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[MM日本国の研究861]「東京五輪招致から2年」
⌘ 2015年09月03日発行 第0861号━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■■■ 日本国の研究■■■ 不安との訣別/再生のカルテ■■■ 編集長 猪瀬直樹**********************************************************************http://www.inose.gr.jp/mailmag/◉--------------------------------------------------------------------◉━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【好評発売中!】『さようならと言ってなかった』(マガジンハウス)都知事就任、五輪招致活動、そして突然の辞任激動のさなか、妻は突然の病に倒れ、帰らぬ人となった。辞任以来の沈黙を破り、招致成功の秘話がすべてここに!↓アマゾンはこちら↓http://goo.gl/Rjm9TB「必死に縦割りを超えていこうとした」「日本がひとつになったから勝てた。チームニッポンの勝利だった」(著者インタビューより)○------------------------------------------------------------------○【好評発売中!】田原総一朗×猪瀬直樹『戦争・天皇・国家』(角川新書)なぜ日本国は意思決定ができないのか?「なるほど『戦後レジーム』でなく『黒船レジーム』で考えると“現代”がよくわかるのですね!」(読者の声)「目からウロコの日本近現代史!」(読者の声)□ 戦後論ではみえない“日本国”の正体 ■□ 帝国主義の脅威は現在も続いている! ■□ 史実を直視し、未来を語れ! ■↓アマゾンはこちら↓http://goo.gl/mJZb8G○------------------------------------------------------------------○◇ 猪瀬直樹のオンラインサロン「近現代を読む」 会員募集中です!◇↓↓↓http://synapse.am/contents/monthly/inosenaokiこのサロンは、戦前・戦後の知識人や事件を参考図書と共に取り上げ、学べる参加型のオンラインサロン。激動の昭和時代、確かにあった知識と経験を、現代の視点から再び読み解き語ります。憂国の視点を持ちつつ安直な国家批判や既得権益批判は決してしない、作家・猪瀬直樹ならではのファクトとエビデンスに基づいた批評と、現代に活かす前向きな姿勢を保つ、日本の課題を考える現代の教養塾です。既存のメディアとは一味違う、新しい活字体験と思考体験をお約束します。○------------------------------------------------------------------○「猪瀬前都知事、現在の心境語る 東京五輪招致から2年」(スポーツ報知9月1日付より抄録)2020年東京五輪・パラリンピックは、13年9月7日(日本時間8日)、アルゼンチン・ブエノスアイレスのIOC(国際オリンピック委員会)総会で招致が決定した。歓喜の輪の中心にいたのは、招致委員会「チーム・ニッポン」を率いた当時東京都知事だった猪瀬直樹氏。間もなくあれから2年、新国立競技場や五輪公式エンブレムを巡り問題が相次ぐ東京五輪の行方を、猪瀬氏はどう見ているのか―。今の思いを聞いた。今年5月に突如、表面化した新国立競技場建設費問題。約2520億円にまで膨れ上がった総工費について、事業主体のJSC(日本スポーツ振興センター)の説明が二転三転した。2年前、五輪招致によって日本中に湧き上がった興奮は、もはや冷めきった感すらある。猪瀬氏は言う。「招致活動では『運営能力や協調性がある』と日本の良いところをアピールしてきた。だが、長所と短所は裏腹。今回は皮肉にも『同調性圧力に弱い』『リーダー不在』といった短所が如実に出てしまった」13年9月7日、ブエノスアイレス。IOC総会で、世界が固唾をのみ見守るなか、ジャック・ロゲ会長が「トーキョー」と東京の勝利を告げた。最終プレゼンテーションで、世界中の人々の心をつかんだ、フリーアナウンサーの滝川クリステルの「お・も・て・な・し」スピーチは、猪瀬氏の思いがベースにあった。「東京は電車が3分間隔で正確に動き、タクシーは安全に指示した場所へ送り届けてくれる。当たり前のようだけど、一人一人が持ち場できちんとした仕事をする成熟した独自の文化がある。それが欧州にはない、『おもてなし』の文化だった」総会のスピーチで、安倍晋三首相はイラク人女性建築家のザハ・ハディド氏がデザインした新国立について「どんな競技場とも似ていない真新しいスタジアム」と説明した。「ザハ氏や(デザインコンペ審査委員長の)安藤忠雄さんの悪口を言う人がいるが、彼らは悪くない。あくまで国際コンペでデザインを描き、選んだだけなんだから。あとは施主の問題。価格設定も業者選定も不透明だった」新国立の設計を進める過程で、JSCは各種競技団体などから128項目の要求を取り入れた。当初1300億円と見積もられていた総工費は、13年7月、約3500億円にまで膨れ上がった。「知らぬ間に、あんなことになっていた。JSCは大会組織委員会の森(喜朗)会長の了承を得なければ、競技団体の要望をカットできない。結局、根回しができないJSCの無責任体質によって、2年間を無駄にした」総工費は乱高下し、今年7月に2520億円と発表されたが、首相判断で建設計画が「白紙撤回」された。その後、JSCを監督する文部科学省の担当局長が辞任したが、省庁のトップの責任は不明確なままだ。「縦割り行政のために情報が共有されないという日本の最悪の部分が露呈した。官邸がもっと早く対処すべきだった。しかし、官邸の力をもってしても組織委をなかなか制御できなかった。内閣支持率が下がり、(国会で)安保法案を強行採決した翌日に、ようやく白紙撤回となった。終戦間際の日本と似ている。(米国などによる無条件降伏勧告の)ポツダム宣言は7月に発せられたが、広島、長崎に原爆が落ちるまでズルズルと受諾を先延ばしにした。天皇が御聖断を下した時は、すでに遅かった」不可解なコストの乱高下はJSCや文科省が、ゼネコンにつけ込まれたのではないかとの指摘もある。「最初から建築のプロである国土交通省に任せておくべきだった。大規模建設に実績のない文科省では、ゼネコンと交渉はできない」政府は8月28日、総工費を1550億円に抑えた新国立競技場の整備案を発表したが、冷房設備の設置を断念した。「五輪が行われる夏は蒸し暑く、クーラーがないとなると、熱中症が心配。高齢者や障害者の方も見に来るわけだから、予算が増えることになっても考え直してほしい」※ エンブレム問題とは? 5年後の祭典に望むことは? 以下全文は、スポーツ報知ウェブサイトでぜひお読みください。http://www.hochi.co.jp/topics/20150901-OHT1T50029.html* * *「日本国の研究」事務局 info@inose.gr.jp━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━バックナンバーはこちら。 http://www.inose.gr.jp/mailmag/ご意見・ご感想はメールでどうぞ。 info@inose.gr.jp猪瀬直樹の公式ホームページはこちら。 http://www.inose.gr.jp/○発行 猪瀬直樹事務所○編集 猪瀬直樹○Copyright (C) 猪瀬直樹事務所 2001-2015○リンクはご自由におはりください。ただしこのページは一定期間を過ぎると削除されることをあらかじめご了解ください。記事、発言等の転載については事務局までご連絡くださいますよう、お願いします。 -
[MM日本国の研究860]「警備業の礎をつくったピンカートン探偵社」
⌘ 2015年08月27日発行 第0860号━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■■■ 日本国の研究■■■ 不安との訣別/再生のカルテ■■■ 編集長 猪瀬直樹**********************************************************************http://www.inose.gr.jp/mailmag/◉--------------------------------------------------------------------◉━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【好評発売中!】田原総一朗×猪瀬直樹『戦争・天皇・国家』(角川新書)なぜ日本国は意思決定ができないのか?「なるほど『戦後レジーム』でなく『黒船レジーム』で考えると“現代”がよくわかるのですね!」(読者の声)「目からウロコの日本近現代史!」(読者の声)□ 戦後論ではみえない“日本国”の正体 ■□ 帝国主義の脅威は現在も続いている! ■□ 史実を直視し、未来を語れ! ■↓アマゾンはこちら↓http://goo.gl/mJZb8G○------------------------------------------------------------------○◇ 猪瀬直樹のオンラインサロン「近現代を読む」 会員募集中です!◇↓↓↓http://synapse.am/contents/monthly/inosenaokiこのサロンは、戦前・戦後の知識人や事件を参考図書と共に取り上げ、学べる参加型のオンラインサロン。激動の昭和時代、確かにあった知識と経験を、現代の視点から再び読み解き語ります。憂国の視点を持ちつつ安直な国家批判や既得権益批判は決してしない、作家・猪瀬直樹ならではのファクトとエビデンスに基づいた批評と、現代に活かす前向きな姿勢を保つ、日本の課題を考える現代の教養塾です。既存のメディアとは一味違う、新しい活字体験と思考体験をお約束します。○------------------------------------------------------------------○日本の「安心・安全」はどうして成り立ってきたか――。敗戦・占領、再武装、復興の象徴・東京五輪警備……。民間警備会社の黎明期の秘話から戦後史の謎を解き明かす猪瀬直樹の意欲作「民警」が「週刊SPA!」誌上で大好評で連載中です。今回のメルマガでは、まだ読んでいない読者のために、特別に発売中の最新号「警備業の礎をつくったピンカートン探偵社」から、さわりをお届け!「19世紀半ばのアメリカにつくられたピンカートン探偵社は、公警察の力が及ばない時代に、贋金造りや列車強盗や殺人など、無法地帯で起きる犯罪を防ぐ警備業として生まれた。後のFBIやCIAの捜査手法のすべての基礎をつくったことで知られている……」全文はぜひ書店・コンビニで本誌をお求めください。・週刊SPA!の電子版→ http://www.magastore.jp/product/27821・紙版はアマゾン→ http://goo.gl/EK5oyH*「警備業の礎をつくったピンカートン探偵社」民間軍事会社ブラックウォーター社が2007年にイラクのバクダッドで起こした一般市民14名の殺害と18名への傷害事件は、ようやく2014年に刑事責任を問う裁判が始まった。その仔細はジェレミー・スケイヒル著『ブラックウォーター─世界最強の傭兵企業』に記されているが、ブラックウォーター社副社長は民間軍事会社の役割に言及するにあたってこう述べた。「エイブラハム・リンカーンが就任式に臨もうとしたとき、ピンカートン社以外に自分を警護できる会社を見つけられなかったことを思い出す。ピンカートン社は、米国の新大統領を警護するという問題に対する民間セクターを使った解決策だった」ピンカートン探偵社がかつて、19世紀にリンカーンの警護をして大統領就任直前の暗殺計画を未然に防いだ、という事実はアメリカではよく知られている。それを踏まえて、ブラックウォーター社はやや開き直りの弁明をしているのである。探偵というとコナン・ドイルのつくったシャーロック・ホームズも、あるいは日本の江戸川乱歩の明智小五郎シリーズも、いわば謎解きによって犯人を見つける仕事として描かれている。1819年生まれのピンカートンが19世紀半ばにつくった会社は、公警察の力が及ばない時代に、贋金造りや列車強盗や殺人など、無法地帯で起きる犯罪を防ぐ警備業として生まれた。智恵較べで謎を解くのではなく、工作員を派遣して潜入捜査をしたり、オトリ捜査をしたり、司法取引をしたり、後のFBIやCIAの捜査手法のほとんどすべての基礎をつくったことで知られている。リンカーン暗殺未遂事件も、暗殺グループの噂を聞き、ピンカートン社の探偵が慎重に内偵し、相手側に潜入することで秘密裏に情報を入手し、土壇場で出し抜くという方法を用いた。シャーロック・ホームズの『恐怖の谷』には、英国ではなく米国の1875年の冬の風景が描かれているが、ピンカートンの時代の雰囲気がよく表わされている。「夜行列車がヴァーミッサ谷の上方にあるこのへんの中心地ヴァーミッサの町をさして、急傾斜をあえぎながら登っていた。ここからバートン交差点へかけて線路は下りで、ヘルムデールをすぎ、純然たる農業地のマートンへと通じている。鉄道は単線だけれど、いたるところに側線があって、石炭や鉄鉱を満載したおびただしい数の貨車が行列をしており、地下に埋蔵された豊富な資源が、アメリカ合衆国でもとりわけ人煙まれだったこの地方に、多くの荒くれ男どもを引きつけ、一種の繁栄を来していることを語っていた」産業革命は勢いがすさまじい。ゴールドラッシュの時代、ヒト、モノ、カネが広大な風景を一変させ、欲望と無法がないまぜに荒れ狂う。『恐怖の谷』は1部と2部に別れて独立した作品のように書かれており、1部はホームズが相棒ワトソン博士と謎を解いていくのだが、2部は文体がハードボイルド風に転調し、ハリウッド映画のようなテンポで物語が展開する。先に引用したのはその2部の冒頭である。この無法地帯に「中肉中背の男で、三十歳を越したばかり」の人物が潜入して荒くれ男たちの仲間、結社に加わっていくのだ。敵対する人物を平気で殺すボスは、当初は新参者を疑い、試すような試練を課すが、しだいに信用するようになっていく。その人物がピンカートン探偵社の潜入工作員であることは読者には知らされない。終幕に近づいたころ、探偵が潜入しているらしい、との噂があって、こんな会話が出てくる。「なんだ、ばかなことをいうな! ここにゃ巡査や探偵がうようよしているじゃないか。それで一度だって損害をうけたことなんかありゃしないじゃないか」「いいや、こんどのはこの土地の探偵じゃない。なるほどこの土地の探偵なら、知れたもんだ。たいしたことはできやしない。しかしピンカートン探偵局の名は聞いているだろう?」「そんな名は何かで読んだことがあるな」「うそはいわないが、あいつらにねらわれたら、君だってあごを出すぜ。ここいらにいる『できたらやる』政府の連中とはことが違う。真剣でとっくんできて、どんな手段によっても、かならず目的を遂げずにはおかない。だからピンカートン探偵局のやつに、本気で向かってこられたら、われわれはまず根こそぎだね」舞台となる1875年は、ピンカートン社がそれなりに実績と名声を得た時期だった。(週刊SPA!9月1日号掲載「民警」より抄録)*全文はぜひ書店・コンビニで本誌をお求めください。・週刊SPA!の電子版→ http://www.magastore.jp/product/27821・紙版はアマゾン→ http://goo.gl/EK5oyH* * *「日本国の研究」事務局 info@inose.gr.jp━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━バックナンバーはこちら。 http://www.inose.gr.jp/mailmag/ご意見・ご感想はメールでどうぞ。 info@inose.gr.jpメールアドレスの変更の方はこちら。 *|UPDATE_PROFILE|*配信解除の方はこちら。 *|UNSUB|*まぐまぐの配信解除は http://www.mag2.com/m/0000064584.html猪瀬直樹の公式ホームページはこちら。 http://www.inose.gr.jp/○発行 猪瀬直樹事務所○編集 猪瀬直樹○Copyright (C) 猪瀬直樹事務所 2001-2015○リンクはご自由におはりください。ただしこのページは一定期間を過ぎると削除されることをあらかじめご了解ください。記事、発言等の転載については事務局までご連絡くださいますよう、お願いします。 -
[MM日本国の研究859]「官僚主権の国、『縦割り』の呪縛」
⌘ 2015年08月13日発行 第0859号━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■■■ 日本国の研究■■■ 不安との訣別/再生のカルテ■■■ 編集長 猪瀬直樹**********************************************************************http://www.inose.gr.jp/mailmag/◉--------------------------------------------------------------------◉━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【速報】終戦記念日未明の14日(金)深夜の「朝まで生テレビ」に猪瀬直樹が出演、戦後70年スペシャルで、深夜1:55~放送開始!詳しくは→ http://www.tv-asahi.co.jp/asanama/contents/theme/cur/【好評発売中!】田原総一朗×猪瀬直樹『戦争・天皇・国家』(角川新書)なぜ日本国は意思決定ができないのか?「なるほど『戦後レジーム』でなく『黒船レジーム』で考えると“現代”がよくわかるのですね!」(読者の声)「目からウロコの日本近現代史!」(読者の声)□ 戦後論ではみえない“日本国”の正体 ■□ 帝国主義の脅威は現在も続いている! ■□ 史実を直視し、未来を語れ! ■↓アマゾンはこちら↓http://goo.gl/mJZb8G○-----------------------------------------------------------------○「官僚主権の国、『縦割り』の呪縛敗戦も新国立競技場の迷走も同じ病根」(「夕刊フジ」8月11日号への寄稿より)日本社会の転換点を先の大戦での敗北に位置づけ、「戦前」と「戦後」を非連続に扱うのは間違いである。国家の主権が天皇に帰属する「天皇主権」の世の中から、敗戦によってその主権が国民に移り、「国民主権」に変わった――とする見方だ。だが、この認識は本質を見誤っている。日本社会の構造は、「戦前」も「戦後」も変化はない。近代化を主導した官僚が主権を握る「官僚主権」の国なのである。それはすなわち、官僚組織の宿痾(しゅくあ)ともいえる「縦割り」の呪縛に縛られ続けていることをも示している。日本は、国家として意思決定する統合機能を持たなかったがために戦争の泥沼に突入し、負けた。私は、その過程を拙著『昭和16年夏の敗戦』(中公文庫)で書いた。日米開戦直前の昭和16(1941)年夏、当時の帝国政府は、各省庁や民間企業から若手エリートを集めて「総力戦研究所」を立ち上げた。模擬内閣をつくり、日米戦争のシミュレーションをするためだ。彼らは、あらゆるデータを分析し、「敗戦必至」という結論に行き着いた。戦争継続の絶対条件は、インドネシアの石油補給路を確保することだった。そこで彼らは、石油を運搬する商船が撃沈される確率と日本の造船能力を分析した。撃沈率が製造率を上回れば、戦勝のシナリオは崩れ去る。導き出されたのは、「補給路は断たれる」、つまり「敗戦」という答えだった。大本営も同じく戦況分析を行ったが、権益をめぐって対立する陸軍と海軍が、戦争遂行のために最も重要な石油の備蓄量を隠し合った。そのために正確な分析ができず、開戦になだれ込んだ。引き返すポイントがあったのに、組織の「縦割り」の壁を越えられなかった。この構図は、2020年東京五輪に向けた新国立競技場の建設問題でも繰り返された。文部科学省やJSC(日本スポーツ振興センター)が、組織のしがらみにとらわれて情報を共有できず、正しい意思決定がされないままにあの混乱を招いた。思えば、明治や大正の時代には明治維新を成し遂げた元老たちがいた。彼らは、官僚組織の「縦割り」を飛び越えた意思決定と国家運営ができる存在だった。昭和に入り、元老たちの強力なリーダーシップは失われて硬直化した官僚組織だけが残った。そして、残された官僚らによる「戦略なき国家運営」の末路が70年前の敗戦だったのである。戦後、米国の傘の下に入り、安閑と過ごしてきた多くの日本人は、その病巣にも気づかず、脱却できずにいる。新国立競技場をめぐる迷走がそのことを図らずも証明した。いま一度70年前の敗戦の意味を問い直すべき時が来ている。* * *◇ 終戦記念日未明の14日(金)深夜の「朝まで生テレビ」に猪瀬直樹が出演、戦後70年スペシャルで、深夜1:55~放送開始!詳しくは→ http://www.tv-asahi.co.jp/asanama/contents/theme/cur/◇ 日本の「安心・安全」はどうして成り立ってきたか――。敗戦・占領、再武装、復興の象徴・東京五輪警備……。民間警備会社の黎明期の秘話から戦後史の謎を解き明かす猪瀬直樹の意欲作「民警」が「週刊SPA!」誌上で大好評連載中。発売中の最新号の第12回は「家業での修行ののちもたげてきた独立心」「敗戦から10年。貧しさは消えたわけではないが、市井の人々の日常は活気に満ちていた。進駐軍に反感を抱いた少年は青年となり、父の家業を継ぐこととなった……」ぜひ書店・コンビニで本誌をお求めください。・週刊SPA!の電子版→ http://www.magastore.jp/product/27260・紙版はアマゾン→ http://goo.gl/qSXsQz*「日本国の研究」事務局 info@inose.gr.jp━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━バックナンバーはこちら。 http://www.inose.gr.jp/mailmag/ご意見・ご感想はメールでどうぞ。 info@inose.gr.jp猪瀬直樹の公式ホームページはこちら。 http://www.inose.gr.jp/○発行 猪瀬直樹事務所○編集 猪瀬直樹○Copyright (C) 猪瀬直樹事務所 2001-2015○リンクはご自由におはりください。ただしこのページは一定期間を過ぎると削除されることをあらかじめご了解ください。記事、発言等の転載については事務局までご連絡くださいますよう、お願いします。
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