菊池:古馬牝馬による春の頂上決戦・ヴィクトリアマイルが終了しました!
回顧しましょう。その前に、まずは単複的中お見事でした!
京介:特注馬にも推奨していたんだけど、ギリギリのところで何とか買えてよかったよ。
菊池:単勝が2,830円(28.3×2,000円=56,600円)、
複勝が760円(7.6×2,000円=15,200円)で、この1枚で71,800円ですか。
京介:もちろん他の馬券も持っていて、馬単は2着がストレイトガールなら
500円分持っていたんだけど、メイショウマンボにやられちゃったね。
菊池:とは言え、お見事!さぁ、楽しく回顧できますね!(笑)。
~~ヴィクトリアマイル回顧~~
京介:もう最近の東京競馬場は、天気予報をする必要もないぐらい好転続きだね。
今週は火・水でぐずつくようだけど、週末は必ず好天に戻るサイクルになっている。
菊池:好天の競馬が続いて何よりです。ダービーまでこの調子だといいですね。
京介:芝もピカピカと言うかキラキラと言うか、密に生え揃っていて
本当に絶好の馬場状態だよ。おまけに今週はBコースに移動して、
内ラチ沿いの荒れた部分がそっくり隠れたからね。
菊池:その効果もあってか、内有利・先行有利の傾向が目立ちましたね。
京介:そうだね。先週末の芝は、土曜日の時点で結構先行有利だったけど、
日曜日はさらに極端なほどに内ラチ沿い有利。逃げた馬が4鞍で馬券に絡んで、
全レースで1・2番枠の馬が連対していた。
菊池:内枠有利もかなり顕著でしたね。
外めの枠で連対できたのは、逃げか1列目2番手の馬のみでした。
京介:道中内ラチ沿い2頭分を通っていないと話にならず、外差しがほぼ通用しない、
中・外枠不利な状況だったんだよね。ちょっとこれは偏りすぎたな~。
ここまでなっちゃうか。当日気づけたのは大きかったけども。
菊池:こういった背景があってのヴィクトリアマイルでした。
まずはパドックから振り返っていただけますか。
京介:パドックもちょっと不満はあったね。
いい仕上がりでまとめて来た、と言う馬は多かった。
だけどストレイトガールはG1直後のレースで飛節に硬さはあるし、
メイショウマンボは腰周りが細くまだ戻り切ってない感じだし、
中山牝馬Sで好走していた馬は、連戦の影響かだいぶ細くなっているし…。
菊池:状態面でベストとは言い切れない馬が多かったのでしょうか。
京介:いろんな背景があって、おそらくはベストのデキで臨むことが
なかなか難しいローテーションにあるレースなのかなあと、改めて思ったよね。
菊池:さて、あれほど逃げ切りが難しいと言われた東京のマイルGⅠで
2週続けての逃げ切りが決まりました。
京介:展開は…ぶっちゃければ、ヴィルシーナが昨年の焼き直しをしたということ。
昨年とちょっと違うのは、中盤のリードの仕方だね。
ケイアイエレガントよりも速いスタートを決めて、押しての逃げ。
前半3F34秒7は例年並みのペースで、昨年のヴィルシーナの通過順と同等。
菊池:先頭を走っていただけで、ほぼ昨年並みのペースだったということですね。
京介:ここから3~4コーナーを、2番手のクロフネサプライズに並ばせずに離し、
後ろの集団が脚を溜めていた時に僅かにリードしていて、
4コーナーの入りでもまだ隊列がやや縦に長い形。
ラスト2F目でも隊列は斜め3角形のまま。
ヴィルシーナは最後までハロン11秒5平均で進んで、最後も脚が止まらず。
菊池:2番手のクロフネサプライズがバテて、3番手にいたケイアイエレガントは、
「これ以上速いタイムで上がれない」という感じになっていました。
京介:ヴィルシーナの上がり3F34秒3は、下から数えて3番手ぐらいで、
他の有力差し馬は軒並み上がり33秒前半なんだから、
一見すると「差し馬のスパートが遅すぎ」と思うところ。
だけど、ヴィルシーナは1分32秒3と言うかなり速いタイムで走り抜いているし、
前後半+中盤を考えるとほぼ完璧なイーブンペースでまとめたのが偉い。
内田博幸騎手がこの馬の能力を上限限界で引き出したと思った方が良いね。
菊池:スタートから先手を奪うまでの競馬ぶりを見るに、
「ハナを切ろう」という覚悟を感じました。
京介:また、これまで2戦して11着→11着と大敗していたヴィルシーナが、
今回のような高いレベルの走り・粘り込みをするとは、
他の各騎手は思ってなかったんじゃないか。それは感じるんだよね。
菊池:逃げた時点で、ある程度見切っていた騎手もいたのかもしれませんね。
人気を背負っていたホエールキャプチャ。
そしてスマートレイアーまでもが先団直後の高い位置を取っていました。
京介:ケイアイエレガントやキャトルフィーユをマークすることはあっても、
ヴィルシーナまで射程に入れて競馬してない…というのが、
メイショウマンボ武幸四郎騎手の4角通過時のチラ見
(スマートレイアー完全マーク⇒直線は幅寄せしたあとに最内)や、
ストレイトガールの岩田騎手の直線の仕掛けに現れていたと思う。
菊池:他の騎手にもそういった動きは見られました。
京介:ホエールキャプチャの蛯名騎手も、スマートレイアーを閉じ込めつつ
キャトルフィーユを凌いだところまでで、結構脚を使っている。
トップスピードに乗りつつ直線坂上あとは我慢するだけ、と思っていた方は、
なんであそこからヴィルシーナがもう一伸びするんだよ!と思ったんじゃない?
菊池:先週のミッキーアイルですら、あれだけ迫られたことからも、
「やはり東京マイルを逃げ切るのは至難の業」という印象が、
各ジョッキーにもあったのかもしれません。我々競馬ファンもそうでしたしね。
京介:有力陣営の思っていた以上に、東京競馬場の馬場が良すぎた。
そして、有力陣営の思っていた以上に、ヴィルシーナが粘りすぎ。
もちろんヴィルシーナの復調を信じて立て直した陣営にまず拍手、
そしてパーフェクトに乗った内田博幸騎手も褒めるべきだけど、
「事前に材料が出揃った状態」と思われたところを裏切るような
激走を見せた馬が勝った、が本当のところかな。
菊池:僕も一応、ヴィルシーナに上位の印を回したのですが、
正直、逃げるとまでは思っていませんでした。2~3番手を想定していました。
【 ヴィルシーナ 】
菊池:まずは懸念された状態面ですが。
京介:馬体は細いと思わなかったんだよね。
後肢もお尻もそれほど膨れるような馬ではないんだけど、
腰周りに最低限許せる筋肉がついていて、後肢も良く後ろに伸びていた。
新エクイロックス装蹄なのは変わっていなかったけど、
内側を確認して蹄の補正が広かったわけでもなかったし。
前日にも自分は注目していたから、高く評価はしておきました。
菊池:やはり今回は調教が良かっただけあって、体は良かったんですね。
あとは、精神面が心配されていたのを鞍上がうまくカバーしたと。
京介:だけどホントの所、この日はとにかくスピード必須だったから、
トモが充実しているタイプじゃなくても良くて、
むしろこの馬のように飛節が細いシャープなスピード体型にとって
かなりベストの馬場状態だったと言えたのかもしれないね。
復調に手間取っていた馬が、「やや良くなった」ぐらいの上昇と、
馬場の方がこの馬に有利な状況にまで変わってくれたのとで噛み合ったと。
菊池:昨年の同舞台勝ちでしたからね。ちょうど昨年人気薄で2着に好走した
ホエールキャプチャのような復活劇でした。
京介:そしてとにかくこの開催、絶不調だった内田博幸騎手。
差しても併せ馬で競り返せないし、揉まれると全然抜け出せない。
ダートの成績も落ちているぐらいで、相当不安だったんだけど、
こういう場面だからこその、あの神スタートと腹を括っての逃げの手。
そしてペース配分も完璧だった。
絶不調にいる自分に今できることを見つめ直した「最善」を、
この場面で繰り出せたのはやっぱり騎手としての格が違うなと思ったよ。
菊池:あれこれバッシングもあってのこの復活劇。人馬ともに、よく頑張りましたよね。
京介:悪い材料をかなり多く抱えていたはずの馬だったんだけれど、
ベストの府中マイルでベストの高速決着、
そして舐められている場面だったがための盲点逃げ。
悪いカードを全てプラスに転じさせた結果の見事な勝利だったと思う。
菊池:僕はこの馬の復活も視野には入れましたが、京介さんのように
単複を買わなかったことを何より反省したいと思います。
さて、今回復活したのは良かったけれど、次走以降の取捨ですね。
特に今回買えなかった場合は悩ましくなると思います。
京介:正直、状況まで含めて今回の再現はいろいろ難しいでしょう。
これだけ力のある馬だから、と言うことで今度は競られることになるし…。
前走で馬込みに入れる競馬を試してみて、ホントに全然ダメだったから。
2着続きだった頃とは、いろいろ弱点が増えてキャラが変わっている所がある。
今後も、スピード馬場の時だけはちゃんと見直すと言う対処がいいのかな。
菊池:牝馬限定では地力上位で当然。
あとは馬場状態が向くかどうか…といったところですね。
牡馬相手になると、急に借りてきた猫みたいになるタイプなので、
過信は禁物だと思います。
【 メイショウマンボ 】
京介:いや~、オークスを見ているからやっぱり不満に思っちゃったなあ。
あの時は馬体も充実していたし、腰周り・背中の張りも抜群だったし。
今回は腰周りにくびれが出ていて、腰骨も角張っていたし、
正直まだいい状態ではなかったと思う。陣営もそれは吐露していたようだね。
菊池:復調途上だったことは間違いないでしょうね。
そして本調子でないことは、パドックからも分かったということですね。
京介:だけど今回は、レースを見ている限り枠順が大きかった。
両隣の馬がモロに出遅れるキャラで、普通のスタートで出られれば
好位キープができたというのもある。
菊池:その結果、思いのほかいいポジションを取ることができました。
もう少し後ろからになるとばかり思っていましたが。
京介:それと、G1連勝級の格がある馬は、牝馬限定戦に戻るとやっぱり違うんだね。
桜花賞で全く流れに乗れない⇒マイル適性低いんじゃないか、というのは
馬体を見ると正直そう思うけど、今回は「地力の高さ」で来ている感じ。
消耗していないローテーションで来ることができたのもあったんだろうと。
レベルがそもそも高い馬の万能感、と言うのを見せつけられた思いだね。
菊池:本質は中距離馬だろうとか、復調途上だろうとか、幸四郎騎手が府中マイルで
内をうまく捌く??とか、あれこれケチをつけたものの、
地力の高さで「えーい」と投げ飛ばされたようなレースぶりでした。
感服です。もちろん地力の高さは認めていたのですが…。
京介:この馬は今後もっと良くなってくるはず。宝塚記念には出るのかな?
ちょっと注意しておかないとなあ。
【 ストレイトガール 】
菊池:距離不安が囁かれましたが、3着に好走しましたね。
京介:本当に腰周りがバシッと決まっている、体の硬いタイプ。
中距離を走っている馬と短距離を走っている馬を比べると、
やはり「硬さ」「歩幅の窮屈さ」が目立つ感じだね。
菊池:やはり本質的にマイルはギリギリくらいの印象ですよね。
こなせなくもない…くらいの微妙なニュアンス。
京介:だからこそ、最内枠と言うのが本当に良かった。
メイショウマンボを交わしてくれれば、馬単もあったのに…。
あの4角出口で様子を見過ぎていたよなあ~。でもそれは距離不安ある馬だから、
脚が溜まっているかどうかの確認も必要だし仕方ない。
菊池:前予想では、「内枠でコソっと乗れば2~3着」の予想だったので、
この馬に関しては見立て通りでした。岩田騎手も積極的に勝ちに行くというより、
確実に着を拾いに行っての「あわよくば」的な乗り方がバッチリだったと思います。
京介:改めて、この馬にはもっと坂路調教を増やしたらどうかと思う所だね。
スピードや持続力は証明したから、体の幅が増えた方が良いタイプだと感じる。
マイル前後でやれることを証明したことは大きいし、
心身の格もかなり高い方の馬だと思うよ。
菊池:東京よりは京都の方が、平坦な分で距離も保たせやすいでしょうから、
マイルCSでも面白いんじゃないでしょうか。
【 ホエールキャプチャ 】
京介:いつも腰が甘めで、歩様がカクカクする馬だけど、それはいつも。
体つきは柔軟だったし、この馬としてはホント良い方だったんじゃないか。
おまけに今年も、1分32秒4で走破。
スマートレイアーを直線で封じる仕事をしたうえで、
直線でもう一伸びしている。内容は全く文句ないでしょ。
菊池:ただし、着順だけが伴わない0.1秒負けだったと…。
京介:今回はメイショウマンボ、ストレイトガールとは枠順の差ぐらいでしかない。
6歳馬の衰えだとも言えないでしょ。
活きのいいはずの馬に体をぶつけて競馬してまだ勝てるんだから。
人気馬としてのアヤ一つだったなあと思うよ。
菊池:そうですね。この馬の力は出し切った印象かなと思います。
京介:蛯名騎手がレース後に脚元大丈夫か?みたいな話をしていたようだけど、
そう言うのを気にするような内容じゃなかったと思う。
今回初めて、マイル戦で連対を外したけど、「負けてなお強し」という内容だった。
自分はパドックで安定感の方を感じて本命打って4着だったわけだけど、
今回はちゃんと走ってくれたと思っているよ。
菊池:さすが。ヴィルシーナの単複で他の馬券を相殺どころか儲けているだけあって、
余裕ですね!(笑)。
京介:そういうわけじゃないけどね。実際、脚も余してないし、力は出し切った内容。
ただ、これまで以上の伸びしろを見せる余地がなかった…と言えるかもね。
菊池:この後は安田記念に使う可能性もあるのでしょうか。
欲張らない競馬なら連下くらいの走りはあってもいいのかと思います。
脚元の経過次第になるとは思いますが。
【 その他 】
京介:今年の結果は・・・
『1着…昨年勝ち馬・2着…G1連勝レベル・3着…前走G1で1番人気・
4着…このレース大得意、常にG1好走』と言う決着だったよね。
おまけにローテーションを見ても、前走牝馬限定戦のG3・G2前哨戦で
好走したことが、ほとんど意味を成さなかった決着。これは事前に触れたとおりだった。
菊池:そうですね。改めて格が重要なGⅠだという証明がされた結果でもありました。
京介:流れが全然違うだけでなく、高速馬場適性+G1格と言うものが露骨に出ちゃうと
いうことかな。あの直線のせめぎ合いの厳しい場所からグッと伸びるのが、
絶好調のスマートレイアーではなくて、体調面でやや不満のメイショウマンボ
という辺り、G1格と言うものを凄く意識できる内容だと思う。
菊池:「目下絶好調」はけっこう大切だと思うのですが、同時に内枠や展開有利が
絡んでこそですね。来年以降は、格で見劣る場合は内枠か先行馬しか
印を入れないようにしないと。
京介:前哨戦のレースは、やっぱり牝馬限定戦だから、どう見積もってもIDMは65前後
なのが常。補正がいろいろあって加算されたとしても、牝馬同士で接戦している
レベルの馬からすると、ヴィクトリアマイルは天上級のレースと言うことかな。
菊池:牝馬限定戦の実績はハンデにも左右されがちですからね。
今回の4着までは、全て前走と同斤か、前走より斤量減があった馬でした。
これもまた重要なポイントかもしれません。
京介:その意味でも、今回のヴィルシーナのように、
冬場は体調不良+斤量不利もあってレースそのものを捨てていたけど、
「本番でキチンと体調を戻してくればスイッチが入る」と言うパターンの方を
重く見るべきレースなんだろうね。
菊池:加えて同コース実績も侮ってはいけないなと思うんです。
京介:また今年も、超高速決着ならサンデーの血が強いのを証明。
これだけサンデーばかりで、連覇したのがヴィルシーナだから敢えて言うのも
意味ないかもだけど、ローブティサージュやクロフネサプライズでは穴馬になれないね。
菊池:せめてホエールキャプチャのように、母父にはサンデーサイレンスの血が
欲しいということですね。
京介:馬場が良ければ内の1・2番枠がいつも強いというのも一緒。
同じパターンをなぞっていながら、世間の人気の集め方と結果に
大きくズレがあるというのを、来年も意識しながら臨みたいね。
菊池:こうやって考えると、やっぱり比較的当てやすいGⅠだと思うんですよね。
当てていないのに終わってからこんなこと言ってカッコ悪いですけど(苦笑)。
僕は今回初めてメイショウマンボの取り捨てを誤ったことが本当に悔しいです…
反省!!
~~~~
菊池:では回顧はここまで!今週末はオークスを展望していきましょう。