良く出来たサイエンスフィクション映画というのは、視聴者の頭を緩め、そして再びねじ上げ、かすかに傾けます。しかし、いくつかの映画はそれだけに留まらず、緩まった頭の中にレインボーカラーの石けんを投げ入れるようなストーリーを展開させて、視聴者を混乱させます。
例えば、先日アメリカで公開を迎えた『John Dies at the End』なんかも、そんなぶっ飛んだストーリーのSFホラー作品です。そこで今回は、そんな『John Dies at the End』の公開を祝して、io9読者が選んだ「宇宙で最もクレイジーな珍SF映画10選」を紹介したいと思います。
ちなみに、ここでいう「最もクレイジー」の定義は、コメディー要素が強かったりヘンテコだったりするレベルではありません。マジでクレイジー、パンツの中に脳みそが入ってんじゃないの? というレベルです。
それでは、以下から10選をどうぞ。
10位 『未来惑星ザルドス』
ショーン・コネリーの奇抜な衣装が「SF映画史上最も小さいビキニ集」にもランクインを果たした『未来惑星ザルドス』。不老不死のエターナルと、死が訪れる獣人と、宙に浮かぶ巨大な頭の石とセックスに関するポストアポカリプスムービーです。本作は見所が満載のため、見所を10個選出したこちらもご覧下さい。
9位 『スペース・パイレーツ』
水が乏しい世界と化した未来で、軍事力で水を管理し、近隣の星までも支配する帝国とそれに対抗する宇宙海賊の話。と、ここまでは正当派サイエンスフィクションのように聞こえますが、ストーリーは急にサイコセクシャルで不可思議な展開に突入していきます。不必要に多いスペースソードファイトに始まり、セックスユーモア、カンフーロボット、水の豊富な惑星探し、電撃でハイになるパーティシーン、そして何より男性視聴者が恐れおののく去勢シーン! クライマックスは間抜けな展開というクレイジーなSF映画お決まりのパターン。80年代を代表するB級映画であると言えるでしょう。
8位 『天才アカデミー』
本作はここで紹介している作品ではティーンコメディの要素が強いのですが、多くの人からの投票があったのでランクイン。15歳の天才少年が馬鹿騒ぎ大好きのパーティーボーイと共にレーザー光線マシンを作るという話。そこに、コンピューターを使って懸賞に応募する謎の隠遁生活者が出て来たり、完成したレーザー光線マシンが盗まれたり、そのマシンが悪用されたらポップコーンが弾けたり...とヒドい展開が繰り広げられます。
7位 『シックス・ストリング・サムライ』
1957年に核弾頭を投下されソ連に占領されたアメリカで、子連れのロックンローラーがキング・エルヴィスが統治していたロスト・べガスで次なるキングになるべく旅をするストーリー。設定的にはサイエンスフィクションですが、ロードムービーと言った方が正しいかもしれません。
主人公のバディはロックンローラーにも関わらず、スーツに黒ぶち眼鏡というビジネスマン風の格好で、片手には背面にテープで固定された刀がついたギターというやる気の無さ。しかし、道中で個性的な面々の敵に襲われるとキレのあるカンフーや刀さばきを見せます。冒頭で助けた子供との微妙な距離感や、徐々に心を通わせる様は心が温かくなること間違い無し。ラストの悪の化身の「デス」と繰り広げられるバトルでは涙が溢れるかも...。クレイジーなサイエンスフィクションとしてランクインした同作ですが、安っぽい設定の敵が出て来ることを除けば、『パーフェクトワールド』なみに感動できる内容です。
6位 『ゴーストハンターズ』
「ただただ楽しいSF映画12選」でもランクインしたジョン・カーペンター監督の『ゴーストハンターズ』が再び登場。80年代のカーペンター監督作品は、ノンストップの摩訶不思議かつ良い意味で下らないものが多いように感じます。主演のカート・ラッセルの演技は何処に向っているのか分からないほどのキレっぷりです。
5位 『フィフス・エレメント』
ゲイリー・オールドマンの演技とヘアスタイルが際立っている『フィフス・エレメント』。このヨーロピアンサイエンスフィクションは、決して良いペースで進むわけでないけれど、繰り返し見たくなる、味のあるバカ映画です。有名なオペラのシーンだけでこの10選に選ばれるだけの価値があります。
4位 『ダーク・スター』
ジョン・カーペンター監督が、『エイリアン』や『トータル・リコール』の脚本を担当したダン・オバノンと共同製作した長編デビュー作。意思を持ち言葉を話す「爆弾君」や、間違って解釈されたデカルトの方法的懐疑。この奇抜な作品は、他の人達が真似したくても出来ないセンスを持っています。
3位 『少年と犬』
『特捜刑事マイアミバイス』に出演する前のドン・ジョンソンが主演を勤めたハーラン・エリスンのポストアポカリプスもの。放射能がもとの突然変異で女性が減ってしまい、超能力犬のブラッドと暮らす少年は、女性を求めて放浪の旅に出る。途中、アカデミー助演男優のジェイソン・ロバーズがピエロの格好で登場するカオスっぷり。ラストは映画史上最もダークで厭世的と言えるでしょう。
2位 『レポ・マン』
物語は若き青年が車を回収する仕事に就くところから始まり、その後はプロットでは書ききれないほど奇妙な展開を見せます。盗んだ車のトランクにエイリアンの死体が入っていたり、そのエイリアンからは放射能が放出されて人々が正気を失ったり、溶けて消えたり...。B級映画らしい下らないギャグも満載です。ジャーナリストのロジャー・エバートはレビューの中で「この映画はハリウッドを当惑させる作品だ。公式に沿って作られているわけでも無ければ、ルールにも従っていない。」とクレイジー映画にとって精一杯の賛辞を送っています。
1位 『バカルー・バンザイの8次元ギャラクシー』
栄えある1位は、ノンストップおバカ映画の『バカルー・バンザイの8次元ギャラクシー』。この映画のアイディアは、時速100万マイルでスクリーンを飛び出すようなものです。何度見ても、自分が何を見たのか理解することが出来ないと思います。
主人公のバカルー・バンザイは、ロックスターでレースカードライバー、神経外科医で物理学者という超マルチタレント。そんな彼が8次元の世界に行き、凶悪なエイリアンと戦うという内容です。同作に出演したジョン・リスゴーは「『バカルー・バンザイの8次元ギャラクシー』はお気に入りの映画だ。私は『Buckaroo Banzai Vs. The World Crime League』が実現しないことを毎日嘆き悲しんでいるよ。」とコメントしています。
[via io9]
(中川真知子)
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