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海外産アナログゲームの翻訳版ができるまで
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海外産アナログゲームの翻訳版ができるまで

2012-11-16 22:00
    海外産アナログゲームの翻訳版ができるまで


    いよいよ今週日曜日に開催される国内最大規模アナログゲーム・イベント『ゲームマーケット2012秋』。今回は、そのゲームマーケットに出展する、海外産アナログゲームの日本語翻訳版の制作の裏側をご紹介させていただきます。

    今回ご紹介するゲームは私、傭兵ペンギンが翻訳を担当したもの。というわけで、あくまで私の体験談を通じての紹介であり、手前味噌な内容となりますのでご了承ください。
     

     
    ■はじめに

    ボードゲームTRPGなどに代表されるアナログゲームにはPC/TVゲーム同様、海外産のものが多く存在します。そして、その日本語版も企業だけでなく、サークルなどの団体によって様々な形で制作されています。私が制作に参加したものもそんな日本語版の1つ。

    私が参加した制作チームがゲームマーケット出展するのは、ミニチュアゲームディストピアン・ウォーズ』の日本語版。そもそもミニチュアゲームってなんなんだ? という方も多いかと思いますので、順番に説明させていただきます。

    まずミニチュアゲームとは、兵士や兵器などのミニチュア(模型)を駒として使って戦場を再現して遊ぶ、対戦型のウォーシミュレーションゲームの一種。駒であるミニチュアを組み立て、自分の好きな色を付けるという模型的な楽しみ方もできるゲームです(色付けはゲームをするのに必須ではありません)。

    日本ではまだまだマイナーですが、海外では大きなイベントが世界各地で開かれ、それなりのプレイヤー人口を誇っている趣味。『Warhammer 40,000』などの有名タイトルは日本語版が既に存在し、TV/PCゲーム化もされている(『Space Marine』、『Dawn of War』など)ので、そちらの方でご存じの方もいらっしゃるかもしれません。

    そして、今回我々が出展する『ディストピアン・ウォーズ』はそんなミニチュアゲームの1タイトル。イギリスのスパルタン・ゲームスで開発された、19世紀のスチームパンクなSF世界で繰り広げられる陸・海・空の戦闘を再現し、対戦するゲームです(詳しくはwikiこちらの記事を御覧ください)。

    『ディストピアン・ウォーズ』に関して書きたいことはたくさんあるのですが、今回は翻訳版アナログゲームの制作過程の記事ですので、これくらいにして本題に入りたいと思います。

    ちなみに、これからお話する翻訳版アナログゲームの制作過程はあくまで私の体験談であり、必ずしも他の翻訳版の制作過程にあてはまるものではないという事はご理解ください。


    ■日本語版制作のきっかけ

    日本語版の制作のきっかけはいろいろなものがあると思いますが、我々の場合は『ディストピアン・ウォーズ』を通じて「ミニチュアゲームという遊びを広く知ってもらいたい」というものでした。

    『ディストピアン・ウォーズ』の英語版を取り扱うアナログゲームショップのB2F Gamesの店長とその店に通う私を含む熱心なミニチュアゲーマーがそんな事を言いだし、「広く知ってもらうには、完全な日本語版が必要。作ってみよう」という結論に。

    たまたま、そこにはアナログゲームの翻訳経験者の私やDTP(編集・レイアウト)の経験者がおり、また制作資金を投資しようという人もいました。そんな人達が集まり日本語版制作チームが結成され、B2F Games制作・販売という形で、本格的に制作が始まったのです。


    ■ライセンスの取得

    まず最初のステップはライセンスを得ること。他社の著作物を翻訳して販売するわけですから、これがないと販売できません。このライセンスの交渉段階で頓挫してしまうタイトルも多々あるのですが、既に発売元と取引を行なっているB2F Gamesが制作・販売を行うということもあり、ここは円滑に進み、ライセンスを取得できました。今回の制作の許可をしてくださいましたスパルタン・ゲームスの皆様には、改めて感謝いたします。ありがとうございました。


    ■翻訳開始

    早速ここから翻訳が始まります。今回は基本的に私1人で翻訳を行いましたが、同じアナログゲームのTRPGの翻訳版では、複数の翻訳者が協力して作業をする場合もあります。

    ゲームで遊ぶためのルール部分だけでなく、世界観などがたっぷり書かれた124ページの本なので、なかなかなの分量です。とはいえ大好きなミニチュアゲームの書籍なので、こう言ってはなんですが、非常に楽しく翻訳させて頂きました。

    なんといっても苦労したのが訳語選び。既に英語版で遊ばれている方もいて、そのような方と日本語版ではじめて遊ぶ方が一緒に遊びやすい訳語を選ぶ必要がありました。訳語関してはチームのメンバーと何度も何度も相談を重ねて決めています。

    Kotakuのライターとして記事を書かせていただく合間に作業を進め、翻訳作業自体は終了。しかし、我々の戦いはまだ始まったばかりであった...!


    ■DTP作業開始

    海外産アナログゲームの翻訳版ができるまで0


    翻訳を行ってからDTP(編集・レイアウト)担当にバトンタッチ。ものによっては、構成自体をまるごと作り替える日本語版もあるのですが、今回は全体を英語版の原書に大枠では同じ構成にしつつ、日本語の本として読みやすい形を目指すことにしました。

    テスト版をチーム全員で確認し、修正案を作り、DTP担当はそれを元にピクセル単位の細かな作業を行う。そんなことを何回も繰り返しました。DTP担当は本当に根気よく頑張ってくれました。こうしてDTP作業は終了。でもこれでは終わらない!


    ■最終確認&価格決定&入稿

    印刷会社に原稿データを入稿する前の最終確認。細かなミスを発見し、それをその場で修正することの繰り返し。時には「やっぱりここはこう変えたほうがいいんじゃないか」などという大きな修正案も飛び出し、徹夜作業となることもありました。より良い日本語版で遊んでいただくためにとにかく頑張りましたよ!

    また、今回はこの段階で販売価格を決定しました。ここは他の翻訳版制作でも非常に苦心する部分だと思います。また、多くの場合翻訳者はあまり関与しない部分なのではないかと思いますが、今回は皆で意見を出し合い決定しました。

    その値段が税込3000円。英語版原書の日本での販売価格でもあり、ミニチュアゲームに触れたことがない人が『ディストピアン・ウォーズ』に興味を持って、試しに購入してもらえる値段を推測して設定した値段です。そんなこんなで値段を決定し、完成した原稿を印刷会社に入稿しました。


    ■ゲームマーケット参加決定

    入稿後、完成品の仕上がりを見ない段階で少々無謀ではありますが、ゲームマーケットへの出展の申し込みをしました。我々には先程も書きましたように「ミニチュアゲームという遊びを広く知ってもらいたい」という思いがあり、非常に多くのアナログゲームファン集まり、見て、知ってもらえるであろう『ゲームマーケット』に出展しない手はなかったわけです。

    実はその時既に申し込みの締め切りが迫っており、大急ぎで出展料の4200円を振込み、カタログ用の原稿を作り提出しました(出展方法が気になる方はこちらを御覧ください)。


    ■完成!

    海外産アナログゲームの翻訳版ができるまで1


    そして完成品の到着。フルカラーの本なので色合いの心配などがありましたが、きちんと仕上がって本当に安心しました。ちなみに、ここまで来るのに大体3ヶ月半程かかりました。こうして完成した『ディストピアン・ウォーズ』の日本語版ルールブックは現在、全国各地の取扱店の店頭に並んでおります。


    ■最後に

    ここまでが『ディストピアン・ウォーズ』日本語版ルールブックの制作過程です。我々は小さな制作チームで、アナログゲームの翻訳版の制作過程としてはかなり例外的なこともやっている気がしますが、あくまで一例としてアナログゲームの翻訳版の制作の裏側を見ていただき、少しでもアナログゲームやミニチュアゲームに興味を持っていただけたら幸いです。

    ちなみに、『ゲームマーケット2012秋』での我々、制作チームのブース番号は513(会場4階)で、『ディストピアン・ウォーズ日本語版』というブース名で出展しております。ほんの少しだけでも覗きに来ていただけると嬉しいです。当日私もブースにいます。よろしくお願いします...!

    ゲームマーケット2012秋』は、11月18日(日)に東京都立産業貿易センター 台東館の4階・5階・7階で開催(詳しいアクセス方法はこちらでご確認ください)。会場では買い物だけでなく、沢山のゲームの体験をできるスペースがあります。少しでもアナログゲームに興味のある方はぜひ一度ゲームマーケットにお越しになってみてはいかがでしょうか。

    Copyright © 2012 Spartan Games


    ゲームマーケット2012秋公式サイト
    Spartan Games](画像)
    ディストピアン・ウォーズ日本語版wiki
    B2F Games LLC.

    (傭兵ペンギン)

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    RSSブログ情報:http://www.kotaku.jp/2012/11/how_to_make_a_board_game.html
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