オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第255回 怖い話をエンタメとして楽しみたいウラガワ(3)

◆もくじ◆

・怖い話をエンタメとして楽しみたいウラガワ(3)

・最近の志麻子さん 
 【配信版】オメ★コボシ 8/2まで
 『業苦 忌まわ昔(弐)』角川ホラー文庫から発売中
 TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中

 「岩井志麻子のおんな欲」連載中
 カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
 MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中

・著者プロフィール

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新型肺炎の流行があって、
今年の夏は初めて、幽霊やお化けにきゃあきゃあいえるのは幸せなことだと実感した。
怖いものは、エンタメとして楽しみたい。
とりあえず夏は怪談を、おもしろがれる怖い話を楽しみたい。

小学生くらいの子どもの頃、女の子では、霊感が強いふりや超常能力があるといいだして注目を集める子がいたものだ。
同業者の女性の同級生でもそういった子が居たのだが、彼女は「霊媒系」ではなく「魔女系」で……。

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2014年11月~18年12月のバックナンバーは、「月別アーカイブ」の欄からご覧ください。
2019年1月「去年に縁があったあれこれのウラガワ
2月「台湾で初めて会った人たちのウラガワ
3月「胸に引っかかる人を思う春のウラガワ
4月「こういう人いるよねという出会いのウラガワ
5月「働くということについて考えたウラガワ
6月「私なりのプロファイリングをしてみたウラガワ
7月「芸事業界の人たちの願いごとのウラガワ
8月「怖さひかえめな怖い話のウラガワ
9月「まだ挽回できるかどうか気になるウラガワ
10月「なぜか惹かれる未解決事件のウラガワ
11月「今頃になってわかってきた出来事のウラガワ
12月「とりあえず終えたかな、というウラガワ
2020年1月「愛しい南国の怖い話のウラガワ
2月「ひきつづき東南アジアの怖い話のウラガワ
3月「どこか心残りの別れのウラガワ
4月「未経験な世の中のあれこれのウラガワ
5月「「あの人実は」「あの人やっぱり」のウラガワ
6月「アマビエ的なものや人のウラガワ


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2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ​/ソウルの新愛人のウラガワ​/風俗嬢の順位競争のウラガワ​/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ​/「大人の夏休みの日記」なウラガワ​/その道のプロな男たちのウラガワ​

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 夏といえば、怪談の季節。子どもの頃から怪談やホラーな小説、漫画、ドラマなどに夢中になっていた私だが。

 今年の夏は改めて、幽霊やお化けにきゃあきゃあいえるのは、なんて幸せなことだろうかと感謝の気持ちを捧げたい。

 春の新型肺炎の蔓延は、真に怖いものを教えてくれた。誰かにいつの間にか感染させられ、自分も誰かに感染させるかもしれない伝染病。そして、そこからあぶり出され浮かびあがってきた、私も含め一見普通の人間の暗い側面や危ない裏面。

 幽霊やお化けは、無関係な人に取り憑いたりする場合もあるが、だいたいが恨みを買ったり何か関わってしまったり、というこちらにも原因や理由がある場合が多い。
 恨みを晴らせて良かったね、そりゃ自業自得だ、やっぱりバチは当たるもんだなぁ、みたいに、めでたしめでたし、に近い終わり方の怖い話もたくさんある。

 でも感染症は、違う。蔓延している地域に行くとか、予防しなかったとか、リスクの大きなことをしてしまった、というのはあるとしても。
 何も恨まれるような悪いこと、罰が当たるような不届きなことをしなくても、感染してしまうんだよ。こっちにその気はなくても、感染させてしまうんだよ。天災もだけど、無垢な子どもや良い人も容赦なく襲うのだ。
 だから、新型肺炎がどうにか収束に向かい、エンタメとして楽しめる怖いものの季節が来たのがなんともうれしいのだ。

 まだまだ油断はならないが、とりあえず夏は怪談を、おもしろがれる怖い話を楽しみたい、というのが今月のテーマだ。

                    ※

 何度かこれをテーマに書いてきているが、勉強、スポーツ、実家や親、何かの特技や芸術的分野の才能、容姿、といったわかりやすい抜きん出たもの、自慢できるものが無い子が、どうにかして目立ちたい、特別視されたい、と思ったとき。

 虚言症になるというのを除けば、だいたい三つくらいの手段があった。男の子がよくやるのは、非行に走る、不良グループに入る、ワルぶる。女の子がやりがちだったのは、病弱なふりをする、難病にかかっている設定にする、だ。

 そしてこれも、だいたい女の子の方が多かったかなぁと思い出すのは、霊感が強いふり、超常能力があるといい出すことだ。

 私の場合、栴檀は双葉よりなんとやらよ。怖い話をするのが得意だったもんだから、霊感はなくても「怖い話なら志麻子ちゃんじゃ」となっていて、悪目立ちはでき、変な承認欲求も満たされていた。現在に至るまで、それで生きているのだ。

 さて。同業者の香苗さんが小学生の頃、同級生に美保ちゃんというのがいた。良くも悪くも何ら目立つもののない子だったが、例によって霊感あるある一派の一人だった。

 しかし美保ちゃんの場合、ちょっとひねってあったというのか。あっ、あそこに白い着物の女が立ってる、とか、事故があった道に血まみれの子どもがいるのを見た、といった主流派の「見た」「見える」系ではなかった。

 願いを叶える魔法が使える、呪いをかけられる、いろんなおまじないを知っている、という、霊媒系ではなく魔女系だった。

 しかし、そこそこ美保ちゃんは評価もされていたのだ。香苗さんがいうには、今から思えば占い師のありがちなテクニックの一つよ、とのことだ。