4529e10356ffff462c57ab40c48e1f8af7eb22bd



人を動かすのは「情熱」なんです。

Google Chrome-初音ミク篇-のCMの曲「Tell Your World」を皆さんはご存知でしょうか。この曲はiTunes Storeで総合1位を獲得し、世界200ヶ国以上の国と地域で配信され、日本だけでなく世界中で幅広く愛されている作品です。インターネットそのものを表した歌詞に、Webでの可能性や広がりを凝縮した、そんな曲でした。私自身も「Tell Your World」には多くの感動と力をもらいました。

そんな作品を作ったアーティストlivetuneの最新アルバム『Re:Dial』が、遂に来週3月20日に発売されます。今回、livetuneのkzさんに最新アルバムに関して話を聞くことができました。その他にもkzさんの思い描く音楽や、クリエイトへの喜びなど、かなり濃い内容となっていますよ。


 
b54801b1cc3217e34d71c6b434b51d0af76c3ff4


ーー本日はよろしくお願いします。

livetune kzさん(以下:kz):よろしくお願いします!



ーーそれでは早速ですが、今回のアルバムタイトルに『Re:Dial』とつけた理由を教えて下さい。

kz:今回は今までをまとめたアルバムを作ろうとなったのですが、「普通にまとめても面白くないよね」って気持ちがあったんです。5、6年前の音源を今の作品と同列に並べてしまうと、どうしてもクオリティに限界があるなぁと感じてたんです。とにかくリファインしたかったんですよ


1つは自分から過去の作品にアクセスをするって意味合いを込めました。

2つめは(Google Chrome-初音ミク篇-のCMソング「Tell Your World」などの)ビッグプロジェクトが続いていて、自分が今何処を歩いているのかが分からなくなってきてたんですよ。もう1度自分の足元を照らし直そう、つまり昔のモノに対する「リダイアル」をしたかったんです。



ーーなるほど、だから今回リファインした曲の後ろに「Re:Dialed」と付いているんですね。

kz:大幅に変えたものに関しては付けてますね。最初全部の曲にいれようと思ったんですけど...。完成したセットリストを見た時にしつこいかなぁと感じたのでやめました(笑)



ーー今回の新曲「Redial」の歌詞はどのような思いを込めて作詞をしたのですか?

kz:「Tell Your World」では、インターネットそのものに対する讃歌を描くことができて、結構自分の言いたいことは言っちゃったかなって。それで今回は自分のパーソナルな部分で「そういえば今までどうやってやってたっけ?」とか「5年間音楽で生き延びてきて...これからも生き延びる!」という生きがいというものを込めた歌詞なんですよ。



ーーあと、アルバムのジャケットがとてもカワイイですよね!


Livetuneインタビュー03


kz:今回も「Tell Your World」の時と一緒でmebaeさんにお願いしたのですが、前回に引き続き何もオーダーをだしてないんですよ。(笑)そしたら次の日くらいに3パターンくらい出てきてそこから選んだ感じです。いや〜...mebaeさんのパッション、ほんとに最高ですね!

あと僕もよく着用しているウェアブランドの「galaxxxy」にも協力してもらって、ジャケットの衣装のイラストでのコラボレーションをしてもらったんです。単純に面白いかなって。



ーーこの初音ミクが着ている服とかは実際に発売とかしないんですかね?

kz:これは.........しないんじゃないですかね。(笑)わかんないんですけど、リクエストが多々あれば展開するんじゃないんですか...ねぇ...? やっぱカワイイですよね。その辺はやるとしたら僕の所属レーベルのトイズファクトリーさんとかgalaxxxyさんがやってくれると思いますのでリクエストを待ってますよ(笑)




■クリエイトするということ


ーー今回のアルバム制作で大変だったという部分はありますか?

kz:とにかく「Redial」が完成しなかったんです。「Tell Your World」を制作してから約1年ぶりボーカロイドをさわったのですが、「Tell Your World」の影がチラチラ見えてしまって、どうしても別の切り口というか、シリアスな方向に行ってしまうんですよね。常にどこかしらから睨んでいるんですよ


そんな視線が最初すごくあって、悩んだ末に曲を完成させたのですが、『Tell Your World EP』に収録されてる「ジュビリー」みたいにサウンド自体がすごくシリアスなモノになってしまったなぁと。完成後にスタッフや周りに聞いてもらったんですが「もっと明るいほうがいいよね」という話になったんですが、どうしてもその距離感の取り方が最初全く見えなくて...。1ヶ月くらい、悩みに悩んでしまったんです。



ーー1ヶ月ですか! 

kz:だいたい僕は1週間くらいで曲を作るんですよ。追い込まれるほど強いというか。「Tell You World」のCM尺に関してはインスピレーションがすごくあって制作は5日くらいでしたね。その時は歌詞も全く時間をかけずに完成できたんですが...「Redial」の制作には1ヶ月以上かかってしまい...実は今まで1度もこんなことなかったんですよね。



ーーそんな苦労して完成したアルバム『Re:Dial』の曲はどのように聞いて欲しいですか?

kz:曲を作ってる人に関しては「やっぱり曲を作っていた頃って最初は楽しかったよね」って部分を思い出してほしいですね。例えばこれからずっと音楽で食べて行くとなっても、100%自分のやりたいようにやれるってのは絶対無いと思うんですよ。


エゴだけで満たされた音楽はたぶん良くはなくて、みんなが幸せになるような音楽をつくらなくてはならないっていう自分との戦いというか。どうしても何かしらの壁に立ち向かって僕らは生きていかなくてはならないんです。そういうモノに対する覚悟というか、「みんながんばろうよ、俺も頑張ってるからさ!」と曲を作っている人に関してはそう聞いてほしいなぁと思います。

もし曲を作っていない人がいたら、「ものつくりとか、クリエイトって楽しい!」というのを感じ取ってもらって、是非チャレンジしてほしいです。




■「やっぱり、パッションを持ってる人といろいろやりたいですよね。」


ーーものつくり...という部分で今回は映画「めめめのくらげ」の主題歌にもなりましたが、どういったご感想をお持ちですか?





kz:正直に言えば特殊な音源を使ってるので、難しいかなと思ったんですよ。でも監督の村上隆さんが「これじゃなきゃこの映画は成立しないんだ」っていうくらいの勢いで接してくれたんです。だから考えた結果、ここはやったほうが絶対面白いと思いまして、やらせてもらいました。


さすがに5年くらい前の曲がまさか映画の主題歌に...なんて思ってませんでしたからね(笑)



ーー村上隆さんの情熱に押されてって感じですね。

kz:僕...パッションを持ってる人がすごい好きなんですよ。やっぱり愛がないと何事も良くないんじゃないかなって...。僕はタイアップだったり何かしらの作品とコラボレートするときは必ず原作をしっかりチェックするんですよ。その作品を理解して、しっかり入り込んでから曲をつくるようにしてます。


やっぱり伝わるじゃないですか、この人はこの作品をちゃんと好きなんだなって。



ーーその作品を自分で一度飲み込んで...再び発信していく...。

kz:そうじゃないと説得力がないですよね。深く掘り下げられないし。曲を聞いてくれた人に何も伝わらないし、誰も幸せになれないじゃないですか。やっぱり村上隆さんとか、そういったパッションを持った人とたくさん仕事をしたいとは思います。



ーー村上隆さんといえば「Redial」のPVに関して簡単にお話を伺いたいのですが!





kz:今回のMVは村上隆さん率いるSTUDIO PONCOTANさんが作っているのですが、だいぶ凄い出来になってましたね。

嬉しいことに、村上隆さんはもの凄く気合を入れて作ってくれているそうなので、かなり楽しみですね。北海道でかなりの人数がこのミュージックビデオの製作で動いてるみたいなのですが...その、なんというか申し訳ないというか...。



ーーいや...でもやっぱりkzさんのパッションを感じるんですよ!

kz:そうかもしれませんね......本当に嬉しいなと思いますね。真面目に生きていくもんだなぁ...って(笑)




■「何かしら音楽が力をもった映画が好きですね。」


Livetuneインタビュー04


ーー村上隆さんからものすごい情熱を感じたと思いますが、映画と音楽の関係ってどう思います?

kz:映画を見るときには音楽からの導入が多いですね。例えば「バッファロー'66」、「あの頃ペニー・レインと」、「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」とかの音楽じみてる映画が好きなんですよねぇ...。「トレインスポッティング」とかも。


好きな音楽が使われている映画ってストーリーラインが自分の趣味に合ってたりするんですよ。多分、趣味ってそこで通じるものがあって、自分に近いものがあったりしてて...。あ...、あとFPSが大好きなんで、「フルメタル・ジャケット」とかも好きなのですが、やっぱり最後にザ・ローリング・ストーンズが流れればオールOKなんですよ。(笑)



ーー音楽を聞くだけでそのシーンを思い出したりしますものね。

kz:やっぱりイギー・ポップの曲を聞いた瞬間に「トレインスポッティング」の最初の走っていく感じが思い浮かびますし、アンダーワールドを聞くとスパッドがロッカーを開けた瞬間が浮かびます。音楽を聞いていて、その時のシチュエーションを強烈に脳に残っていたりしますよね。匂いなんかも。


「ファインダー」を作ってた時なんかは「同人の締め切り」が辛かったなーなんて思い出が蘇りますね。(笑)ほとんど血反吐吐きながら作っていた様なものなので...。あれ...なんか辛かったって記憶が多いですね(笑)



ーーちなみにこの先同人活動って...考えていたりしますか?

kz:いや〜...しんどいですね(笑)前やったときは徹夜で『Re:package』をかなりの枚数を作って...当日全部売り切って...その後にみんなで温泉に行ったんですけど、おそらくその温泉が人生で一番気持ちが良かったと思いますよ。


あと、なにがどう間違ったのかわかりませんが、「スノウ・ダンス」のときはコミックマーケットで壁配置にされちゃって...3、4人でまわすのは辛くて辛くて...。同人を続けていくにはいろんな人の力を借りなくてはだめだなぁと思いましたね。

機会があったら...うーん...しばらくは...わからないですね。(笑)



ーーちなみに今後は初音ミクを中心に音楽を使っていくのですか?

kz:そうですね...なんというか選択肢の1つなのかなって。先日発表になった、TVアニメ「DEVIL SURVIVOR 2 the ANIMATION」の僕が担当するオープニングの曲のボーカルには、「SEKAI NO OWARI」のFukaseくんにお願いしたりしてますしね。自分の作った曲にマッチングするものがボーカロイドだったり、「Transfer」の時の中島愛さんだったり...いろんなシチュエーションに合わせて創作はしていったほうが楽しいかなって思いますね。



ーー今回は色々とお話をありがとうございました。最後に一言お願いします

kz:僕、実はゲームが大好きなんです。最近だと「Dead Space 3」をやってますよ。...というわけで...。みんなゲームしようぜ!!



ーー笑...本日はありがとうございましたー!


今回Kotaku JAPANでは新アルバム『Re:Dial』やlivetuneさんの持っている音楽観の話をさせて頂きましたが、兄弟メディア「ライフハッカー」では「常に殺気が必要なんです」と、滅多に聞けないkzさんの仕事に対する取り組み方を中心に話をしていますので、是非そちらも御覧ください。


livetune 写真


更に更にこちらの記事では『Re:Dial』のサイン入りポスターを抽選で3名の方にプレゼントしますよ! 応募方法は下記のアンケートに答えていただければ応募完了です。応募の締め切りは3月25日 23:59までです! みなさん、ぜひこの記事をRTしてご応募くださいね~。livetuneへの熱い思いお待ちしております! 





©Crypton Future Media, INC. www.piapro.net130316livetune_interview_pi.jpg
© 2013 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.

 © 2013 mebae/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
© 2013 galaxxxy/Joe International Co.,Ltd. All Rights Reserved.


livetune

(エドワード長谷)