モノによっては爆走できずとも、迷走するコトは出来たかと思います(笑)
陸の上での戦場には、極めて重要で欠かすことのできない戦車。なので古今東西、ドコの国の軍隊であっても壮絶な火力を誇り、絶対的に究極に最強・無敵な戦車を開発したくてタマらないんです。
長い歴史の中で、いくつかの軍隊ではドコよりもデカい戦車を造ろうとしましたし、翼を持った戦車や手造りで装甲車を組み立てた人たちもいます。
というコトで、今回はそういった実験的過ぎたがために、ほとんど戦場では見られる事がなかったという、史上最も「珍妙」な戦車10選をお届けしたいと思います。まずは、DIY装甲車から行ってみましょう。以下へどうぞ!
【大きな画像や動画はこちら】
シリアの反逆者たちによる手造りタンク: the Sham II
覗き穴がないために、5つのビデオカメラとフラット・スクリーン・TVモニターで周囲をチェックし、7.62mm 銃で武装したこのDIY的装甲車。なんと2.5センチもの厚みを持った装甲で車体を包み、23mm キャノン砲にも耐えられるほどの頑丈さなのだとか。
無骨なスタイルではありますが、内部はちょっと違います。と言うのも、外側に装填したマシンガンの操作は、プレイステーションのゲームパッドを使用するのだそうな...。気分はFPSゲームですね。内部の様子や走っている状態など、以下の動画でご覧ください。
(via Russia Today)
オブイェークト279:ソヴィエトの実験的重戦車
4つのキャタピラと2000馬力の2DG-8Mディーゼル・エンジンを搭載し、1959年にレニングラードにある、キロフ工場で開発されたカエルみたいなデザインの戦車。この形状は、核爆発が起こった時の爆風を受け流し、ひっくり返らないためのものなんですって。
オブイェークト279は189-319mmのブ厚い装甲が施されており、CBRNプロテクションで、科学兵器や生物兵器、放射線や核攻撃から身を守るよう設計されているのだそうです。
なんとウィキペディアによりますと、なんとこの戦車は『メタルギアソリッド 3』でグロズニィグラード内に多数が配備されているんですって。『メタルマックス 3』にも登場しますので、ソフトを持っている方は要チェックですね。
(via Armor.kiev.ua and WW2 In Color)
シャーマン BARV (別名:シー・ライオン)
第2次世界大戦時に登場したこのシー・ライオンは、シャーマン M4A2をベースにした戦車です。BARV とは「Beach Armoured Recovery Vehicle」の略となっています。そしてこのシー・ライオンという名前の由来は、水深2.7メートルの水の中まで進むコトが可能だからなんですね。この戦車は戦闘用と言うよりも他の車両を退けたり、着陸して動けなくなった飛行機をまた水面に浮かせたりという役割を担っていたようです。
ノルマンディー上陸作戦にて、上陸後のネプチューン作戦では52台が配備され、1960年代まで続けて使用されていたそうです。
(via Geocities on Internet Archive)
アントーノフ A40 Krylya Tanka (タンク・ウィングス)
1942年ソビエト連邦の伝説的な航空機設計者、オリェーク・アントーノフ氏が、軽戦車T-60と軍用機を合体させて造ったのが、この翼を持つ戦車です。武装品やヘッドライトを取り外し、軽量化しただけでなく、積み込む燃料までも一定量までとし、軽くしようとかなり徹底していました。
くっつけた航空機は、ツポレフ TB-3もしくはペトリャコフ Pe-8。この戦車のフライトはタダの1度限り...ですが西洋人たちは、この空飛ぶ戦車は、1度も地面から浮いたためしがない...と言っているそうな。果たして真実はいかに!?
(via Fiddlers Green)
日本製の火炎放射戦車
1939年に元となる車体が造られ、その翌年と翌々年に内装が造られた、第2次世界大戦時の戦車。1945年、アメリカ兵たちによって8台が見つけられたという話です。
搭載されたのは2挺の7.7mm タイプ97戦車マシンガンと、巨大な火炎放射器。中には放射器が2つ、もしくは5つも搭載されたタイプの戦車があったそうです。もしも全てが火を噴いていたら、ソレこをまさに火の玉精神の具現化と言えましょうか?
(via US Intelligence Bulletin / September 1945 and Marine Corps Association & Foundation)
ヴェネスエラの亀:Tortuga
トーマス・パカニンス氏によってデザインされ、1934年にフォード6x4トラックをベースに造られたのがコレ。三角形の装甲車のてっぺんには、7mmマシンガンを乗せています。
12台は、プエルト・カベーロの造船所で造られたのですが、世に出たのは5台のみだそうです。ヴェネズエラは、対コロンビア戦でこの亀戦車と、2台のイタリア製フィアット/アンサルド社のカルロ・ヴェローチェ33の戦力を試したかった、とありますが...実際には試せたのでしょうか?
(via Florida State University)
Wijnman社製装甲車 :Koekblikje
オランダ軍が1932年に設立された後、カレらは一般的なトラックのシャーシをベースにした、装甲車を造り出すプロジェクトに着手しました。モーリス 6x4をベースにしたこのクルマは、6.5mmのM2.0マシンガンを3挺装備しています。ちなみに「Koekblikje」とはビスケットの入れ物という意味だそうです。どことなく、映画『アイアン・ジャイアント』みたいなレトロさが感じられますね。
(via En Cars Globe and Desert Rats)
イギリスのカーデン・ロイド豆戦車
イギリスの軍事開発者、ジフォード・Q・マーテル英陸軍少佐が考案したという、1人乗り戦車計画によって生み出されたのがコチラ。ですが試作車の評判を聞いたいくつかの会社がアイディアをパクり、特にカーデン・ロイド・トラクター社がこのタンケッテ(豆戦車)を1927年から1935年まで製造していたのだそうです。
イギリス軍は数台しか使用していなかったそうですが、ソ連、カナダ、日本、チェコ・スロヴァキア、フランス、オランダなどが輸入をし始め、1400キロという軽量のMark VIは、当時最も(商業的にも)成功した戦車となったのでした。
(via bkpforums and armourbook)
スウェーデンのStridsvagn m/21 - 29
第1次世界大戦後、スイス軍がドイツのLK II(ライヒター カンプフヴァーゲン II)の計画を10万スイス・クローナ(現地通貨)で購入し、6.5mmマシンガン1挺を搭載させたStridsvagn m/21として生産したのがこのシリーズです。1929年には、古い機構をアップ・グレイドし、改良されたエンジンと機関銃を追加装備させました。カッコ良いだけでなく、ちょっと可愛いデザインですね。
(via bkpforums and ointres.se)
ロシアのツァーリ・タンク(別名:レベデンコ・タンク)
1914年に第1次世界大戦中のロシア帝国が開発したという、直径8.2mの巨大過ぎるスポーク車輪2つを備えたこの戦車。造ったのはニコライ・レベデンコ氏で、構造としては...キャタピラ式ではなく普通に3輪車だったりします。
馬鹿デカい上にクソ重い車輪2つに対し、たった250馬力のサンビーム社製エンジンではあまりにもパワー不足で、整備された道でなければハマって抜け出せなくなることもしばしばあったそうです。
ウィキペディアによりますと、「1915年8月に高等弁務官事務所の前で行われたテストが大失敗に終わり、その場で放置されていた」...とあります。そして1923年にスクラップにされた、というガッカリ過ぎる戦車です(苦笑)
...という10選でしたが、カエルみたいだったりピラミッドみたいだったり、翼が生えていたり3輪車だったりと、戦時中にはユニークな戦車がイロイロ造られていたんですねぇ。
今でこそジョークみたいに見えるモノも、当時は最新鋭の科学技術を結集し、大マジメに開発していたと思うと、また違った見方になるかもしれません。
The most bizarre experimental tanks ever to roll through a battlefield[io9]
(岡本玄介)
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