オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第254回 怖い話をエンタメとして楽しみたいウラガワ(2)
◆もくじ◆
・怖い話をエンタメとして楽しみたいウラガワ(2)
・最近の志麻子さん
【配信版】オメ★コボシ 8/2まで
『業苦 忌まわ昔(弐)』角川ホラー文庫から発売中
TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中
「岩井志麻子のおんな欲」連載中
カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中
・著者プロフィール
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半世紀以上生きてきても、初めての経験である新型肺炎の流行。
疫病の怖さもさることながら、いろんな意味で人の怖さも味わった。
幽霊や妖怪を怖がっていたこれまでの夏、なんて楽しい怖がり方ができた季節だったか。
本来怪談シーズンの七月、「こういうのを怖がりたい」というテーマでお届け。
以前に青木ヶ原樹海を案内してくれた男性が、近所周りで見つけたものは……。
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2014年11月~18年12月のバックナンバーは、「月別アーカイブ」の欄からご覧ください。
2019年1月「去年に縁があったあれこれのウラガワ」
2月「台湾で初めて会った人たちのウラガワ」
3月「胸に引っかかる人を思う春のウラガワ」
4月「こういう人いるよねという出会いのウラガワ」
5月「働くということについて考えたウラガワ」
6月「私なりのプロファイリングをしてみたウラガワ」
7月「芸事業界の人たちの願いごとのウラガワ」
8月「怖さひかえめな怖い話のウラガワ」
9月「まだ挽回できるかどうか気になるウラガワ」
10月「なぜか惹かれる未解決事件のウラガワ」
11月「今頃になってわかってきた出来事のウラガワ」
12月「とりあえず終えたかな、というウラガワ」
2020年1月「愛しい南国の怖い話のウラガワ」
2月「ひきつづき東南アジアの怖い話のウラガワ」
3月「どこか心残りの別れのウラガワ」
4月「未経験な世の中のあれこれのウラガワ」
5月「「あの人実は」「あの人やっぱり」のウラガワ」
6月「アマビエ的なものや人のウラガワ」
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2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ/ソウルの新愛人のウラガワ/風俗嬢の順位競争のウラガワ/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ/「大人の夏休みの日記」なウラガワ/その道のプロな男たちのウラガワ
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半世紀以上生きてきても、初めての経験というものはいろいろあるものだ。春に猛威を振るった新型肺炎も、その一つ。
疫病の怖さ、見えないものの怖さもさることながら、改めていろんな意味での人の怖さも、嫌というほど味わった。
陽気でのんきだった仲良しが、いわゆる自粛警察になってぴりぴりしているのを目の当たりにしたり、逆に真面目だった人が無謀な冒険、暴挙に走るのを見てしまったり。
子どもの頃から怖いもの全般が好きで、ホラー作家になってしまったほどの私だが。幽霊や妖怪を怖がっていた夏が、なんて楽しい怖がり方ができた季節だったかと泣いた。
どうにか新型肺炎も収束に向かいつつある、そして本来の怪談シーズンの七月は、そんなふうに「こういうのを怖がりたい」というテーマでお送りする。
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数年前になるが、青木ヶ原樹海に詳しい男性に案内され、首吊り遺体を目の当たりにしてしまったことは以前にも書いた。
温厚な変態紳士である彼が、自粛要請がやや緩んできた時期に近所周りを散歩し、
「あっ、これは」
というものを見つけてしまったのだという。
「アパートの一階にある部屋で、サッシ戸とカーテンの隙間に、びっしり蠅がたかっているんだよ。まだ蠅が飛ぶには、ちょっと早い時期。
あきらかに、部屋の中に『餌』があるんだよね。しかも、その蠅の大きさがゴキブリかっていうほどデカいの。
ものすごく栄養豊富な『餌』が、たっぷりあるってことだよ。
ぼくは青木ヶ原樹海で、蠅をよく観察してたからわかるけど、三世代は経ていたね。近所で垣間見たやつは、最初にその『餌』に飛んできた蠅の、孫くらいだよ」