お気に入りの恐竜を聞くと、必ずといっていいほど名前があがる「トリケラトプス」と「ティラノサウルス」。史上最大級の肉食恐竜のひとつと考えられるティラノサウルスと、アーマーのようなフリルをつけたトリケラトプスの戦いは、恐竜王国の中でも最も恐ろしい戦いのひとつだったのではないでしょうか。 これまでに発見された化石から、この2種類の白亜紀の恐竜が直接対決したことは知られていましたが、ティラノサウルスが大きなフリルを持つトリケラトプスをどうやって殺し、食べていたのかは不明でした。 ところが新しい研究のおかげで、どのように御馳走を食べていたのかが明らかになったようなのです。では、以下から図解付きのトリケラトプスの食べ方をどうぞ。
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【ステップ1:フリルをしっかりとくわえる】
先週、ノースカロライナ州ローリーで行われた古脊椎動物学会(Society of Vertebrate Paleontology)の年度ミーティングで発表された内容によると、ティラノサウルスはトリケラトプスを殺すために、強靭な口部でフリルをくわえることの出来るポジションにつく必要があったそうです。
【ステップ2:首の後ろを引き裂く】
トリケラトプスのフリルをしっかりとくわえたら、頭部を後方に引っ張り肉を引き裂きます。モンタナ州ボーズマンにあるMuseum of the Rockiesのデンバー・ファウラー氏率いる研究者達は、18頭のトリケラトプスに残された噛み痕を研究することで、このステップに行き着いたとのこと。ファウラー氏は、ティラノサウルスの横に密集した歯の構造が、横に向ってストレスをかけて死体をバラバラにするのに適していたと考えているようです。
【ステップ3:頭部を引きちぎる】
ファウラー氏は頭部の化石を研究した時に、多くの骨から傷の回復サインが見られないことに気付いたそうです。これは噛み痕がトリケラトプスの死後、または食されている時に付けられたことを示唆しています。それに加え、多くの標本が、刺して出来たような穴、引っ掻いて出来た傷跡、えぐった痕、刺して引っ張った痕等の特徴を見せていたそうです。それらは歯の間隔パターンのコンビネーションで、食べる時に付けられたものであることを示しています。
【ステップ4:食べる】
古生物学者は、ティラノサウルスは頭部を引きちぎるのにに懸命に動いたため、栄養豊富な首の筋肉を得たのではないか、という理論を立てています。これは頭蓋骨に残された深く平行にえぐれた痕や、頭蓋の穴の痕の存在とも矛盾しません。また興味深い事に、古生物学者はティラノサウルスはトリケラトプスの頭部の肉をかじるのが好きだったとも結論づけています。 これまでティラノサウルスは死んだトリケラトプスの肉をあさって食べていたという説や、トリケラトプスのフリルや角は単純に求愛のディスプレイや飾りでしか無かったという説、はたまた、ティラノサウルスと戦うのでは無く同族同士の争いに使われた、という説があげられてきました。実際のところ、角が単なる飾りではなく戦闘に使用された証拠もありますが、相手が何だったのかは明らかになっていないそうです。 しかし、あのティラノサウルスが目の前にいる御馳走を捕らえること無く、腐肉をあさっていただけというのは考えにくいのでは無いでしょうか? 映画に影響され過ぎなのかもしれませんが、今回発表された食べ方のように、ティラノサウルスにはワイルドかつアグレッシブでいて欲しいと思います。 ファウラー氏の研究はHPでチェックすることが可能です。
トップ画像[via. All inset illustrations via Nate Carroll] [via H/t Naturevia io9] (中川真知子)