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第21回 あなたは四十にして哲学的釣銭の話に胸を張れるか?

私はまもなく四十才になる。四十才は南海ホークスの門田がホームラン王になった年齢だ。老け込むトシではない。

なので、若者並みにコンビニも利用する。昨夜も利用。私は発泡酒と乾きモノを購入し、レジの背後から客の来店のたびに天井に向け、ぃらっしゃいませ〜、と機械的に絶叫する店員ガールに会計を頼んだ。

990円になりま〜す。酒を購入したのに年齢確認をしないアマな仕事ぶりが気になったが、支払いを済ませるべく、私はズボンのポッケから金を出した。先ず、千円札一枚を店員ガールに渡し、あぁっ小銭ありますっと言う。

こういうときなぜ動揺してしまうのか。私の魂胆は千円に九十円を追加し百円硬貨をゲットすることであった。ところが十円硬貨は里見八犬伝風に仁、義、礼、智、信、忠、孝、悌と数えても八枚、八十円分。ジン!ギ!と声に出して数えても八犬伝は九犬伝にはならなかった。