ふんどしにしてから朝勃ちがすごい
大川 日本ふんどし協会の立ち上げと流れを教えてください。
中川 東日本大震災があって、心身ともにボロボロになってたときに立ち上げました。
大川 心身ともにというのは、うつ病の影響もあって?
中川 うつ病はまだ発症してなかったけど、朝起きたら頭がずっと痛いし、なんかおかしいなと思ってたときに、ちょうど震災があったんですよ。
僕は高校3年生のときに、阪神大震災で家が潰れてるんです。家族は無事だったし、家は再築してあるからとりあえず大丈夫なんですけど、当時は毎日テレビで震災の報道があって、火事の映像を見て窓を開けるとすぐ近くだったり。
東日本大震災の報道を見てると、そのときの恐怖がフラッシュバックする。しかも、仕事がうまくいかずボロボロになってるときで。
大川 色々と重なったんですね……。
中川 阪神大震災のときに同級生が亡くなって、せっかく助かった命だからやりたいことをやろうと決めたのに、自分は今本当に好きなことをやってるのか、深く考えるきっかっけになって。そのタイミングでうつの診断が出て、半年間休めっていうドクターストップがかかるんですけど。
2011年に、40代になる知り合いの社長さんからふんどしのよさを勧められるんですね。「最近ふんどしをしてる」と言いながらジーパンを脱いで見せてくれて、「ふんどしにしてから朝勃ちがすごい!」と(笑)。
フェラーリを乗り回すような世間的には成功してる人なのに、それまで朝勃ちがないせいで自分に自信がなかったらしくて。
大川 フェラーリに乗るほどの成功者が、朝勃ちしないだけで自分に自信がない!?
中川 稼いでるし、僕にとっては憧れの社長なんですよ。それが朝勃ちがないだけで、10年間自分に自信がないと言っていて、そんなこともあるんだなぁと思って。
大川 僕は今31歳ですけど、すでに朝勃ちなんてないですけどね(笑)。
中川 僕の場合は、美容師になったきっかけのひとつに、自分が早い段階でハゲるだろうっていう恐怖があって、コンプレックスが人一倍あったんですね。
ハゲそうな人が髪を切ってふわっとしたボリューム感のある髪型になったときに、まだまだ大丈夫っていう感じでコンプレックスが消えたときの喜びを僕は経験してるから、人のコンプレックスを自分のアイデアや技術で解消したいという気持ちが根本にある。
40代を過ぎた人たちにとって、朝勃ちがないことが深刻な問題なんだということをはじめて知って。パンツからふんどしに変えただけで、こんなに喜ぶ人がいるという事実ががすごく面白かったんです。
話のネタになるしと思って、僕もふんどしを買って試してみたら、これがすごい快適だったんですよ。でもダサい(苦笑)。
大川 ふんどしのデザイン性の問題ですね。
中川 デザインだけではなくて、ふんどしに対するイメージがダサいんです。ふんどしをしてるって言うことが恥ずかしいし、他に探してもなかなか見つからない。
毎日寝るときだけふんどしで生活をしてるときに、ふとちょっと待てよと思ったんですね。ステテコもダサかったのに、横文字でSUTETEKOにしただけで最近はお洒落な存在になってる。だったらふんどしだって一発逆転の可能性があるんじゃないかって考えたわけですよ。
大川 ふんどしも市民権を得る可能性があると!
中川 そうそう。しかもイメージが悪いってことは、ゼロにもなってない。マイナスのイメージしかないから、ちょっとカラフルにするだけで、すごいお洒落って言われるんじゃないかなと思って。
ステテコまで広がらなくても、ひとりやふたり雇えるぐらいの規模のビジネスになる可能性はあるはずだと。
うつ病になったから会社には戻れないし、どうせ自分でやるなら、ふんどしで起業するのも面白いんじゃないかと思って始めました。
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