滅の説得力がない。

    郷原)

    事実は争いがないので、評価の問題。

    ジョー)

    ゴーンさんの事件自体も筋が悪いし、その後の刑事司法手続きの問題がたくさんある。

    ダース)

    世界が注目している異常な司法制度って言ってるけど、結局、日本の法律で僕らが決めてきたことなので、自分たちでなんとかしないといけないなとは思う。

    言われているのを自分たちがどうするか問われている。

    郷原)

    この事件は日本の刑事司法のあり方、日産の企業のガバナンスのあり方、が問われている。

    検察の力を頼んで、取締役会の議事を、自分たちに有利な方向にしようとしている。

    日本社会にとって極めて大きな事件。

    来年も、この問題が問われる。

    竹田)

    法の解釈の評価の問題につきる尽きる。

    裁判所の判断を冷静に見守るしかない。

    保釈された後も色々ある。

    ジョー)

    日本の刑事司法手続きを見ていると、こういう国に、死刑が残っているのも、一つの恐怖。

    ダース)

    根っこが色々繋がってしまっていると思う。

    ジョー)

    会見は大注目ですね。

  • 「ゴーン氏逮捕に見る日本の刑事司法手続きの闇」前半

    2019-03-25 17:30

    「ゴーン氏逮捕に見る日本の刑事司法手続きの闇」〜郷原信郎・竹田昌弘・ジョー横溝・ダースレイダー
    12月19日放送


     

    ジョー)


    ちょうど一ヶ月前の11月19日にゴーンさんが逮捕されました。


    最初のうちはゴーンさんが逮捕ということで、一体どんな大きな事件になるのか?と思っていたら、ここのところ見ていると、これは日産のクーデターか?という様相を呈してきました。


    でも、これクーデターだとしたら検察は何をしてたんだとなりますので、


    事件の真相に迫りながら、海外のメディアも日本の刑事司法手続きの問題を色々指摘してくれています。


    この辺を、今日は番組でしっかり深掘りしていきます。


     

    さて、本日のゲストは弁護士の郷原信郎さんです。


    事件は意外な展開を迎えていますが、郷原さんは最初から怪しんでいたんですよね?


     

    郷原)


    そうですね。


    有価証券報告書の虚偽記載って聞いた時から、何でそれがゴーン氏、ケリー氏の個人犯罪になるんだ、という素朴な疑問から出発して、いつまでたっても記載されなかった役員報酬というのがわからない。


    日経新聞は迷走を続けましたよね・・・なぜかというと、検察が隠しているから。


    そのうち、朝日新聞が従軍記者のようにずっと報じてきて、正確に書いた役員報酬はもらっておらず、退任後にもらう予定だったという衝撃の事実。


    これで、何だこの事件は、ということになってきた。


    そこから先は、それをいかに取り繕うかという話になっていると思います。


     

    ジョー)


    なるほど。


    さてもうひとかたですが、共同通信の論説委員の竹田昌弘さんです


     

    竹田)


    今までに前例がない事件なので、前例のない事件といえば、ちょうどゴーンさんが逮捕された日に、二審判決があったディオバン事件があった。


    論文データ改ざんの事件ですが、これを特捜部がやって、1、2審共に無罪。


    法の解釈の問題で、裁判所は特捜部の解釈を認めなかった。昔話になるが、有価証券報告書の虚偽記載も、最高裁で無罪になっている。


    なので、今回のこれもそうならないようになっているのかなと思っている。


     

    ジョー)


    改めて、この事件の整理をします。


    最初には、ゴーンさんが多大な報酬をもらっていたが、それを少なく受け取っていたのでは?という認識だった。


     

    郷原)


    2010年3月までは、ゴーンさんは毎年20億の報酬をもらっていて、その年までは有価証券報告書に個別の役員報酬を書く必要はなかった。そのため、日産の役員全体の報酬はわかるが、ゴーンさんは表に出てなかった。


    ところが、2010年3月から、個々の報酬を書かないといけなくなった。その時から、実際にもらう金額は、10億程度に押さえてある。


    一方で、退任後に、残りの金額をもらおうという話の合意をした文書とかがあったという話


    検察が言っているのは、元々の20億というのが役員報酬であって、それを先送りしているから、もらわなかった分も、その年の有価証券報告書の役員報酬の欄に書かないといけないのだが書かなかったとことが、虚偽記載であるという検察の主張。


     

    ジョー)


    実際にもらっていた金額と将来もらうはずの金額。ゴーンさん的には、後からもらう金額を書かなくていいだろうという主張であったが、一方でそれは違うという検察の主張。


     

    ダース)


    ゴーンさんの話としては、これは退任後のコンサルタントとか、新しい業務に対してのある種の口約束的なこなんでしょうか?


     

    郷原)


    検察の理屈って、要するに20億という金額をもらうから、20億だと。


    しかし、もらうんだったら、今もらっておかないとゴーンさんには権限があるんだから、将来は確実かわからない。


    そこで、競業避止という契約やそういうのを今のうちに契約をかわしておいて、退任した時点で、そういう契約によってお金をもらおうという話だった。


    しかし、それは確かにその時点でコンサル契約、競業避止契約が有効であればもらえる。


    一方でそれがコンサルに対する対価、競業避止の対価であれば、今までの役員報酬ではなく、その後に締結したコンサル契約、競業避止経由の対価。


     

    ダース)


    当然、日産も他のところに行かれたら困るというところから結ぶ契約。それ自体が不自然ではないし、確約という話も、そう約束をしますよということであって、実際に20億円をもらった確約ではない。


     

    竹田)


    もう少し整理して、検察側がどういう構図でやったのかを見ないと、


    そもそもコンサルとかは口実であってというのが彼らの考え方。


     

    具体的にいうと、金融商品取引法違反になっているこの催促みたいな形で、企業内容等の開示に関する内閣府令というのがある。その中の一番最後に表がついていて、有価証券報告書の記載例というのが書いてある。その役員報酬については、一つの事業年度にもらった報酬+受ける見込みの額が明らかになったことを書きなさいと書いてある。


     

    検察はこれを根拠にやっている。


     

    実際に見込み額が決まったことを示す覚書があって、元秘書室長がゴーンさんと一緒に作成したもの。元秘書室長は、自分は罪に問われない代わりに証拠をだす、ということで出した


    その覚書には、固定報酬というので20億円前後、が書いてあって、例えば有価証券報告書には、2012年3月期は9億8700万円の報酬額が記載されている。


     

    そのあとに、延期された報酬という表現で、9億700万円と書いてある。


    それを足したものが、固定報酬と書いてある。


     

    ダース)


    その理解が、郷原さんからすると無理筋ということですよね。


     

    郷原)


    今、竹田さんが言われた検察の理屈というのは、長銀事件で否定されたような、


    形式論ですよね。


    一応、内閣府令を見ると、額が決まったら、書かないといけないと書いてある。それだけ見ると、記載義務があるように見える。


    ただ問題は、例えば額が決まったとしても、出来ればもらいたいなのか、絶対に今もらうべきなのに、条件が成就したら直ちに払わないといけないというものか、それによって、記載すべきことの意味が全然違ってくる。


     

    そこが、全く区別できていないから、検察の逮捕事実の書き方がおかしい。


    具体的には、逮捕事実を年間20億と書くべきところを10億と書いてあった。


    だから5年分で50億が過剰だったということ。


     

    要するに検察の理屈でいうと、合計20億と書くべきだった。


    だから、もらったものと将来もらうべきものは一緒だということ。


     

    ここで重要なのは投資家の判断。投資家の判断に重要だから書いている。


    しかし、実際にもらった金額と、もらう予定の金額と合算するなんてことはありえない


    一緒にされたんじゃ、却ってわからなくなる。


     

    竹田)


    今のお話を整理すると争点は3つある。


     

    まず一つ目。虚偽記載が罪になるのは、重要な事実について、有価証券報告書に虚偽を書いた場合、書かなかった場合。つまり、役員報酬が重要事項かどうか?


     

    二つ目。要事項だったとして、将来、いつと書かれていないが、これは確定した報酬なのか?ということ。まさに書かれてある内容が虚偽なのかどうか?


     

    3つ目に、仮に重要な事項で、将来も入れて確定した報酬だとなったとしましょう。


    ところがその二つをゴーンさんが理解したとして、隠すという意図があったのかどうか?


     

    検察はこの3つのハードルを超えないといけない。


     

    ダース)


    特に3つめに関しては難しいと思う。最初の20億に関しては、会社の売上の0.02%


    そのあとリークされた、別荘買ったとかは、えっ?という感じだが。


     

    郷原)


    しかしそもそも、10兆円の売上規模と20億の報酬という比較が重要かどうか?


    もう一つは、確かに10億という金額は役員報酬としては大きい。


    しかし、もう一つの問題として、現実にもらっているお金と、これからもらうであろうお金は投資家から見て、全然重要性が違う。


    10億円もらったというのは、それはその時の会社の財産が減るということ。


    ところが、日産が今後大赤字になったら、ゴーンさんはもらえない可能性が出てくる。


     

    そういう意味では、会社の負担からしても、重要性は全然違う。


    さらに、違法かどうかという認識。


    これは刑法の理屈では、違法性の認識はなくても行為は阻却されない。


    要するに、一つの犯罪に当たる事実があるというのであれば、違法じゃないと思っていても犯罪に当たる。


    これは刑法の理論で、検察はそう考えている。


     

    竹田)


    ただゴーンさんは罪の認識はあったと思っている。


    つまり、覚書は書いたが、全部はかけないというところから始まっている。


     

    郷原)


    一方で、金融庁に事前に聞いて、大丈夫だと言われている。それでも犯罪は成立するという考え方を警察はしている。でもこれは、石油連盟事件で重要な判例がある。


     

    刑法の一般の理屈では犯罪が成立するが、刑事犯罪については有罪の認識がないと、犯罪は成立しないという重要な判例がある


    だから、犯罪を立証しようとすると、いろんなハードルがある


     

    ダース)


    その辺りは検察も認識していたのでは?


     

    郷原)


    相当無理をしている。


     

    ジョー)


    ゴーンさんからして見たら、虚偽記載をする実利はあるのか?


     

    竹田)


    ないですよ。


     

    ダース)


    最初の説明があった、あまり報酬をもらっていないという、印象的な理由があった?


     

    郷原)


    ゴーンさんの弁解は、自分は実際にもらう金額を半分にした。


    その分、確実とは言えないけど、退任後にはそれなりのことをやってもらうつもりだった。


     

    竹田)


    1億円もらっている人は取締役の名前を書かないといけなくなった。


    でも日本社会はハレーションが起きるから半分にした。


    しかし、フランスのゴーンさんがなぜそんなことを考えるかはよくわからない。


     

    郷原)


    日本人の経営者であれば、経営者の後も会長になって、財界にポジションがあって、トータルですれば相当な金になる。


    ところが外国人経営者は、そんなことはないので、しかるべきお金をもらいたい。


     

    しかも、創業系の経営者であれば、株を持っている。トヨタは、3,4億くらいしかもらっていないじゃないか、というけれど、株の配当を含めれば20億。いろんなものを含めて考えないといけないのに、マスコミが印象操作をしている。


     

    ダース)


    初期報道で、強欲な人がずっと悪いことをしていたのが、ついに暴かれたぞ!というムードだったと思うし、会長の怒りに満ちた表情の演出もあった。


    全てのメディアが足並みを揃えていた。


     

    竹田)今回の事件は、検察から情報が出ないので、メディアも苦労していた。


    朝日が頑張って覚書についても書いたが、未払いの報酬も最初わからなかった。


    だから、日産の内部調査結果を元に報道していた。


    社長が1ヶ月前の会見でお話になったのは、


    1、報酬を有価証券報告書に書いていない


    2、会社の会計で私的な流用がある


    3、会社のお金を私的な投資に使っている


    内部調査報告書のそれに基づいて報道していた。


     

    基本的に検察のリークではない。


    お姉さんに家をあげてたとかそっち方で食いついていた。


     

    郷原)


    そういう意味では、西川社長の逮捕直後の記者会見はかなり大きな意味を持った。


    投資資金の私的な流用、経費の流用を明言し、驚いた、憤りだと言った。


    海外でこんな家を買っていたとか。


    ゴーンさんは強欲で、こんな金を日産からむしりとっていた、というイメージを持たされた。


    しかし徐々に内実がわかって来て、逮捕容疑はまだもらっていないお金についてのことだった。脱税どころかまだもらってもいない。


    あの時の西川社長の憤りはなんだったのか?


     

    ダース)


    演出として考えた時に、素人目で見て違和感があった。


     

    同じ会社の社長、それが蚊帳の外に置かれて、日産という大企業が一人の人間に私物化されてというのは、私は無能ですと言っているようなもの。


    それも大丈夫なのかな?と思った。それまで憤るというのは違和感があった。


    言っていることは真実かどうかはわからないが、怒っているという演出は伝わって来た。


     

    竹田)


    ルノーと日産の経営統合にすごく西川さんは反発した。


    本当は仲が良かったが、西川さんを引き上げたのものゴーンさんだし。仲が悪くなった。


    フランスのレゼコーという新聞が、西川社長は、カエサルを裏切ったブルータスだ、と書いている。


     

    ジョー)


    この事件がトーンダウンしたのが、ゴーンさん2度目の逮捕じゃないかということで、


    何かなと思ったら、同じ内容の年代を区切って、もう一回逮捕したという。


     

    郷原)


    これは本当に衝撃。


    この事件には何回かの衝撃があったが、まず最初の逮捕。


    それとまだ調べられてなかったという衝撃。


    それ以上の衝撃が、年代を区切っての再逮捕というありえない行い。


     

    これは私、もともと検察に対して批判的な人間ですが、普通、検察のOBは検察の応援団。


    しかし、その人たちが、直近3年という話を聞いてのけぞったという常識はずれ。


     

    2011年から書いてあるけど、確かに有価証券報告書の虚偽記載罪は、虚偽の報告書を提出するっていう犯罪。


    毎年提出してるんだから、犯罪は1個ずつ成立する。


    しかし、一つ一つ全然別の嘘を書いているのであればそうであるが、報告書を提出するのであれば、毎年ちゃんとやっている。


    それとは別のところで、退任後の報酬をもらうことの合意があったと言っている。


    ということは、実質的に見ると8年間で一つの犯罪。


    しかし、それを古い方の5年と最近の3年にぶった切って、まずは昔の方からやるなんていうやり方はありえない。


     

    ダース)


    タイミングを区切った理由って何なんですか?


     

    郷原)


    これはわからないんですよ。


    一つの可能性として、直近3年はやりたくなかったんじゃないか。


     

    ジョー)


    コメントにもありましたが直近の2年は西川社長も絡んでいたからという。


     

    郷原)


    それで残したという可能性もある。


     

    竹田)


    今までにない事件。


    こういう行為を犯罪に問うのは、逮捕して48時間以内に拘留を請求して最初10日間。


    そのあと、場合によっては10日間延長、そして20日間で刑事処分を決める。


    その間に、かける日数が出来るわけですよね。


     

    郷原)


    ただそうであっても、新しい方を先にやればいいでしょう?


    そちらの方がインパクトあるし、それを直近3年分残したのは西川社長を立件しない限り、犯罪としてちゃんと事件をまとめること自体ができない。


    これはどうするのかという話。


    一昨年も西川さんが記者会見をやっていたが、あなた犯罪者でしょうと誰も言わない。


     

    ダース)


    司法取引という話も並行して出てくる。


    司法取引ってそういう意味だったんですかっていう。


     

    郷原)


    社長は自分が勘弁してもらって、他の人をってやり始めてる。


     

     

    ダース)


    それこそ本能寺的な下克上。


     

    ジョー)


    司法取引って基本的には、署名が残っているわけですよね。


     

    竹田)


    司法取引をしたのは、元秘書室長と担当の外国人の執行役の二人。


     

    郷原)


    ここは司法取引をする余地がない。


    なぜなら、合意の話は元秘書室長が協力して、お目こぼしてもらったということになっている。西川社長がなんだったのかというのは、自分自身認識していたのにそれで提出したのは自分の犯罪ですよ。


     

    ダース)


    つまり秘書室長が作った書類を自分で目を通して、自分の名前で提出してるわけですから。


     

    郷原)


    秘書室長によって協力が行われているわけだから、それ以上評価することはない。


     

    竹田)


    司法取引とは、協議合意制度。


    つまり供述、あるいは証拠物を出して、他人の犯罪を証明することで、自分が刑を軽くしてもらう、というのが日本の協議合意制度。


    今回の場合、元秘書室長は覚書を提出する代わりに、報酬隠しをやったことについては罪に問われない


     

    西川さんは提供するものがない。


     

    郷原)


    だから、闇しかない。


    この闇は、西川さんはやりませんよ、ゴーン、ケリーの両氏はやりますよという闇取引。


     

    ダース)


    秘書室長の司法取引っていう物自体が、ある種の日本の組織的な命令系統で、支持して動かすということも可能。


    お前それで泥をかぶってくれという話はよくわからない。


    明らかにこの流れで、被弾しないで済んでいるのが西川社長。


    それを最初の会見とセットで考えたときに、印象が逆転してくる。


     

    ジョー)


    コメントで、西川さんは捕まる可能性があるんですか?と。


     

    郷原)


    普通に考えたら捕まらないわけがない。


    最低でも在宅起訴。でも、本人の表情を見ているとそんなことは考えていない。


     

    ダース)


    なんであんな安心しているんですか?


     

    竹田)


    最初から検察と西川さんはそういう絵図を描いていた。


    そうじゃないとああいう逮捕ができない。


    ゴーンさんとケリーさんを同時に捕まえるのは、日産がお膳立てしないと無理。


     

    ジョー)


    検察だって、もっとでかいものが出てくると踏んでたから、このヤマ踏んだんじゃないかと思うがどうか?検察の暴走か?


     

    竹田)


    朝日新聞には、検察幹部の言葉として、エベレストがあるのになんで富士山をやるんだと。


    エベレスト=虚偽記載=90億円


    富士山は、ただの背任?とかという話。


     

    郷原)


    そうだとすると、私は妄想だと思う。


    検察は病気。


    基本に立ち返って考えたら、投資判断にどれだけ影響があるかということ。


    検察の連中は株を買ったことがないから分からない。


     

    投資判断という考えだと、もらってもいない退任後の話として8年間積み上げていった90億は影響ない。


     

    竹田)


    日本長期信用銀行の事件は、バブルの頃に不良債権が問題になった。


    その事件では不良債権の決め方があるときに変わる。昔の大蔵省が変えた。


     

    決めたのだがその前から慣行があって、すぐ潰さなくても再生の見込みのある場合は、赤字でも支援金を出して、その支援金だけを損金として引き当てるという慣行だった。


     

    でも検察は大蔵省の慣行通りにやっていないというだけで頭取たちを逮捕していった。


    ところが裁判所は、昔からの慣行がまだあるし、新しい大蔵省の通達が承知されていないということで無罪にする。


     

    つまり法解釈は最終的には裁判所が判断するし、現在の検察の法解釈が通じるかどうかはわからない。


     

    ダース)


    虚偽記載というのはどれくらいの重さのもの?


     

    郷原)


    有価証券報告書の虚偽記載で今まで、摘発されてきた大部分は粉飾決算。


    ホリエモンもライブドアの事件もあんなものが処罰の対象かというくらい軽微だった。


    カネボウとか、オリンパスとか巨額の負債を隠していたとか、そういうことが投資家にわかっていたら、株なんか買わない。


     

    唯一、そういう粉飾決算ではない虚偽記載の事例としては西武鉄道事件。


    政府の株式の保有割合が実際には70%だったのに、60%といっていた。


    それで上場廃止になっちゃうみたいな。


     

    竹田)


    今回はこの西武鉄道事件の話をして、粉飾だけじゃない事例もあるので、役員報酬も投資家にとっては重要な判断基準じゃないか、あるいは企業ガバナンスの要だといっていた人もいる。


     

    郷原)


    それが全然わかっていない。


    まず上場廃止になるかならないかという事項と役員報酬とは全然違う。


     

    ダース)


    粉飾決算は詐欺だが、今回は当てはまりにくい。


    実際に株価の投資家への影響はほぼ影響がない。


     

    竹田)


    株価は下がっていない。


     

    ダース)


    株価に変動がなかったというのは影響がないといこと。


     

    ジョー)


    何れにしてもこれは実質犯ではなく形式犯。


    こんなに大騒ぎすることではない。


     

    竹田)


    まさに実質か形式かというところに、ゴーンさんの認識が問われている。


    100わかっていてやっていたら形式犯ではない。


     

    郷原)


    いや、わかっていても形式でしょう。


     

    竹田)


    いや、20億だったら株主総会は紛糾するし、現にルノーでも株主総会でゴーンさんの20億の報酬は高すぎるということは言われている。


    それがどんな影響が出るかはわからないが・・・。


     

    郷原)


    それ、困るのは会社の総務担当でしょう





    後半につづく・・・