2013年07月25日発行 第0756号 特別
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 ■■■    日本国の研究           
 ■■■    不安との訣別/再生のカルテ
 ■■■                       編集長 猪瀬直樹
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 7月21日日曜日、猪瀬直樹の妻・ゆり子さんが逝去されました。猪瀬直樹は
7月24日木曜日夜、フェイスブックにつぎのように書き込みました。

「妻ゆり子の告別式が終わりました。ご焼香ありがとうございます。夏、誕生
の朝、庭一面に咲き誇る美しい白いユリの花からゆり子と命名され、青山墓地
の蝉時雨が聞こえる夏、祭壇で再びユリの花に囲まれ永い眠りにつきました」

 今週のメールマガジンは、ゆり子さんと二人三脚で取り組んだ2020東京五輪
招致に向けての意気込みを記した7月19日付のコラムから。

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「五輪招致 勝負どころ4年前の経験生かす」

□先を読んだ準備

 スイスのローザンヌであった国際オリンピック委員会(IOC)のテクニカ
ルブリーフィングが大成功に終わり、20年の五輪招致は、9月の開催都市決定
に向けて詰めの作業に入った。僕が昨年完走した東京マラソンに例えるならば、
勝負どころの30キロ地点、両国付近を過ぎて銀座に向かう胸突き八丁、といっ
たところか。

 最近、よく聞かれるのが、4年前との違いだ。最も大きな差は、マラソンも
同じなのだが、先を読んでの「準備」だと思う。きちんと見取り図を持ってい
れば、疲れてきても先はイメージできる。ご存じの通り、IOCが重視する指
標の一つが開催地の熱意、つまり支持率だ。新聞社を含めて官民いろんな組織
が世論調査をするが、IOCにとって正式な数値は自らが実施する2度の覆面
調査だ。4年前の最終調査は56パーセント、今回は70パーセントだ。

□高い支持率70パーセント

 数字は何もせずに出るわけではない。昨年5月の1次調査で47パーセントに
まで下がっていた数値をロンドン五輪後の銀座パレードで66パーセントまで上
げた。7割超えのため、今年1月にロンドンに出掛けた。開催計画書のIOC
提出に合わせて記者会見、ロンドンの関係者との面会を通じて経験を聞き取っ
た。新聞やテレビは大きく報道してくれた。これが結実した。ロンドンが12年
五輪を勝ち取った際の支持率は68パーセント。先進国は一般的に支持率が低い
から、70パーセントは相当高いといえる。

 こうしたスタートダッシュは、同時期にあまり動かなかった4年前の経験か
ら学んだ。

□戦闘的&謙虚に

 日本が最も苦手、と言われるIOC委員への訴えかけも進んでいる。僕自身
でいえば、五輪をアピールする海外出張ではジョギングを欠かさず、サンクト
ペテルブルクではバルト海のほとりを、ローザンヌでは湖畔を走った。開催都
市の首長がどれほどスポーツに熱心かを訴えたいし、そうした話をIOC委員
とできる。

 今回の訪問では、偶然同じホテルになったイスタンブール五輪招致委員会の
ハッサン・アラット委員長や、プレゼンテーションの前に「緊張して食事がの
どを通らない」と話していたスペインの閣僚らとも、積極的に接した。当時の
石原慎太郎知事は「なかなか手応えが分からない」と首をひねっていたが、初
めてなのだから当たり前だろう。五輪開催はたやすくない。ロンドンは英国と
して、1992年バーミンガム、96年、2000年のマンチェスターと3連敗してやっ
と勝ち取った。マドリードは12、16、20年と3回連続の立候補、イスタンブー
ルは2000年、04、08年と落選、12年は1次選考で涙を飲んだ。1964年東京五輪
だって2度目での勝利だ。僕は石原さんが歩いてくれた道がある分、経験を生
かせる。

 とはいえ、招致という名のこのレースは、金メダル以外、敗北だ。9月7日
の開催地決定まで、さらに戦闘的に、そして謙虚に。フィニッシュまでの12キ
ロの作戦を、これから練っていく。


   (中日スポーツ2013年7月19日付の連載コラム「月刊猪瀬直樹」より)
※「月刊猪瀬直樹」過去の記事はこちら http://bit.ly/11ffHVI

               *


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猪瀬直樹の新着情報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■出演情報

・7月28日(日)18:00~18:55 日本テレビ『バンキシャ!』に生出演する
 予定です。

・7月28日(日)21:00~22:54 BS-TBS『週刊BS-TBS報道部』
 に生出演する予定です。

■掲載情報

・7月5日発行『潮』8月号、連載対談「日本を変える次世代の騎手たち」
 第14回に株式会社マイファーム代表取締役の西辻一真氏との対談が掲載され
 ました。

・『Sports Japan』(日本体育協会発行)に、五輪招致に向けた思いなどが、
 掲載されました。

・You Tubeにて、7月6日に放送された MXテレビ9CH『東京からはじめよ
 う』(ゲスト:太田雄貴氏)が提供されています。
 https://www.youtube.com/playlist?list=PL874C650250E25DD7

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