オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第138回 木の芽時な人達のウラガワ(3)
◆もくじ◆
・木の芽時な人達のウラガワ(3)
・最近の志麻子さん
6月に角川ホラー文庫より『現代百物語 不実』発売予定
TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中
「岩井志麻子のおんな欲」連載中
カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中
・著者プロフィール
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春はいわゆる「木の芽時」。
心の変調も多い季節、「木の芽時」な人たちをテーマにお送りしてきた今月。
岩井さんがゴールデン街で飲んでいたら隣に来た、魚と馬を混ぜたような顔の女は……。
妹思いのカズオさんが語る妹のヨーコさんが、芸能人のブログなどを見るうち言い出したのは……。
知り合いの編集者が語った「売り込みにくる人たち」の話を聞いて、岩井さんが思い出したのは……。
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2014年11月~15年12月のバックナンバーは、「月別アーカイブ」の欄からご覧ください。
2016年1月「会えなかったけど気になる女たちのウラガワ」
2月「接点がないのに気になる人たちのウラガワ」
3月「嘘をつかずにいられない人たちのウラガワ」
4月「春のおかしなお便りの数々のウラガワ」
5月「距離感のおかしい人たちのウラガワ」
6月「台湾から連れてこられたある女性のウラガワ」
7月「大人の夏の観察日記のウラガワ」
8月「大人だからわかる怖い話のウラガワ」
9月「『志麻子のヤバモンGO』なウラガワ」
10月「取り返せない夏の思い出のウラガワ」
11月「常夏の国で生きる女の秋のウラガワ」
12月「冬を生きながら春を待つ女達のウラガワ」
2017年1月「自分を重ねてしまう若者たちのウラガワ」
2月「冬に聞いた奇妙な怪談のウラガワ」
3月「春のさなかに聞いた怖い話のウラガワ」
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2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ/ソウルの新愛人のウラガワ/風俗嬢の順位競争のウラガワ/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ/「大人の夏休みの日記」なウラガワ/その道のプロな男たちのウラガワ
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確かに春って、ポカポカ陽気や満開の花、新しい人生のスタートといっためでたい行事や季語にあふれてはいるけれど。それにともなう体調の変化、だからこそ強まるストレス、諸々の不安定さが引き起こす心の変調も多いのだ。
いわゆる、木の芽時。心身のバランスを崩した人を、そう呼ぶ習わしがある。今月はそういった、木の芽時な人々をテーマにしてきた。
そのラストの回は、単独では一章を割けない小物達を一挙まとめて紹介する。
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先日、同世代で同業者の仲良しペコ(とりあえずここだけの仮名)とゴールデン街で飲んでいたら、なんとなく魚と馬を混ぜたような顔の女が隣に来た。
ワンレンに、デコにのっけたサングラス、なつかしのバブル期みたいなファッションで、隠し切れない小ジワと全身のたるみ具合からも、同世代だなと親しみすら感じたのに。
「さゆりんご」と名乗るこのオバサンは、私とペコが何者なのかを知っていた。そうして、謎の上から目線でからんできたのだ。
「岩井さんは、若いチンピラの韓国男。ペコさんは、無職のジイサンと結婚してるんでしょ。バカね~、どちらも金目当てじゃないよ。世の中の人はみんなそういう目で見てるのに、なんで本人達は気づかないわけ?バカじゃない。ううん、バカよバカ」
いやあの、わしら気づかないどころかそれを持ちネタにしてるくらいなんですが。と反論しようと思ったけど、ペコにツンツンされてとどまった。
なんかおもしろそうだからこのまましゃべらせ続けようと、ペコの目がいっていた。長年の友達だから、目と目でわかるんだよな。
「世の中の大半の人はさぁ、金目当てで近づいてくる奴を軽蔑するんだよ。大半の人はあんたらと違って、賢いの」
ここで我々ではなく店のママが、やんわりと割って入った。