• このエントリーをはてなブックマークに追加
「ゴーン氏逮捕に見る日本の刑事司法手続きの闇」後半
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

「ゴーン氏逮捕に見る日本の刑事司法手続きの闇」後半

2019-04-03 14:04

    今後の事件の展開

    ジョー)

    今後のこの事件の展開は・・・。

    郷原)

    最大の問題は西川氏。

    一昨日の記者会見で、朝日の記者から質問されている。

    今後、保釈で出てきたときに、ゴーンさんの言い分とかを取締役会で与えるのかと聞かれて、西川さんは「今でも取締役ですけど、もう取締役会には出てきません。

    機能しないので。」と言っている。

    西川さんにはゴーンさんが取締役としての機能がないと判断することはできない。

    株主に選ばれているので。

    たまたま今、身柄を拘束されているから出れないだけで

    保釈になったら出れない。

    おそらく西川さんは、ゴーンさんの顔も見たくない。

    竹田)

    本来は内部調査の結果を取締役会で出して、公私混同していると面と向かってやればいいのだが、怖くて出来できない。

    ダース)

    怖いつながりだとゴーンさんはルノーの会長は辞任していない。

    現実グループ会社としては西川さんの上にいる段階。

    グループ会社のトップに会わ合わないということを日産の社長ができるのか?

    郷原)

    保釈で出てきたときに、保釈の条件がつく場合がある。

    接触禁止条件というのがつく場合がある。

    美濃加茂市長事件でも保釈の時に、市長が副市長と接触したらいけないとか、

    今回はそれがつくのではないかということがありうる。

    もし、これが西川氏と接触を禁止するような条件をつけるとしたら、共犯者じゃないといけない。

    西川さんが起訴されて、その上で接触を禁止されるのはわかるが、自分は無罪の上で接触を禁止してもらうのは無理。

    竹田)

    明日、拘留の1回目の末期。

    非常に拘留が長いという批判を浴びているので、明日追起訴して捜査を終える可能性もある。

    28日で終わる可能性もある。

    西川さんの逮捕はないと思う。

    今、裁判を開いたとすると、日産も起訴されているので、その代表である西川さんは被告席ですよね。

    ジョー)

    ゴーンさんの弁護士が、大鶴さんといういわゆる大物ヤメ検。

    彼は検察の弱点もよく知っている。

    郷原)

    自分がダメなところもよく知っている。

    特捜のダメなところを引きずってきた人。

    だからこんな事件で検察と戦う気があるのかな、という感じ。

    そう言った意味では弁護士の人選は疑問。

    私が弁護するのであれば客観的な立場でやる。

    竹田)

    大鶴さんとは、ホリエモンとか、村上ファンドの村上さんを逮捕した人。

    昔、ゼネコンの大きな汚職があって、茨城県知事を取り調べた。

    これはうまく裁判が進まなくなったが、強引な取り調べとかは裁判の中で指摘されていた。

    郷原)

    あの事件は私も特捜でやっていたが、ひどい調書ばっかりだった。

    ほとんど抽象的に認めているだけで、中には、渡したお金を使い込んじゃっていた、とか、

    その時のデタラメ調書にも、大鶴さんは関わってきた。

    ダース)

    すごい基本的なところで、弁護士が最初に立ち会えないという話も、この後じっくり聞きたいのだが、日本人の容疑者を精神的にまいらせて自白、というのはどうなるのか?

    竹田)

    英語のできる検事がやっているらしい。

    でも基本は、通訳が入るので、怖くないって言ってる。

    ジョー)

    後半は、日本の遅れた刑事司法手続きについてやっていきます。

    竹田)

    冒頭のもう一つの論文データ改ざん事件で、ノバルティスの人が検査データを改ざんして学者がそれを元に論文を書いた。

    その論文が虚偽広告に当たるとして起訴。

    これも特捜部の法解釈。

    そして裁判所はノー。

    郷原)

    あの事件は早い段階から書いていた。

    刑事事件を追っていくのは非常に難しい。

    なぜかというと、会社の中で臨床データを改ざんしたものを使って、営業していたことは間違いないが、部門が違う。

    データに関わることと、薬を売っていくことは違うので、罪の問うのは難しい。

    結局、論文の作成は大学でやっていたから、その論文の作成が広告に当たるということで起訴した。

    しかし、厚労省がそういう風に無理やり検察にこういう方向で書き直せというので、ついていった。

    竹田)

    法律は担当する役所が必ずあって、薬事法は厚生労働省が担当するが、担当する役所が違法だと言っている。なのに、なんで裁判所が無罪出すんだって怒っている検察もいたが、論文が虚偽広告だというのは、無理だと思った。

    ダース)

    論文自体は後で間違っていた。なんていうことはいくらでもある前提でみんな読んでなければならないし、一個だけ見て信用するというのは態度して間違っている。

    後半にいく前に、ある種の国策捜査、ということも疑われている。

    管官房長官が驚いたというコメントも出たが、これは本当に寝耳に水だったのか?

    郷原)

    ここはわからない。

    あまりに事件の中身がデタラメなので、よほどの事情がないと、という疑いがないでもない。

    逆に官邸が絡んでいるのであればもうちょっとマシな事件をやってほしい。

    後半

    ダース)

    国策捜査の場合は置いておいても、国と国の問題に発展した。

    フランスがまさに、デモで国内が大変な状況になってきている。

    僕の想像では、フランスの対応としては、マクロンが安倍さんと話したかった、と言っていたが、日本の検察はそこまで考えていたのか?

    竹田)

    あまり気にしていなかったと思う。

    郷原)

    検察はその影響がわかっていなかった。

    ライブドア事件とかも、証券市場の影響など全く考えていなかった。

    小沢事件とかでも秘書の逮捕だけであれだけのハレーションが起きるとは思っていなかった。

    今回も、一企業経営者という認識しかなかったと思う。

    ダース)

    ワイドショーなども、初期は一斉にゴーンさんの報道していたが、数字が取れなくて沈静化してきた。

    外国人経営者が金を持っていて使い込んでいるというニュース自体あまりインパクトがなかった。

    郷原)

    それよりも、西川=明智光秀、という方がインパクトが大きい。

    検察は西川氏を逮捕するのか、というブログ記事が反響が大きかった。

    ワイドショーで扱えないが・・・。

    ダース)

    明智光秀がもし信長を殺せなかったらどうなるのか、ということが今後見られる。

    郷原)

    もし西川社長逮捕ってなったらすごい盛り上がる。

    ダース)

    今の事実関係だけ見ても、本当は西川さんは逮捕されないとおかしい。

    ジョー)

    今回の黒幕はわからないが、検察が暴走しているようには見えるが、止められる人はいないのか?

    郷原)

    いない。

    ジョー)

    以前、番組に~~さんが来てくれて言ってましたけど、

    検察で出世できるのは、事件を作れる人なんだと。

    つまり経済事件みたいに、事件化した人が出世すると言っていた。

    郷原)

    本来は特捜部が、これは何が何でもやりたいと言っても、

    その上に検察がいて、次席がいて、次席検事長がいて、最高権の検事総長まであげないと、ゴーサインが出ないので本来はいろんなハードルがある。

    ただ、最近そういう構図が機能していないのではないか?

    特に一番大きな事件として、陸山会事件の虚偽報告書作成事件があった。

    嘘の報告書を作って、検察審査会を騙して、小沢さんを強制起訴に持ち込んだ。

    これは検察が組織として不起訴にしているものを

    検察審査会っていう外の機能を使ってひっくり返した。

    これは検察の統制違反。

    本来は徹底して制裁を加えないといけないが、処分はできなかった。

    つまり、現場の暴走を抑えられないのが今の検察。

    竹田)

    先きほど話した長銀事件も、最高裁で無罪になった後に弁護人をと勤めていた弁護士がこう言っている。

    「こういう事件の建て方はおかしいのではないか?。あるいは別の見方ができるのではないか?、という考えが検察内部で働かなくなっていた。

    それは、検事が個々人の中に、俺のやり方はまずいのではないかという考えが、組織や個人として、チェックができなくなっている。」

    「本来企業の会計に関する話であるにも関わらず、政治家や官僚に対する贈収賄事件と同じ感覚で操作したのではないか?。被疑者に間違ったことをやったと口を割らせ、それを物証で固めていく。」

    そういう方法では今回は割れないと思うが?

    さっきの司法取引協議合意制度がなんで入ったかというと、取り調べの録音録画を検察は全部やることになっているので、自白が取れなくなる。

    そこでその制度で、共犯者の口述を出してくれる人を優遇するようになった。

    今回も、自白を取れるとは思っていない。

    ダース)

    ビデオで撮っている取り調べの状況は、誰が見れるのか?

    竹田)

    弁護人は見れる。

    裁判になってから見れる。

    ただ本人から聞けばわかるが。

    郷原)

    長いので、弁護人の立場からは全部は見れない。

    竹田)

    レバノン、フランス、ブラジルの3つの国籍をゴーンさんが持っているので、各大使館の人が来ているから取り調べの時間がなかなか取れない。

    大使館員には、ウィーン条約では、大使館員には会合わせないといけないと決まっている。

    ジョー)

    郷原さんに聞きたいのが、チェック機能が検察内で効かなくなったのはなぜか?

    これはある意味、質が劣化している?

    どうすればいい?

    郷原)

    チェック機能もいろんな方向で働く。

    最近、検察は政権に弓引くような事件を一切できない。

    法務官僚が押さえつけているから、

    これもチェックといえばチェック。

    そういう方向では従順にいうことを聞くきく。

    ただそうでない事件は、歯止めが効かない。

    ダース)

    虚偽記載というのが問題であれば、公文書改ざんはどれくらいの重さなんだろうということが疑問。

    国益という重さで考えたら、日産の比ではない。

    非常に違和感がある。

    郷原)

    経済犯罪は、検察の考えで、この事件は刑事事件にしようと思えば出来る。

    殺人や強盗は、犯人が捕まれば起訴はしないといけない。

    その事件を、検察が判断してしまう。

    竹田)

    東芝とか石川島播磨とかもすごい粉飾決算があったがそれもやらない。

    ところが、ライブドアは、東芝の100分の1とかでやる。

    目立つから。

    ある種、目立ったところをやっつけることで功績をアピールするというやり方。

    日本の刑事司法手続きについて

    ジョー)

    海外から、日本の刑事司法手続きはこんなに遅れているんだ、と言われている。

    郷原)

    検察が逮捕した場合、送致というのがない。

    そこから48時間以内に勾留となる。

    勾留を裁判所に請求して、勾留が決定したらそこから10日間。

    さらに身柄拘束が裁判所に認められると10日間。

    そこで処分が決められるが、今回はそれが2回繰り返されている。

    最大で20日間身柄拘束が出来る。

    さらに起訴した後、保釈が日本の場合は起訴後、初めて可能になる。

    日本は起訴されるまでは、保釈という制度はなくて、起訴されてから保釈になる。

    ただ、罪証隠滅の恐れということであれば認められない。

    事件を否認していたりするとそうなる。

    保釈しないという措置は、検察の思うがままにされて来たから、長期勾留されて来て、これが日本の人質司法と言われる。

    ジョー)

    ホリエモンは94日後まで保釈が認められなかった。

    郷原)

    彼は早く保釈された。

    竹田)

    世界の標準は、48時間が基本。

    韓国も同じくらい。

    ダース)

    日本は、推定無罪ですよね?

    否認しているという状態で保釈しないというのは、推定無罪という原則と矛盾している。

    郷原)

    日本の場合は、検察の正義が中心になって刑事司法が動いている。

    検察の判断が、原則正義。

    間違っていない前提で行なっている。

    だから、推定無罪ではなく、推定有罪。

    だから長期の身柄拘束も可能になる。

    竹田)

    司法試験に受かると、司法修習というのになる。

    これは裁判官、弁護士、検事になる人も、全員受ける。

    検察の修習の時とき、検察が起訴するときはどういう時ときかというのを習う。

    それは、的確な証拠により、有罪判決が得られる高度の見込みがある事件に限って起訴するという基準がある。

    完全に先入観が検事の裁判官にはある。

    アメリカの場合、検察官と弁護人と裁判官で刑を決めて、

    裁判をやらずに刑務所にいく。

    争うと陪審裁判になるのでその間は保釈される。

    大事なのは、取り調べに必ず弁護人が立ち会う。

    ダース)

    日本の司法システムのベースはどこ?

    竹田)

    ドイツフランス

    ただ戦争に負けた後、アメリカイギリスが入って来てグジャグジャ。

    竹田)

    ドイツとフランスは、予審判事と知って、裁判官が捜査段階から関わる。

    長い勾留も今はない。

    重罪だとありうるが、今回のような事件ではない。

    郷原)

    これは日本独特の、司法省、検察中心のものを作って来た。

    検察の都合で、正義が作られて来た。

    ダース)

    それはお上の裁定。

    郷原)

    真実は裁判ではなく、検察官の取り調べ室で決定するというのが、

    日本の刑事司法の基本。

    ダース)

    海外の刑事ドラマ見ると、弁護士いる時しか喋りませんというのが定型の場面ですよね。

    日本の場合はそれが認められないのはなぜ?

    郷原)

    取り調べの時間もやり方も違う

    日本の場合は、代用監獄といって、警察署に留置所があって、警察の中で取り調べをしている。

    事件だったら朝から晩前でずっとやっている。

    そういう取り調べに弁護士が立ち会うのはものすごい手間になる。

    竹田)

    世界的にもそれがスタンダードだけれど、日本はまだやっていない。

    郷原)

    実際に日弁連も、弁護士の立会いを要求していない。

    ほとんんとど力を入れてこなかった。

    竹田)

    日本は取り調べが長いから、弁護人が立ち会ったらたまったもんじゃない。

    ダース)

    可視化というのも、録画録音はされているとはいえ、それが開かれているわけではない。

    竹田)

    あれは何百億もかかっている。

    しかし弁護人さえ立ち会えばお金はいらない。

    多分取り調べが短くなるだろうし。

    ダース)

    日本の場合、この人が逮捕されましたって報道も始まっちゃうから、

    刷り込みも始まっちゃう。

    竹田)

    事件報道を支えているのは高い有罪率。

    今みたいに容疑者ってつくようになったのは、1989年から。

    その前は呼び捨てだった。

    ダース)

    その時点で、推定有罪。

    竹田)

    去年の裁判員裁判の有罪率は97%だった。

    ダース)

    イギリスでも8割くらいの有罪率。

    99.9%でも、もし有罪にできなかったら、と検事はプレッシャーを感じる。

    それは検察的には起訴するハードルとしては、あるのか?

    郷原)

    起訴検事もそうだし、公判に立ち会っていて無罪を食らった検事もかなりプレッシャーを感じると思う。

    ダース)

    なんでそんなにプレッシャーを検察にかけちゃってるのか?

    郷原)

    検察が逮捕した以上は、有罪と思い込むから、マスコミも思い込んでる。

    その期待を裏切ると検察何してるんだ、となる。

    ダース)

    これを解決するためにはどうすればいい?

    郷原)

    全てがそれで出来上がっている。

    裁判所で担当する事件の数も、大変は自白事件で手間がかからない前提。

    裁判官は出来る、できるだけ認めて欲しいという感情になっている。

    そういう力が働ければ、できるだけ争わない方が裁判官にもよく思われるだろう、みたいな。

    ダース)

    であれば否認しただけで心象を悪くするのであれば、そもそも、マイナスからスタートしているというのと、そもそもこのゴーン事件が黒船っていうのは、日本の体質は外圧で変えるしかないという諦めに近いのか?

    竹田)

    誤解されている人もいるが長く勾留されている。

    決定権があるのは裁判官。

    ダース)

    それは検察が、有罪の証拠を集めるのを裁判所が助けているということですよね?

    郷原)

    裁判所は、捜査段階では、まだわからない。

    だから捜査官の判断をそうしても尊重しちゃう。

    ただ問題は、その公判をやってから。

    人質司法っていわれる状況になって、なぜ裁判所が保釈を認めないのか?

    これは裁判所の問題。

    竹田)

    日本の司法の最大の問題点は、裁判官が純粋培養されているということ。

    アメリカ、イギリス、韓国もベテランの弁護士からなっている。

    日本は、20台後半で裁判官やれちゃったりする。

    実務経験、弁護士で10年やって裁判官をやるとかなり違うと思う。

    民事裁判でも、1票の格差の問題を認めてしまったり、非常に政府寄りになってしまう。

    それは、裁判所が組織だから。

    本来は裁判官は独立しているべきだが、していない。

    中央官庁よりも役所みたいなところにいる。

    郷原)

    経済犯罪になると、検察もわかって分かっていない。

    もっとわかって分かっていないのは、裁判所。

    しかも人に聞こうと思ったって、聞けない、独立して判断するから。

    だったら、検察のことを鵜呑みにする。

    竹田)

    長銀事件の時も、同時に民事裁判があった。

    民事裁判の裁判官は検事より企業実務がわかって分かってるので、損害賠償の請求を棄却していく。

    その中で、慣行が続いていたんだというのが出てきて、最高裁で無罪になる。

    司法改革について

    ジョー)

    であれば、日本の司法改革はどっからやればいいの?という話になる。

    郷原)

    検察の組織を抜本的に変えるしかない。

    基本的に、完了組織。

    終身雇用、年功序列、組織に評価されないことをやらない。

    だから組織の方針に従順にやってしまう。

    ダース)

    組織の方針とは、有罪になるものを起訴しろ、みたいなこと。

    郷原)

    それと、問題がある事件でも、引き返さない。

    全然引き返したことはない。

    ジョー)

    検察庁は法務省の管轄ですよね、であれば改革できるのは法務大臣か?

    郷原)

    政治の力がないと無理。

    竹田)

    1999年に内閣に、司法制度改革審議会というのが出来できて、2年間議論した。

    専門家や、非専門家などが13人参加した。

    その中でもベテラン弁護士から裁判官へ、というのを法曹一元というが、

    これがまとまらなかった。

    検察官については不祥事があったので問題になったが、どういう人を検察官にというには至らなかった。

    アメリカだと週によっては選挙で検察官を選んだりするが。

    ここでも弁護士であったり、法律の実務家を従えて、

    検事補と操作をやっていくとかはある。

    ダース)

    アメリカのスタイルでいうと、ある種のチームを組んで、

    得意分野のある人を操作に加えるということか?

    さっき郷原さんがおっしゃったように、一生検察庁にいるわけではないので。

    ダース)

    その任についている時に、仕事をするという考え方。

    その方が、僕は集中できるんじゃいかなと思う。

    郷原)

    日本の場合は、官僚組織で、組織としての判断が先行する。

    ダース)

    組織的なものは、よく回ってる時は、ある種の助け合いが生まれてっていうことになると思うが、回らなくなった時の対策は何があるのか?

    竹田)

    もっと根本的なことで、民主主義国なので、多数決で国会で決まっていく。

    入管法も議論にならなかったが、

    多数決だと、少数者の権利が侵害される場合がある。

    それを守るために司法がある。

    場合によっては法律も憲法違反で無効にできる。

    政府みたいな上意下達の組織であってはいけない。

    人の良心で仕事をしないといけないが、裁判所も検察庁も役所。

    そういう意味では救われない。

    今の検察庁は国の代理人。

    ただ検察庁も昔は、面白い人がいた。

    被害者がかわいそうだから、というので上司に黙って起訴する人とかいた。

    飛ばされるが。裁判所はいない。

    ダース)

    僕の同級生も、裁判官と検事で、同じ釜の飯を食っている仲間感がある。

    入れ替え可能なんじゃないのかこの人たち、みたいに思う。

    そういったところも、検事の選挙で選ぶとか、

    弁護士から選ぶとなるとそういったことがなくなるんじゃないかなあと思うが。

    郷原)

    人材の流動性があればいい。

    ジョー)

    郷原さんはなんで検察をやめたんですか?

    郷原)

    私なりに検察の捜査はこうあるべきというのを特捜部でもないところでやってきて、でも、特捜部は変わらなかった。

    これで特捜部もおしまいだなと思って、別の方向に行った。

    結局、個人が全く頭を使わないのが特捜部のやり方。

    みんな上の言う通りに調書をやればいい。

    副部長とか主任が方向を決めて、それ通りにやっている。

    ところが、その個性を活かせば若い連中だってすごい使える。

    私はサッカー型のフォーメーションで結果を出してきた。

    それは特捜部には絶対に受け入れられない。

    ダース)

    政権に歯向かう力がなくなって行ったのはなぜ?

    郷原)

    検察裏金問題が転機になったと言う人もいるし、そうかもしれない。

    調査活動費と言うのを裏金にして、

    検察庁の中でいろんなことに使っていたことが問題になった。

    それを内部告発しようとした人が口封じ逮捕したのが大問題になった。

    時の政権になんとかお目こぼしをもらった。

    それから、自民党政権に検察は歯向かうことができなくなった。

    ダース)

    ある種の武勇伝的な、田中角栄だ、金丸信だ、とい言うのが未だについて回るけど、現実的にはそう言う動きは全くない。

    竹田)

    立件された政治家は、金丸さんだったり、中村吉次郎さん、小沢さんも、みんな田中派。

    福田系はいない、福田系の人は捕まらない。

    安倍や小泉などはっきりしている。

    郷原さんが言われた事件の時も、小泉政権で色々借りを作ったみたいなところがある。

    ダース)

    なぜ自民党が今みたいなものになったのか、と言う話がよく出て来るが、

    それにはある種の田中派が連続して狙い撃ちされてきた背景がある。

    福田系が強くなってた。

    ジョー)

    それだと検察は自民党の派閥争いの太鼓持ちになっていると言うことか?

    竹田)

    どうしても、ロッキード事件以降、田中派との対決をしてきたので、それを後輩に引き継いで、それが非常に多いな検察の宿痾、だと思う。

    あと、郷原さんが言われた調査活動費の件もあるだろうが・・・。

    内閣人事局というのができて、人事は官邸で決めるので、検察の人事もそうなっている。

    やはり官邸を怒らせないというのがある。

    甘利さんの事件もでき出来なかった。

    ダース)

    片山さつきさんが、今年の一文字は耐えるだみたいなことを言っていたが、

    片山さんとかもずっといそう。

    郷原)

    あれはレベルが違う。

    ジョー)

    検察の空気っていうのはそういうのは実際にあるんですか?

    竹田)

    田中さんもやることはやっている。

    自分がやられた後、法務大臣は全部自分の息のかかった人を送り込みましたから。

    お互いに食うか食われるかという戦いの歴史。

    ダース)

    勾留期間が長いとはいえ、その先の展開がきに気になる。

    裁判はどう言った判断をするのかな、というのは難しい。

    郷原)

    この事件は、検察と、西川社長以下の2,3人の2,3経営陣が組んでやったので、

    西川体制が崩れたら、検察にとっては大打撃。

    ダース)

    それもだいぶ薄氷の上な気がする。

    竹田)

    あとは保釈されるかどうか?

    正月を拘置所で過ごすかどうか?

    郷原)

    これだけで終わったら、そんなに長く保釈を認めるわけにはいかない。

    竹田)

    今回は多分そんなに供述がないので、証拠隠滅の説得力がない。

    郷原)

    事実は争いがないので、評価の問題。

    ジョー)

    ゴーンさんの事件自体も筋が悪いし、その後の刑事司法手続きの問題がたくさんある。

    ダース)

    世界が注目している異常な司法制度って言ってるけど、結局、日本の法律で僕らが決めてきたことなので、自分たちでなんとかしないといけないなとは思う。

    言われているのを自分たちがどうするか問われている。

    郷原)

    この事件は日本の刑事司法のあり方、日産の企業のガバナンスのあり方、が問われている。

    検察の力を頼んで、取締役会の議事を、自分たちに有利な方向にしようとしている。

    日本社会にとって極めて大きな事件。

    来年も、この問題が問われる。

    竹田)

    法の解釈の評価の問題につきる尽きる。

    裁判所の判断を冷静に見守るしかない。

    保釈された後も色々ある。

    ジョー)

    日本の刑事司法手続きを見ていると、こういう国に、死刑が残っているのも、一つの恐怖。

    ダース)

    根っこが色々繋がってしまっていると思う。

    ジョー)

    会見は大注目ですね。

    チャンネル会員ならもっと楽しめる!
    • 会員限定の新着記事が読み放題!※1
    • 動画や生放送などの追加コンテンツが見放題!※2
      • ※1、入会月以降の記事が対象になります。
      • ※2、チャンネルによって、見放題になるコンテンツは異なります。
    ブログイメージ
    「ゴーン氏逮捕に見る日本の刑事司法手続きの闇」
    更新頻度: 全2回
    最終更新日:
    チャンネル月額: ¥330 (税込)

    チャンネルに入会して購読

    コメントを書く
    コメントをするにはログインして下さい。