その26 “サムライメソッドやわらぎ”誕生。(後半)
僕はそのまま学びながら、色々と自分で気が付いたことを当てはめ、自分の形にしてみた。最初は何となく、そして何となくが重なると理論ができ、さらに経験を重ねると実用に足りるようになってくる。
僕の気付きは、まず筋と骨格の関係から始まった。筋の乱れをただ指先で動かすよりも、骨格に変に張り付いた筋を剥がすのなら、骨格を一緒に動かしたほうが簡単なんじゃないのか、ということ。
鳥の腿肉を思い出してみてください。あるいはスペアリブとか、骨付きの肉を思い浮かべてみてください。張り付いた筋のような肉、それが筋です。手だけでそれを剥がすよりも骨を動かしながら筋を手で剥がしたほうが、何倍も効率が良いですよね。手は2本あるんだから、2つを一緒に動かしたほうが効率が良い。骨を動かしながら筋を引くという技法はこうやってできたんです。
実はこの技法はありそうでなかった新しいやり方で、腱引きの代表がまず認めてくれた。認めてもらったり、褒めてもらうと僕は調子に乗るのでそこにどんどん工夫を重ねて行き、とても効率の良い筋を引く技法が誕生したのです。
導引も色々な動きを工夫してどんどん種類が増えていった。楽しいと僕はどんどんやるのです。格闘技のおもちゃ箱は、箱をもう一つ増やして施術のおもちゃ箱も持つようになり、殺法の身体使いの工夫も同時に行って武術のおもちゃ箱も持つようになった。武術の知恵は本当に人の心と身体を良くしてくれるということを、何百年もかけて見出した民族の宝物であり、いつの間にか武術の宝箱にもなっていったのです。
宝箱の中身はどんどん増えて、この宝物はとても不思議なもので、いくら人にあげても全然減らない。あげた人の身体が健康になると、なぜか大きく増えて宝箱に戻ってくるのです。こうやって宝物が増えていった頃に知らない人から連絡がありました。施術を学びたいという連絡が続けざまに2人から。ほどよいタイミングだなと僕は感じて施術を教えることにしました。
その時に考えたのが名前。名前はまず“やわらぎ”からつけました。やわらぎは“柔らの技”のやわらぎ。そして“和らぐ”の意味で“やわらぎ”。日本はかつて大和と呼ばれていた。大和とは大いなる和の国。大いなる和の国から全世界に発信するのが“やわらぎ”。やわらぎの前には“サムライメソッド”がつきます。これは最初から海外進出用に考えてつけたんです。好きそうでしょ、海外の人ってサムライって言葉(笑)。初めにインパクトをつけて売り出すんですよ(笑)。
古流の武術はもうすぐ消滅する。誰かが引き継がない限り消滅する。僕が一人で引き継いだとしても、今と同じように極小さな伝承を細々と重ねるだけ。それではつまらないのです。誰もが古流の武術はもうすぐ終ってしまうと考える時期には、むしろ一気に世界中へ広げるのです。このほうが僕には楽しい。
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