オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第122回 常夏の国で生きる女の秋のウラガワ(2)
◆もくじ◆
・常夏の国で生きる女の秋のウラガワ(2)
・最近の志麻子さん
TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中
11/22(火)ロフトプラスワンにて「志麻子の怪談『手鞠歌』」開催
11/25(金)NHK BSプレミアム ドラマ出演!
「トイズマガジン」で、AV女優の香西咲さんとの対談記事掲載
3月に台北ツアーが開催
「岩井志麻子の千夜玩具物語」連載中
カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中
・著者プロフィール
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前号にひきつづき、台湾で会った女たちのエピソードをお届け。
台北市内のバーで人気の湾美と台子(仮名)。
いまは日本人駐在員向けの店で働き一位争いをする二人だが、経歴はそれぞれ色濃く異なっていて……。
バックナンバーはこちらから↓
http://ch.nicovideo.jp/iwaishimako/blomaga
2014年11月「「そんなプロもありか」な人達のウラガワ」
12月「「殺人者」たちから聞いたウラガワ」
2015年1月「「大人の冬休みの日記」なウラガワ」
2月「「大人の冬休みの日記のつづき」なウラガワ」
3月「ベトナム愛人との旧正月のウラガワ」
4月「春の喜怒哀楽のウラガワ」
5月「韓国人夫の失踪届けを出したら……のウラガワ」
6月「ホラー作家まわりの怪異のウラガワ」
7月「異国の夏休みのウラガワ」
8月「そろそろ怖い目に遭う予感のウラガワ」
9月「秋風に謎めく過去のウラガワ」
10月「人生の秋を生きる女達のウラガワ」
11月「「結婚」に振り回される女達のウラガワ」
12月「出版業界の仕打ちのウラガワ」ほか
2016年1月「会えなかったけど気になる女たちのウラガワ」
2月「接点がないのに気になる人たちのウラガワ」
3月「嘘をつかずにいられない人たちのウラガワ」
4月「春のおかしなお便りの数々のウラガワ」
5月「距離感のおかしい人たちのウラガワ」
6月「台湾から連れてこられたある女性のウラガワ」
7月「大人の夏の観察日記のウラガワ」
8月「大人だからわかる怖い話のウラガワ」
9月「『志麻子のヤバモンGO』なウラガワ」
10月「取り返せない夏の思い出のウラガワ」
※上記以前のバックナンバーをご購入希望の方は、本メルマガ下部記載の担当者までお知らせください。リストは下記です。
2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ/ソウルの新愛人のウラガワ/風俗嬢の順位競争のウラガワ/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ/「大人の夏休みの日記」なウラガワ/その道のプロな男たちのウラガワ
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先日、毎週木曜にレギュラー出演しているテレビ番組で遅すぎる夏休みをもらった。となるともう、外国に旅行したくてたまらなくなった。
けれど夫がいる韓国にずっと滞在ではなく、台湾経由でベトナムというルートを選んでしまったところに、今の私が集約されている。
仲良しの女友達がいる台北、長年の愛人がいるホーチミン。今の私には夫より、女友達と愛人が居心地よい存在な訳だ。夫を嫌いになったのではないが。
なのに今月は友達や愛人についてではなく、私には通りすがりに近い女や、さほど濃い関係ではない、一対一で会うこともないし現地でしか会えない女達について書いている。
彼女らの国には夏しかないが、私はその国に行っても「今、私は秋を生きている」と感じる。私が心惹かれた夏の国の女達もまた、女の秋を生きていた。
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前回書いた台北市内のバーの話では、ダメダメなホステスのリンダ(以下、登場人物はすべてここだけの仮名)が主役になっていたが。
チーママも任されていて人気の湾美もまた、なかなか劇的な人生を送っている女だった。スタイルよくて可愛い顔だちなので若く見えるが、実際は四十も間近。
湾美とともに、もう一人その店で気に入ったホステス台子を誘ってご飯を食べに行った。そこでいろいろ、身の上話も聞かされた。
二人とも日本人駐在員向けの店で指名の一位争いをしているくらい魅力もあるし、なんたって日本語堪能だからね。
まだ二十代の台子は、親が離婚して母子家庭で育ち、母親が頑張ってお嬢さんの私立に入れてくれたけどグレて中退して水商売を転々として、離婚も経験。
もう男は懲り懲りで、一人で気楽に暮らしていきたい……という、もちろん彼女なりの苦労はたくさんしてきたのだけれど、よくあるパターンの境遇といえばいえる。日本語も、好きな日本アニメや映画などで覚えたというし。
しかし湾美は、まず出生からしてファンキーだ。お母さんもお祖母さんも水商売家系で、お母さんが惚れっぽい女だったようで、湾美は五人兄弟姉妹なのはいいとして、全員が父親違い。湾美は、実の父親の顔も名前も知らない。
お母さんの正式な結婚は末っ子の父親だけで、その人ともお母さんは離婚しているとか。
湾美は高校には進学せず、歳をごまかして十五くらいから水商売。十八のとき悪い知り合いにだまされ日本に売り飛ばされ、東京で風俗をやらされた。日本語が上手いのは、そのときの辛苦の賜物なのだった。
ともあれその頃に親しくなった日本男の子を妊娠してしまうが、男はバックレる。
病院に行くにもお金がなくて先延ばしにしているうちに、かなりお腹の子は育ってしまった。中絶にはぎりぎりかと、思いきって病院に行ったら。